アイドルに浪費した日々

私が宮澤佐江ちゃんを応援しているという話はこの日記にも幾度か書いてきましたが、佐江ちゃんのアイドル卒業から1年以上が経ったことと、私の浪費対象がちょっと変化したこと、そして最近出た「浪費図鑑」という本が面白かったのもあり(同人誌版も面白かった!)、少し振り返ってみたいなと思います。

私がAKB48に興味を持ったのは2010年の第2回選抜総選挙大島優子さんが1位をとった、というニュースを見たのがきっかけでした。AKBって前田敦子がセンターじゃないんだ? 篠田麻里子ってかわいいけど3位なのか、云々、完全にネットニュースの上っ面だけを見て、飲み会で「私は篠田さんが好きだな!」なんて話していた記憶があります。
そのまま半年ほど、特に何もせずに過ごしていたのですが、丁度その年末に公開されたドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』を見て、完全にはまってしまいました。
それ以降は毎晩延々とAKBの動画を漁る日々。
正直、ドキュメンタリーを見に行ったときは映っているメンバーの半分もわかっていなかったと思うんだけど、YouTubeAKB48公式チャンネルでMVはほとんど見放題だったし、第1回じゃんけん大会の出場メンバー全員分の密着動画なんてのもあがっていて、あっという間にAKBに在籍している全メンバーの顔と名前が一致するようになっていました(たぶんその時点でAKBだけで70名近くいた)。
私が好きになった時点でAKBには膨大なコンテンツがあって、その多くが「ドキュメント」だった。
彼女たちがドキュメント(多くはメイキング動画と呼ばれるもの)で見せるのは、等身大のかわいさだけじゃない。大勢の中で埋もれまいと作戦を練る子もいれば、大人からの期待に苦しむ子もいる。率先して皆をまとめようとする子もいれば、いたずらばかりしている子もいて、得意なものを生かそうとする子、苦手を克服しようと頑張る子。皆と仲が良い子、1人でいるのが好きな子。
そういったまったく異なる性格の女の子たちが「仲間」として支えあっている。そんな彼女達の関係性に惹かれていったのが最初だったと思います。

まずはライブを見たいと思って運よくチケットがとれたものの、東日本大震災で中止になったこともあった。
災害報道の多かったあの年、私はyoutubeでアイドルばかりみていて、確実に、そのことに救われたと思っています。会社から徒歩で帰宅した家に、AKBの雑誌が転がっていて、家が遠方なためうちに泊まった先輩に笑われたのをよく覚えている。

私が初めて買ったAKB48のシングルは『Everyday、カチューシャ』でした。そして、このシングルには、第3回選抜総選挙の投票券が封入されていた。
投票券が入っているということは、誰かに投票できる権利があるということ。
「それなら、私はこの子の笑っている顔が見たいな」
そんな風に自然と顔が浮かんだのが宮澤佐江ちゃんでした。

投票するなら、少しでも上の順位になってほしい。そう思って調べているうちに、ファンクラブの会員権などでも投票できるということを知り、その年はたしか7票投票しました。

握手会

私が始めて参加した握手会(に近いもの)は、AKBの中のOffice48という事務所に所属しているメンバーで結成されていたDiVAというユニットの「スタンプ会」(メンバーが作ったスタンプを私物に押してもらえる)でした。
初めて生で見る宮澤佐江ちゃんは、冗談抜きにして「キラキラ光る粉がまぶされている」ようでした。ティンカーベルかな? と思いました。顔がすごく小さくて私の手のひらより小さいんじゃないかなと思いつつ眼が離せませんでした。
何を話したかはまったく覚えていませんが、順番ひとつ手前の位置で佐江ちゃんの横顔を見ていたときの視界ははっきりと脳内に保存されています。

そこからはもう、佐江ちゃん推し一直線でした。

私の考える握手会の最大の魅力は、何といっても「直接お礼や感想を言える」ということ。公演のダンスがかっこよかった、Mステでカメラに抜かれた時すごくかわいかった、こないだのモバメ嬉しかった、新しいシングルの衣装似合ってる、などなど。
ファンレターも書いていましたが、やはり直接ほめたかったし、それで少しでも喜んでくれる顔が見たかった。
気分は完全に「孫」の応援です。
正直アイドルはあまりにも眩しすぎて目の前に立つのはおこがましいと思うこともあった。
けれど、少しでも印象をよくしようと洋服を選ぶのは楽しかったし、アクセサリーを褒めてもらえたりした時はとっても嬉しかった。
「認知」欲との戦いもありました。
握手レーンに並んでいると、だんだんと佐江ちゃんに顔を覚えられているファンがいるのがわかってきます。中にはあだ名で呼ばれているファンもいる。
でも当時の佐江ちゃんは「超選抜」と呼ばれる人気メンバーで抽選方式の握手券はほとんど当たりませんでした。
そんな私でもいつの間にか顔を覚えてくれて、それはとても嬉しかったけど、でも私の最優先「現場」はやっぱり公演でした。

公演

AKBの現場は幾つかの種類に分かれています。

  • 公演…AKB48劇場でほぼ毎日(当時は)行われているチーム別のセットリストによる公演
  • コンサート…グループ全体でのコンサート。選抜が目立つ。
  • 全国握手会…店頭販売されるCDに封入されている券で参加できる、ミニライブ付きの握手会(1レーンに複数人いることもある/速度がはやいのでほぼ会話はできない)
  • 個別握手会…「劇場盤」と呼ばれる抽選販売されるCD1枚につき1枚握手券がついている。握手したいメンバーの名前で申し込む。

主なところはこの4つだと思います。
で、多くのファンにとってもっとも優先順位が高く、しかしなかなか行けないのが「公演」でした。
AKBは1期生によるチームA、2期生によるチームK、そして3期生によるチームBからはじまっています。
私が応援し始めたときはすでに第1回の組閣(チーム間シャッフル)を終えていましたが、2期生である宮澤佐江ちゃんはチームKのままでした。リーダーである秋元才加ちゃんの名前をとって「秋元チームK」なんて呼ばれてもいます。
当時は『RESET公演』という演目をやっていまして、これが本当に良曲揃いのいい演目だった。
当時は秋元康もちゃんとメンバーにあてがきした公演をつくっていたんですよね…。RESETという公演タイトルにもなっている曲は、第1回の組閣を終え、このチームでやっていくぞという決意の曲でもありました。

風を入れろ! チームよ、目を覚ませ! 今の場所で立ち上がれ!
風を入れろ! 今日からは新しい Oh 我らがチームK

組閣当時のことはあとで調べたことでしか知りませんが、当時の彼女達がこの歌詞で団結していったのだと思うと、今でもぐっときます。

しかし、当時の48Gは人気絶頂であったため、なかなか公演には当選することが出来ませんでした。
そして、そんなファンのために用意されているのがオンデマンド配信。なんと全公演リアルタイムで配信されているという至れり尽くせりぶりです。
さらに、何としても近くで見たいという気持ちになったときは、劇場ロビーに備え付けられたモニターで見る、ということもできました。なので当時は仕事帰りに劇場へ行って、モニターで公演を見たりもしていました。
正直、2時間近くある公演をずっと突っ立って見ているのって疲れます。しかも毎回同じセットリストです。
でも、それでも見たいと思うくらい、毎公演新鮮な発見がありました。今日はかっこいい風、今日はかわいい風、なんて公演ごとに見せ方を変えてくるのが佐江ちゃんだった。MCではふざけていても、曲に入るとドキッとするほどに表情が変わる。
そのスイッチが入る瞬間を見たくて、繰り返し同じ公演に申し込み続け、劇場に通い、通えない日はオンデマンド配信を見ていたのだと思います。

思えばこの頃が一番応援していて幸せだったなと思う。私は今でも秋元チームKが大好きです。

総選挙と選抜

私が初めて投票した第3回選抜総選挙で、佐江ちゃんは11位となりました。
当時は12位以上が「メディア選抜」という、いわゆる「選抜」としてテレビに出たりできるメンバーのはずだったのですが、それとは別に運営が推したいメンバーというのもあって、そういうときに漏れるメンバーというのが必ず出てきます。
そして次第に、佐江ちゃんがその「序列を下げられるメンバー」になっていきました。
初めて選抜から外れたのはたぶん、2012年1月に公開された『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』の主題歌になった『ファースト・ラビット』だと思います。
その後も、2012年2月の『GIVE ME FIVE!』では最後列、その次の史上最多の36人選抜だった『真夏のSounds good !』のジャケ写でも最後列。
そしてこの年の9月に、上海に新しくできるSNH48への「移籍」が発表されました。

しかし上海の劇場は待てど暮らせど完成せず、完成してもビザが下りないという理由で劇場に立つ事もできず、宙ぶらりんの状態が続きました。
当時のことはここに書いたので割愛します。

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そんな中、自分を含む「佐江ちゃん推し」は、少しでも日本での活動の場を作れたらと願い、選抜総選挙に熱を入れるようになっていきました。
思えば選挙結果が反映されていないということの憤りを選挙にぶつける、というのは矛盾しているような気もします。
それでも、運営が無視できないくらいのファンがいるのだ、と示すことさえできれば、何か状況が変わると信じていたのかもしれません。

そういったファンの意志表示のひとつが2013年1月に開催された『AKB48 リクエストアワー セットリストベスト100』でした。
これは48Gの人気楽曲をカウントダウン形式で発表していくコンサートで、佐江推しは『RESET公演』での佐江ちゃんのセンター曲『奇跡は間に合わない』に集中して票を投じ、結果、前年の24位から大きくジャンプアップして第2位を獲得します。
この時、『奇跡は間に合わない』のスペシャルパッケージで発売されたDVDボックスは今も宝物。
同年の選抜総選挙は10位。
どちらもファンにとっては「追い風」のつもりでしたが、2013年にステージの上の佐江ちゃんを見る機会は片手で数えるほどしかありませんでした。

アイドル以外の道

SNHでの活動が思うようにできない中、佐江ちゃんに大きな舞台の話が舞い込みました。地球ゴージャスプロデュース公演『クザリアーナの翼』への出演です。2014年はこれを皮切りに、SKE48チームSとの兼任、そして『AKB49 恋愛禁止条例』主役への抜擢など様々な活動の場が用意されるようになりました。
このあたりから、個人的な意識は「佐江ちゃんの卒業後」へ向いてきたような気がします。
SKEとの兼任については、ファンの間では賛否両論あったものの、結果としてメンバーには温かく迎え入れられ、個人的には良かったと思っています。
しかし何よりも『AKB49 恋愛禁止条例』での佐江ちゃんがすばらしかったことに私は感動していました。
佐江ちゃんの出る舞台を始めて見たのは2011年の『ダブルヒロイン』。これは当時の超過密スケジュールの中で行われたということもあり、本人も納得がいっていないようでしたが、正直なところ「推しが見れて嬉しい」以上のものではありませんでした。
しかし、『クザリアーナの翼』で、今まで苦手だったはずの歌を、しかもソロで歌う場面があり、その堂々としたパフォーマンスに正直佐江ちゃんにはまだまだ伸びしろがあるのだということを痛感させられました。
だからこそ『AKB49 恋愛禁止条例』は期待して見に行き、結果として期待以上のものを見ることができたと感じています。
『AKB49 恋愛禁止条例』は48Gをモチーフにした同名の漫画作品の舞台化で、出演メンバーはマネージャー役などを演じた男性以外はすべて48Gのメンバー。演技は初めてというメンバーもいる中、座長として彼らをまとめ、「男性だけど女性としてアイドルをしている」というキャラクターをまさに熱演していました。

ここで私はようやく、卒業後の佐江ちゃんの活躍を見たい、と思うようになりました。

アイドルでいてくれる間は、公演もある、コンサートや握手会もある、メンバーとのやりとりで日々膨大な情報が舞い込んでくる。
それはとても楽しい日々だけど、いつか終わりがくる。
でも、舞台に立つたびにきっと佐江ちゃんは新たな「成長」を見せてくれると信じることができた。だから、アイドルを卒業してしまっても、私は彼女を応援し続けたい。

そんな風に心の準備ができてきていたので、佐江ちゃん自身が「今年が最後の選抜総選挙」とアナウンスしてくれた2015年の選抜総選挙には心置きなく、自分比で過去最多の票を投じました。
もう卒業するのに矛盾しているようですが、それはアイドルでいてくれたことへの感謝の気持ちでした。
そして、そう思ったファンはきっと多かったのだと思います。
結果は過去最高の8位。
そして翌年2016年の4月1日、チームK2期生10周年記念特別公演をもって、佐江ちゃんはアイドルを卒業しました。

浪費の振り返り

SKE時代は公演への遠征(愛知県栄に劇場があります)や、握手会が48GのものとSKEのものとで倍に増えたこと(※この頃には比較的握手券がとりやすくなっていた)で、一番浪費していたと思います。

握手券は1回11枚までと決めていて、1、3、3、3、1で出すのが最高パターンだと思っていました。
最初の1枚と最後の1枚は挨拶、3枚出しなら3往復くらいの会話ができるので、公演の感想を話すのはその時、という具合です。
それがだいたい月2回くらいだったのと、後はコンサートと選挙関連でしょうか。(※グッズはあまりかわいいのがなくほとんど手を出しませんでした。佐江ちゃんオタは女性が多く、顔写真がプリントされただけのグッズを購入する人はとても少なかったため、そういうところが序列を下げられる原因では?と議題にあがることも多々ありました)。
選挙は1票=CD1枚の値段、だと思っている人が多いと思いますが、実際はそれだけではありません。より安価に投票できるモバイル票や、握手はしたいけど選挙には興味がない…というファンが流す「投票券」のみのやりとりというのもあり…と説明し出すときりがないのですが、各陣営ごとに力を入れているポイントが違ったと思います。
正直、選挙は必ずしも「推しの活躍の場が増える」という意味での報われ方をするものではないと思います。
けれど時にはそれが推しの「自信」や「支え」になることはあると思う。

去年の総選挙からの一年間、どんな時でも私を支えてくれ、自信を持たせてくれたのはファンの皆さんです。
去年の総選挙の結果が、この一年間私を強くさせてくれました。
総選挙。|宮澤佐江オフィシャルブログ「おやすみなさえ」Powered by Ameba

ほとんどステージにあがることができなかった2013年、ファンも試行錯誤していましたが(佐江ちゃんが参加すらしていない中国版のCDを買ったときはなんだか悲しかった)、この言葉をもらえたことで、選挙頑張ってよかったな、と思えたのを覚えています。

そのお金を別のことに使う方がいい場合ももちろんあるけれど、あの時はそうしたいと思ったし、今でも悔いはありません。総選挙に参加するのは「佐江ちゃんの笑顔が見たい」から。それは、最初から最後まで変わりませんでした。

私の48Gでの主人公はずっと佐江ちゃんでした。
そして今は、舞台を中心に活躍している「宮澤佐江」さんを応援しています。

心の隙間

なんてまとめてみましたが、それでもやはり「卒業」は寂しく、そんなときは心にぽっかりと穴があくものです。
そのせいか、佐江ちゃんの卒業発表とほぼ時期を同じくして出会った次元の違う新たなコンテンツに私はすっかりはまってしまいました。
なので、現在は佐江ちゃんと才加ちゃん(ここではあまり触れていませんが私のもう1人の推しです)の舞台を追いかけるのと同時にそちらをメインに活動しています。
そちらも供給がとても多く、推しを知るために学びたいことも次々に出てくるので、毎日が楽しいです。
疲れたな~とか思ったときも推しのことを考えると元気がでるし、今後の活躍を見るまで死ねるかと思う。
そんな風に、ときめきに力をもらいながら死ぬまで好きなものを追いかけていきたいと思っている。
だから、今後も「節約したい」という気持ちと「好きなものには糸目をつけたくない」という気持ちを共存させながら、生きていくのだと思います。

浪費図鑑の感想とあわせて書こうと思ったのですが、ものすごく長くなってしまったので、それはまた改めて。

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

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「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」

2009年に至上最年少の19歳で英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルとなり、2012年に電撃退団をした、ウクライナ出身のバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーを見ました。

恥ずかしながら、私はセルゲイ・ポルーニンのことをほとんど知りませんでした。
幾つかの写真とニュース記事を読んだことがあったくらいで、映画の後半にでてくる『Take Me to Church』の映像すら見たことがなかった。
つまり私はこの映画で初めて、動くセルゲイ・ポルーニンを見たのだけど、
その人生の物語よりもまず先に、世界にはこんな風にはっきりと、目に見える才能というのがあるのだということが、重く、印象に残る映像だったと思います。


映画で描かれる彼のこれまでの人生は非常に過酷なものでした。家族は彼の才能にかける形で散り散りになって金を稼ぎ、それを全て彼の学費に費やしている。セルゲイもまた、自分の成功が家族を再び繋ぐはずだと信じ、幼い頃から努力し続け、ついには幼くして単身、イギリスで暮らすことになる。
家族を犠牲にした上で結果をださなければならない、という重圧は見ていて苦しくなるものだったのだけど、それと同時に、彼の踊りははっきりと、何の裏表もなく圧倒的なのだった。
彼の母親は、もう一度人生を繰り返すとしてもセルゲイのために全てを投げ打っただろうと話していたし、それは並大抵の覚悟ではできないことだと承知したうえで、この才能を前にすれば、それ以外の選択はできないのでは、とも思った。

彼が飛ぶたびに、彼が特別な存在であることがわかる。
英国ロイヤルバレエ団時代には彼のために2年先のチケットまで予約する人がいたという。
それはもちろん、彼が自分の才能に尽くしたからこそ手に入れられた力なのだろうし、私は映画を通してその一端をみただけにすぎない。
けれど、彼のこれまでの人生がどのようなものであったとしても、バレエに出会えば、きっとこの才能は開花しただろうと思ってしまった。
圧倒的な存在に出会って、そのモチベーションに神聖さを見いだしたくなるのは、理解できないものへの解説を求めるような心理だと思う。でも、たとえモチベーションがどんなものであったとしても、その才能が特別なものであることに変わりはない。そして時には才能が人を使役することすらあるんじゃないだろうか。

そんなことを思いつつ、踊る理由をなくし、追いつめられたようなセルゲイの様子を見るのは胸が痛んだ。
映画の中には、彼を大切に思っている人がたくさん出てくる。だから彼は決して孤独ではないはずだ。
でも、映画を見ている間ずっと、その才能によって人生の速度が人と違ってしまっているような孤独を感じていた。なんて言葉にあてはめるとひどく安っぽいけれど、
「才能を抱える」ということのおそろしさを感じる映画でもありました。

とても優しいラストだったのでほっとしたけれど、うまく感想が言葉にならない。
彼の踊りがもっと見てみたいです。

www.youtube.com

梟書茶房に行ってきました

池袋に新しくオープンした「本と珈琲 梟書茶房」に行ってきました。
神楽坂のかもめブックスとドトールコーヒーのコラボレーションというだけで最高な組み合わせだし、個人的にも池袋に気に入りの喫茶店が欲しかったので開店のニュースを聞いてからずっと楽しみにしていました。
休日だったのでかなり混雑しているだろうなと予想していたのですが、店内が広いせいか、5分くらい待ってすぐに入ることができました。

客席はいくつかのエリアに別れているようです。

「本と珈琲 梟書茶房」の店内は大英図書館のようなイメージで、「読書と珈琲を楽しむゾーン」「珈琲と食事を楽しむゾーン」「物思いに耽るゾーン」「お喋りするゾーン」と4つのエリアに分類。
https://www.fashionsnap.com/news/2017-06-30/fukuro-shosabo-open/

私が座ったのはたぶん「読書と珈琲を楽しむゾーン」だと思います。
木の机の真ん中がガラス窓になっていて、中に入れられている本が見える。もちろん取り出して読む事も出来ました。
机は広くて、珈琲を飲みながら書きものをするのにも充分なスペースがあってとても居心地が良かったです。

食べ物メニューも豊富。パスタやデザートにもひかれましたが、ミラノサンド好きは絶対行くべき! というこちらの記事を読んでいたので,今回はサンドメニューからコンビーフと北海道ポテトのサンドを頼みました。

www.buzzfeed.com

これがめちゃくちゃおいしかった…。
そもそもミラノサンドっておいしいじゃないですか(ここ5年くらいですごくおいしくなっているとおもいます)。でもこれは600円くらいするからかな…本当にものすごくおいしい。とりあえず池袋行ったら絶対またここで食べようと思いました。

それからコーヒーもおいしかったな。
初めてなので、かもめブックスの柳下恭平さんが選んだ本と、その本に合わせてドトールの菅野眞博さんがブレンドしたコーヒー、というものすごい贅沢な「梟叢書」セットというのを頼んでみました。私が行った日のテーマは「偏愛」だったかな。
テーマからして好きそうだと思ったのですが、届いた本をひらいてみたら、これ、欲しかった本だ!となってときめきました(たぶんまだそのセットかもしれないのでタイトルは伏せておきます。でも私はとっても嬉しかった。)。
コーヒーもすごくおいしかったので、この本を読むたびにあの味を思い出せる、ような気がします。

この梟叢書のように、推薦文だけが書かれたシークレットブック「ふくろう文庫」のコーナーも面白かった。中には、これは読んだことがある本だな、というのもあって、そういった本にかかれた推薦文を読んで、この本が好きならあれも、繋がっていくのもまた楽しい。
梟叢書もですが、ほんとネタばれせずに気持ちをそそるのが本当にうまいコメントだなとおもいます。そういえばかもめブックスも行くたびにあれこれ買ってしまうお店でした。

ほんとすごく丁寧に準備されたおもてなしのお店だったので末永く続いて欲しいです。とりあえず池袋に行ったら絶対寄りたい!

ミュージカル「ピーターパン」を見ました!

ピーターパンの舞台が定期的に行われている、というのは何となく知っていたものの、実際に見たのは今回が初めて。なんと1981年から毎年上演されているとのことで、会場には歴代ピーター役のパネルも飾られていました。最近では高畑充希さんが6年間ピーター役を務めていたのだそうです。
そして今回は新人の吉柳咲良さんという方が13歳(!)という若さでの主演でした。

見に行ったきっかけは、もちろん宮澤佐江ちゃんがタイガー・リリー役で出演すると知ったから。しかも神田沙也加ちゃんもウェンディ役で出演するとのことで、とても楽しみにしていました。

タイガー・リリー!


まずは何といってもお目当てのタイガー・リリーですよ。
役柄的にも佐江ちゃんに似合うことは予想できたので、完全に安心しきって見に行ったのですが、これがほんと~~に似合っていて最高でした!
タイガー・リリーは、ピーターと協力して海賊たちと戦うことになる仲間のような役所です。所謂インディアン喋り(片言口調)なので台詞はすくないんだけど、ダンスやアクションシーンはたくさんあって楽しい。
まず最初に仮面をつけて登場して、外した瞬間にもう5億点!!と思うくらいに凛々しくて、メイクや長い足が際立つ衣装もかっこよかったし、インディアンのダンスも迫力があるのにどこか優雅で、さすが佐江ちゃんだなと思いました。やっぱり私は佐江ちゃんが踊ってるのを見ると幸せです……。
槍をもって走る佐江ちゃんは完全に戦士だったし、カーテンコールでは優しい表情で大天使マイケルをエスコートしたり、ウェンディに抱きつかれて照れたりしていて、つまり佐江ちゃんの色んな顔が見れる素晴らしいとても舞台でした。大満足です!

お子さんへの配慮を感じる

会場には予想してた以上に小さなお子さんがたくさんきていました。「アニー」みたいな感じなのかな? たぶんお客さんの3分の1くらいは幼稚園から小学生までのお子さんだったんじゃないでしょうか。
物販も子ども向けのかわいらしいもの(フック船長の帽子やティンクの羽根など。ウェンディのリボンが人気のようでした)がたくさんあって、ロビーには「ピーターに手紙を書こう!」なんてコーナーも用意されていて至れり尽くせり。
舞台が3幕構成になっているのもお子さんへの配慮なんだろうなと思います。3幕構成とはいっても細切れという感じはなく、合間合間に感想を話せたりして楽しかった。
あとピーターがお客さんに対して呼びかけるシーンにはお子さんが真っ先に声を出していて、ぐっときました。

子役がすごい

見始めてまずびっくりしたのは子役(ウェンディの弟であるジョンとマイケル)の2人です。年齢的には小学校の高学年と幼稚園かな…?ってくらいの小さい子なんですけど、2人とも歌うし踊るし飛ぶし完全にジョンとマイケルでめちゃくちゃかわいかった…。
調べてみたらマイケル役は女の子(山田樺音さん)で、ジョン役の福田徠冴さんはすでに舞台経験も豊富な方のようです。
この2人がほんとーーーにかわいくて1幕が終わった時点でちょっと泣いてました。小さい子が頑張ってるの見ると泣いてしまう…。
そして見ている時はまったく気付いてなかったのですがピーター役も13歳なのでむしろこの2人の方に世代が近いんですよね。すごいな…!
ピーター役の吉柳咲良さんは、見ててものすごく緊張してるのが伝わってきてちょっとはらはらするくらいだったのですが、歌はすごく伸び伸びとしていて、きっとこれからすごい女優さんになるんだろうなと思いました。

トーリー

人によって「ピーターパン」の原体験っていろいろだと思いますが、私の場合は世界名作劇場ピーターパンの冒険」が、ロビン・ウィリアムズの「フック」で上書きされた感じの記憶になっています。でもこれ、今改めて見直してみるとどちらもかなりのアレンジされたピーターパンなんですよね。
原作を読んだことがないので、今回のミュージカルピーターパンはどの程度原作に忠実なのかはわかりませんが、ラストシーンがわりと辛いものだったことには驚きました。確かディズニーのピーターパンにはそういうシーンがあった気もするけど…。
有名なのでネタばれではないと思うんですが、(結末に触れているので白文字です)現実世界に戻ったウェンディをピーターが迎えにくるという展開で、でもそのときウェンディはすでに大人になってるんですよね。で、ピーターは代わりにウェンディの娘を連れて行ってしまうんですよ。
ちょっとこわい…、と思ってしまうのは私が大人になってしまったからなんでしょうか。
「フック」ではピーターはウェンディの孫と結婚してる設定だったかな。何となく大人になる事を受け入れる話のニュアンスが強かったので、ラスト
「君は大人になりすぎた」
なんてウェンディに言うので、辛い…という気持ちになりました。

でも終演後、お子さんたちが「ピーターに会いたい~!」なんて言ってたりもしたので、これはこれで素敵な原体験なんだろうな。

子どもの頃は「そういうものだ」と思って見聞きしていた物語でも、大人になって改めて見返すと、また違う側面が見えたりするのは面白いし、だからこそ、ピーターパンにもいろんな解釈のバージョンが生まれているのだろうなと思います。

youtu.be

↑1分くらいのとこからタイガーリリーが出てくるので見てください!かわいい!

インク瓶

子どもの頃、祖父の書斎にあったインク瓶に憧れていた。
とはいえ、あれがインク瓶だった、と気付いたのはある程度大人になってからだ。
それは蓋付きのうつわと、ペンさしが1枚の板の上に貼付けられているというガラス細工で、台の裏にはえんじ色のフェルト布が貼られていた。
隣にはきらきらした紙の詰まった瓶も置かれていて、書斎に入るたび、せめてこれを1枚もらえないだろうかと思っていた。
あの、机の上の光景を、時折、新しい文具を買うときなどに思い出す。
些細なものだ。
昼過ぎの光の具合や、日の当たった机の上の暖かさ、これを手に入れたらきっと何かすてきなことが起こるという気分だけが、頭の右上に瞬いて、
それを消さないようにそっと、新しい道具を手に取る。

大人になるにつれ、新しくものを買う、という経験は珍しいことではなくなり、とりあえず買って積んでいる雑誌や使い終えていない文具なんてものも増えてきた。
けれど「これを手に入れたら何かが起こる」という予感は大事にしたいし、
その閃きを現実の瞬間に繋げることが、ものを手に入れる責任なのだと自覚したうえで、買い物をしなければと、思っている。

すべて夏休みに解決できたらいいなと、この時期特有の過大な期待を寄せている。夏休みに。