『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』にはまった話

現在上演中の舞台『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』を見に行きました。
好きな俳優さんが何人も出るのでとても楽しみにしていて、チケットも複数枚とっていました。
とはいえ、私はこれまで劇団☆新感線の舞台はこれまで見たことがなく、映画館に行くとよく「ゲキシネ」の宣伝が流れるので、すごく大掛かりな舞台をやる劇団なんだろうな(&古田新太さんがいるところだよね)というくらいのイメージでした。
今回チケットをとるにあたって、「髑髏城の七人」は7年に1度繰り返し上演されているシリーズであるということ、さらに2017年は「花」「鳥」「風」「月」の4シーズン(のちに極の発表があった)あったということを知りましたが、ストーリーなどは全く知らない、まっさらな状態で見に行きました。
このまっさら具合が個人的にはとてもよかったので、もしもここを読んでくださってる方で、もしも現在まっさらな状態で見る予定がある、という方にはぜひまっさらで見ることをお勧めします。

で、これがとっっても面白かったんです!
最初は12月2日に見て、それからずっとドキドキした状態で9日にも見て、これは完全に好きになってしまったと思ったので、来週には上弦を見に行くというこのタイミングで現在の心境を書き留めておきたいと思います。
関係ないけど新しく好きなものができる時の気持ちって「強い気持ち強い愛」をBGMに駆け出したくなります。今のこの気持ちほんとだよね…!!

あらすじと劇場

物語の舞台は本能寺の変から8年が経過した時代。
(私は織田信長を巡るお話であるということも知らなかったのですがこれは最初のシーンでわかることなのでネタバレというわけでもないかなと思いますので書いてしまいますね)
天魔王と呼ばれる男が関東を支配しており、主人公である捨之介は、彼が出会う人々とともに、戦乱の世を再び蘇らせるという天魔王の企みに立ち向かう…というのが大方のあらすじじゃないかと思います。
髑髏城はシーズンごとにキャストも演出も変わるそうですが、この部分は概ね共通しているはず…。でも共通しているのはあくまでも大筋だけのようで、観た後に他の髑髏城の話をきいていると、まるでパラレルワールドのお話みたいで面白いです。きっとそういうところも人気の理由なんだろうな。
長く演じ続けられている物語だからか、物語のテンポはとても良いし、印象的な場面がいくつもある。それでいて、見終わって「あのセリフがよかった」って思ったセリフが前の髑髏城にはなかったと友達に教えてもらったりもして、一体毎回どれだけ変えてきてるのかなということも気になってきてしまいます。(月への気持ちが落ち着いたら見てみたいと思ってます)

それから今回上演されている「IHIステージアラウンド東京」という劇場もアトラクションみたいで楽しかった。360度舞台に囲まれた劇場で座席ごと回りながら見るんですが、使っていないセットの部分の手前にあるスクリーンの映像とあいまって独特の浮遊感がある。
しかもすごく奥行きのあるセットで、特にアクションシーンなどにはとても臨場感がありました。いろんなところでいろんなことが一気に起こっているのが観れる。

見に行ったきっかけ

私が今回の舞台を観に行った主な目的は天魔王役の鈴木拡樹さんと蘭兵衛役の廣瀬智紀さんでした。(髑髏城の、少なくとも月は天魔王と蘭兵衛と捨之介3人の物語といえると思います。)
私がこの2人を初めてみたのは「舞台 弱虫ペダル IRREGULAR~2つの頂上~」でした。
私が初めて観たいわゆる2.5次元と呼ばれる舞台です。弱虫ペダルはもともと好きだったのですが、舞台についてはこの時友達に誘ってもらわなかったらきっと行くこともなかったんじゃないかと思う。
でも観に行って、ほんと10秒くらい(「スタートを切る!」の瞬間ですね)で、世界が輝いたと思いました。私の好きな弱虫ペダルが動いている!って興奮したのは今も忘れられない…。
そこからペダステの過去作のDVDを貸してもらって一気に見て、
鈴木さんはキャストの中で特に「すごいな」と思った人で、廣瀬さんは、好きなキャラクターを演じられていたこともあって、いちばん思い入れのあるキャストになりました。

それ以降「ペダステ」には欠かさず通っています。2.5次元舞台自体はそんなにたくさんは見たことがありませんが、あんなふうにキャラクターを3次元に召喚してくれる世界が本当にすごいなと思っているし、彼らの活躍を応援したいというファン心理みたいなのもあり、今回下弦の月のチケットを複数枚抑えたのでした。今となっては当時の自分に感謝を伝えたいくらいです。

【以下内容に触れています】

蘭兵衛

とにかく蘭兵衛が、幼少期から積み重ねられてきた好みのツボがこれでもかと押されるキャラクターで、こんなの好きになるに決まってるじゃんという感じでした。抗えない。
序盤の物腰の柔らかさ、目線の色気、強いのに弱くて、儚く、そして闇落ちまでする…!!!
ギャップです。私はギャップに弱いんです。さっきまであんなに穏やかだった眼差しに滲む仄暗さ、そしてそれが引きずり出された先にある狂気。
指先の動き一つ一つが美しくて目が離せなくなりました。
私は後半の蘭兵衛さんに物陰から眺めているところを見つかって切られたいです。
完全に蘭兵衛推しです。
ちなみに廣瀬さんが演じたキャラクターにどハマりするのは2回目なので、たぶん私は廣瀬さんの「解釈」が好きなのかもしれない、と思っています。
もちろんご本人も美しくて大好きなのですが、「演じたキャラのファン」になってしまう要素の強い役者さん。パンフレットで「2.5次元というジャンルに誇りを持って挑んでいたので、お声掛けいただいたことが嬉しくて」と書かれていたのもグッときました。

天魔王

鈴木さんは初めて見たペダステでも、その後に見た刀ステでも、一人異次元というか迫力がすごい人だったので今回もとても期待していました。
最初に見に行ったのは12/2の昼公演だったのですが、この公演では、クライマックスシーンで鈴木さんのかつらがとれてしまうというというハプニングがありました。
多分とっさにウィッグの下のネットをとって元の髪があらわになったのですが、ストレートの黒髪だったこともあり、一瞬演出かな?と思ってしまうくらい、判断が速かった。
おそらくネットで押さえていたマイクがぶら下がってしまう状態になっていましたが、演技が途切れることはなく、しかし会場全体に伝えなければいけないセリフではそのマイクを自然に手繰り寄せてフォローしていて、ああ舞台に出続けている人はさすがだな…と思えたのは終演後。
見ている間はむしろ、そのシーンであらわになる天魔王の弱さが強調されているようにすら見えて胸が苦しくなりました。
あとメイクも素晴らしいんですよね…天魔王の手の色が、最後まで見ると切なくてなりません。蘭と2人で無界の里にいくシーンはまるで双子のようだった。
今はずっと天魔王と蘭兵衛と捨之介が幼かった時代のスピンオフをみたい…ってぐるぐる考えています。

上弦を見る前に各キャラクターの印象まとめ

もちろんその他のキャストも皆素晴らしくて、我に返る瞬間もなく4時間近い上演時間があっという間に思えました。
そして現在交互に上演されている上弦の月の噂を聞く限り、そちらでは天魔王も蘭兵衛も捨之介も全く違うキャラクターに見えるらしく、気になってそちらも行くことにしてしまいました。
そんなわけで、上弦を見る前に、各キャラの印象をメモしておこうと思います。

  • 捨之介(宮野真守)…とにかく声がいい! 滑舌もいい! 清濁併せ呑む少年漫画の主人公のようなキャラクターだと思いました。
  • 天魔王(鈴木拡樹)…とても頭が良さそう。虚勢を張りながら必死で自分を守っているような切ない暴君。殿というより蘭兵衛への執着を感じた。表情筋がすごい。
  • 無界屋蘭兵衛(廣瀬智紀)…前半は物腰柔らかな優男。ある決意をしたシーンで抱えていた闇が露わになり、殿への執着を露呈させるシーンへと転がり落ちてゆくさまがひたすら妖艶だった。そして後半、斬られたい、と思いました。ラストシーンの目が忘れられない。あそこは捨之介が触れるのがいいんだよね…。
  • 兵庫(木村了)…ちょっと間抜けなところもありつつ愛おしく頼りになるお兄ちゃんだった。
  • 霧丸(松岡広大)…ヒロインだなと思ったら別の髑髏城では女性がやってたと聞いて納得しました。忍者みたい。
  • いん平(インディ高橋)…動きがとにかく面白くてたくさん笑った。ダークホース枠。
  • 珊底羅の生駒(中谷さとみ)…キュートでした。衣装も可愛かったなぁ。
  • 贋鉄斎 (中村まこと)…なぜかずっと剣部シバラクを思い出していた(ワタル)
  • 渡京(伊達暁)…とってもかわいかった。たくさん笑いました。好きなキャラ。
  • 極楽太夫羽野晶紀)…慈悲深い頼りになるお姉さんという感じ。蘭兵衛との関係は、個人的には姉と弟みたいに見えた。霧丸のことは息子みたいに思っているのかなと。
  • 狸穴二郎衛門(千葉哲也)…色気のあるおじさん。

ざっとですがこんなイメージ。
とはいえ以上はあくまでも下弦を2回見た段階での感想です。上限も楽しみだなー!そして下弦は来年も見に行きます///
平日中心だけどまだちょっとチケットあるみたいなので気になっている方は是非…!

www.tbs.co.jp
mdpr.jp

ベイビー・ドライバー

監督:エドガー・ライト

イヤホンをして音楽をかける。それが主人公の天才的ドライブテクニックを起動するスイッチになる――という設定のクライムアクション映画。とっても面白かったです…!
映画をみてまず思い出したのは10代の頃のこと。1枚のアルバムを繰り返し聴いて、ギターのカッティングやヴォーカルの呼吸音にいたるまで、音の一つひとつを記憶するようにお気に入りの曲を聞き込んでいた頃、イヤホンをすれば無敵になれる気がしたし、この最高の曲のMVを作るとしたらどんなストーリーがいいだろう、ここで画面を切り替えて、一番盛り上がるこの場面は絶対に……って想像しては何度も脳内で再生した。
その頃の気持ちを思い出しつつ、私の脳内にはもちろん描くことのできなかった最高の最高に冒頭から殴られたような気持ちで最後まで、気持ちよくリズムにのっていた。
物語は、わけあって強盗グループの手伝いをしている主人公ベイビーが否応なく犯罪に「主体的に」関わっていく過程と、平行して滑り出した彼の恋を描く…というもので、配置されたキャラクターの存在感を含め、絵コンテの切り方がほんとうに気持ちいい、まるでライブみたいな映画だったと思います。

監督は脚本執筆前から使用する楽曲を決めていたということで、

オープニングに使っているジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「Bellbottoms」は、すべてのカーチェイスの音さえもかなり早い 段階で入れていたよ。それが2008年ぐらいかな。だからその頃にはもうすでにサウンドエフェクトもすべて入れた、映画で使用しているバージョンの 「Bellbottoms」が完成していたんだ。
http://realsound.jp/movie/2017/08/post-101262.html

このエピソードを見て、こうして綿密に振付けされているからこそのライブ感なんだなと思ったりした。「Bellbottoms」のシーンだけでも5億点でてるのに、そこからの「Harlem Shuffle」(あの「Jump Around」の元ネタ)でコーヒーを買いにいく場面、高校生男子だったらもう絶対、毎朝真似しちゃうと思ったしポケットに複数のサングラスとiPodをしのばせるのに憧れるのまったなしでした。ベイビーが魅力的なのは、ほんとアンセル・エゴートの身体能力あってこそだと思います。

キャラ的にはボニー&クライドのようなダーリン&バディが特に好き。特にバディ役のジョン・ハムさんは汗だくになって前髪が乱れてからが最高でした。終盤の音楽に合わせた銃撃音のシーンもかっこよすぎて悲鳴がでるやつだった…。
本当に楽しい映画をありがとうございますという気持ちです。
エドガー・ライト監督作品まだ見てないのも多いのでちゃんと見ようと思いました!

冒頭の「Bellbottoms」のシーンは、映画「ドライブ」の冒頭シーンとも比較してみたいなと思った。どちらも冒頭からがっちり掴みに来る映画だなと思います。

ドライヴ

ドライヴ

Baby Driver (Music From The Motion Picture)

Baby Driver (Music From The Motion Picture)

サントラめちゃくちゃ元気がでます。

アイドルに浪費した日々

私が宮澤佐江ちゃんを応援しているという話はこの日記にも幾度か書いてきましたが、佐江ちゃんのアイドル卒業から1年以上が経ったことと、私の浪費対象がちょっと変化したこと、そして最近出た「浪費図鑑」という本が面白かったのもあり(同人誌版も面白かった!)、少し振り返ってみたいなと思います。

私がAKB48に興味を持ったのは2010年の第2回選抜総選挙大島優子さんが1位をとった、というニュースを見たのがきっかけでした。AKBって前田敦子がセンターじゃないんだ? 篠田麻里子ってかわいいけど3位なのか、云々、完全にネットニュースの上っ面だけを見て、飲み会で「私は篠田さんが好きだな!」なんて話していた記憶があります。
そのまま半年ほど、特に何もせずに過ごしていたのですが、丁度その年末に公開されたドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』を見て、完全にはまってしまいました。
それ以降は毎晩延々とAKBの動画を漁る日々。
正直、ドキュメンタリーを見に行ったときは映っているメンバーの半分もわかっていなかったと思うんだけど、YouTubeAKB48公式チャンネルでMVはほとんど見放題だったし、第1回じゃんけん大会の出場メンバー全員分の密着動画なんてのもあがっていて、あっという間にAKBに在籍している全メンバーの顔と名前が一致するようになっていました(たぶんその時点でAKBだけで70名近くいた)。
私が好きになった時点でAKBには膨大なコンテンツがあって、その多くが「ドキュメント」だった。
彼女たちがドキュメント(多くはメイキング動画と呼ばれるもの)で見せるのは、等身大のかわいさだけじゃない。大勢の中で埋もれまいと作戦を練る子もいれば、大人からの期待に苦しむ子もいる。率先して皆をまとめようとする子もいれば、いたずらばかりしている子もいて、得意なものを生かそうとする子、苦手を克服しようと頑張る子。皆と仲が良い子、1人でいるのが好きな子。
そういったまったく異なる性格の女の子たちが「仲間」として支えあっている。そんな彼女達の関係性に惹かれていったのが最初だったと思います。

まずはライブを見たいと思って運よくチケットがとれたものの、東日本大震災で中止になったこともあった。
災害報道の多かったあの年、私はyoutubeでアイドルばかりみていて、確実に、そのことに救われたと思っています。会社から徒歩で帰宅した家に、AKBの雑誌が転がっていて、家が遠方なためうちに泊まった先輩に笑われたのをよく覚えている。

私が初めて買ったAKB48のシングルは『Everyday、カチューシャ』でした。そして、このシングルには、第3回選抜総選挙の投票券が封入されていた。
投票券が入っているということは、誰かに投票できる権利があるということ。
「それなら、私はこの子の笑っている顔が見たいな」
そんな風に自然と顔が浮かんだのが宮澤佐江ちゃんでした。

投票するなら、少しでも上の順位になってほしい。そう思って調べているうちに、ファンクラブの会員権などでも投票できるということを知り、その年はたしか7票投票しました。

握手会

私が始めて参加した握手会(に近いもの)は、AKBの中のOffice48という事務所に所属しているメンバーで結成されていたDiVAというユニットの「スタンプ会」(メンバーが作ったスタンプを私物に押してもらえる)でした。
初めて生で見る宮澤佐江ちゃんは、冗談抜きにして「キラキラ光る粉がまぶされている」ようでした。ティンカーベルかな? と思いました。顔がすごく小さくて私の手のひらより小さいんじゃないかなと思いつつ眼が離せませんでした。
何を話したかはまったく覚えていませんが、順番ひとつ手前の位置で佐江ちゃんの横顔を見ていたときの視界ははっきりと脳内に保存されています。

そこからはもう、佐江ちゃん推し一直線でした。

私の考える握手会の最大の魅力は、何といっても「直接お礼や感想を言える」ということ。公演のダンスがかっこよかった、Mステでカメラに抜かれた時すごくかわいかった、こないだのモバメ嬉しかった、新しいシングルの衣装似合ってる、などなど。
ファンレターも書いていましたが、やはり直接ほめたかったし、それで少しでも喜んでくれる顔が見たかった。
気分は完全に「孫」の応援です。
正直アイドルはあまりにも眩しすぎて目の前に立つのはおこがましいと思うこともあった。
けれど、少しでも印象をよくしようと洋服を選ぶのは楽しかったし、アクセサリーを褒めてもらえたりした時はとっても嬉しかった。
「認知」欲との戦いもありました。
握手レーンに並んでいると、だんだんと佐江ちゃんに顔を覚えられているファンがいるのがわかってきます。中にはあだ名で呼ばれているファンもいる。
でも当時の佐江ちゃんは「超選抜」と呼ばれる人気メンバーで抽選方式の握手券はほとんど当たりませんでした。
そんな私でもいつの間にか顔を覚えてくれて、それはとても嬉しかったけど、でも私の最優先「現場」はやっぱり公演でした。

公演

AKBの現場は幾つかの種類に分かれています。

  • 公演…AKB48劇場でほぼ毎日(当時は)行われているチーム別のセットリストによる公演
  • コンサート…グループ全体でのコンサート。選抜が目立つ。
  • 全国握手会…店頭販売されるCDに封入されている券で参加できる、ミニライブ付きの握手会(1レーンに複数人いることもある/速度がはやいのでほぼ会話はできない)
  • 個別握手会…「劇場盤」と呼ばれる抽選販売されるCD1枚につき1枚握手券がついている。握手したいメンバーの名前で申し込む。

主なところはこの4つだと思います。
で、多くのファンにとってもっとも優先順位が高く、しかしなかなか行けないのが「公演」でした。
AKBは1期生によるチームA、2期生によるチームK、そして3期生によるチームBからはじまっています。
私が応援し始めたときはすでに第1回の組閣(チーム間シャッフル)を終えていましたが、2期生である宮澤佐江ちゃんはチームKのままでした。リーダーである秋元才加ちゃんの名前をとって「秋元チームK」なんて呼ばれてもいます。
当時は『RESET公演』という演目をやっていまして、これが本当に良曲揃いのいい演目だった。
当時は秋元康もちゃんとメンバーにあてがきした公演をつくっていたんですよね…。RESETという公演タイトルにもなっている曲は、第1回の組閣を終え、このチームでやっていくぞという決意の曲でもありました。

風を入れろ! チームよ、目を覚ませ! 今の場所で立ち上がれ!
風を入れろ! 今日からは新しい Oh 我らがチームK

組閣当時のことはあとで調べたことでしか知りませんが、当時の彼女達がこの歌詞で団結していったのだと思うと、今でもぐっときます。

しかし、当時の48Gは人気絶頂であったため、なかなか公演には当選することが出来ませんでした。
そして、そんなファンのために用意されているのがオンデマンド配信。なんと全公演リアルタイムで配信されているという至れり尽くせりぶりです。
さらに、何としても近くで見たいという気持ちになったときは、劇場ロビーに備え付けられたモニターで見る、ということもできました。なので当時は仕事帰りに劇場へ行って、モニターで公演を見たりもしていました。
正直、2時間近くある公演をずっと突っ立って見ているのって疲れます。しかも毎回同じセットリストです。
でも、それでも見たいと思うくらい、毎公演新鮮な発見がありました。今日はかっこいい風、今日はかわいい風、なんて公演ごとに見せ方を変えてくるのが佐江ちゃんだった。MCではふざけていても、曲に入るとドキッとするほどに表情が変わる。
そのスイッチが入る瞬間を見たくて、繰り返し同じ公演に申し込み続け、劇場に通い、通えない日はオンデマンド配信を見ていたのだと思います。

思えばこの頃が一番応援していて幸せだったなと思う。私は今でも秋元チームKが大好きです。

総選挙と選抜

私が初めて投票した第3回選抜総選挙で、佐江ちゃんは11位となりました。
当時は12位以上が「メディア選抜」という、いわゆる「選抜」としてテレビに出たりできるメンバーのはずだったのですが、それとは別に運営が推したいメンバーというのもあって、そういうときに漏れるメンバーというのが必ず出てきます。
そして次第に、佐江ちゃんがその「序列を下げられるメンバー」になっていきました。
初めて選抜から外れたのはたぶん、2012年1月に公開された『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』の主題歌になった『ファースト・ラビット』だと思います。
その後も、2012年2月の『GIVE ME FIVE!』では最後列、その次の史上最多の36人選抜だった『真夏のSounds good !』のジャケ写でも最後列。
そしてこの年の9月に、上海に新しくできるSNH48への「移籍」が発表されました。

しかし上海の劇場は待てど暮らせど完成せず、完成してもビザが下りないという理由で劇場に立つ事もできず、宙ぶらりんの状態が続きました。
当時のことはここに書いたので割愛します。

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そんな中、自分を含む「佐江ちゃん推し」は、少しでも日本での活動の場を作れたらと願い、選抜総選挙に熱を入れるようになっていきました。
思えば選挙結果が反映されていないということの憤りを選挙にぶつける、というのは矛盾しているような気もします。
それでも、運営が無視できないくらいのファンがいるのだ、と示すことさえできれば、何か状況が変わると信じていたのかもしれません。

そういったファンの意志表示のひとつが2013年1月に開催された『AKB48 リクエストアワー セットリストベスト100』でした。
これは48Gの人気楽曲をカウントダウン形式で発表していくコンサートで、佐江推しは『RESET公演』での佐江ちゃんのセンター曲『奇跡は間に合わない』に集中して票を投じ、結果、前年の24位から大きくジャンプアップして第2位を獲得します。
この時、『奇跡は間に合わない』のスペシャルパッケージで発売されたDVDボックスは今も宝物。
同年の選抜総選挙は10位。
どちらもファンにとっては「追い風」のつもりでしたが、2013年にステージの上の佐江ちゃんを見る機会は片手で数えるほどしかありませんでした。

アイドル以外の道

SNHでの活動が思うようにできない中、佐江ちゃんに大きな舞台の話が舞い込みました。地球ゴージャスプロデュース公演『クザリアーナの翼』への出演です。2014年はこれを皮切りに、SKE48チームSとの兼任、そして『AKB49 恋愛禁止条例』主役への抜擢など様々な活動の場が用意されるようになりました。
このあたりから、個人的な意識は「佐江ちゃんの卒業後」へ向いてきたような気がします。
SKEとの兼任については、ファンの間では賛否両論あったものの、結果としてメンバーには温かく迎え入れられ、個人的には良かったと思っています。
しかし何よりも『AKB49 恋愛禁止条例』での佐江ちゃんがすばらしかったことに私は感動していました。
佐江ちゃんの出る舞台を始めて見たのは2011年の『ダブルヒロイン』。これは当時の超過密スケジュールの中で行われたということもあり、本人も納得がいっていないようでしたが、正直なところ「推しが見れて嬉しい」以上のものではありませんでした。
しかし、『クザリアーナの翼』で、今まで苦手だったはずの歌を、しかもソロで歌う場面があり、その堂々としたパフォーマンスに正直佐江ちゃんにはまだまだ伸びしろがあるのだということを痛感させられました。
だからこそ『AKB49 恋愛禁止条例』は期待して見に行き、結果として期待以上のものを見ることができたと感じています。
『AKB49 恋愛禁止条例』は48Gをモチーフにした同名の漫画作品の舞台化で、出演メンバーはマネージャー役などを演じた男性以外はすべて48Gのメンバー。演技は初めてというメンバーもいる中、座長として彼らをまとめ、「男性だけど女性としてアイドルをしている」というキャラクターをまさに熱演していました。

ここで私はようやく、卒業後の佐江ちゃんの活躍を見たい、と思うようになりました。

アイドルでいてくれる間は、公演もある、コンサートや握手会もある、メンバーとのやりとりで日々膨大な情報が舞い込んでくる。
それはとても楽しい日々だけど、いつか終わりがくる。
でも、舞台に立つたびにきっと佐江ちゃんは新たな「成長」を見せてくれると信じることができた。だから、アイドルを卒業してしまっても、私は彼女を応援し続けたい。

そんな風に心の準備ができてきていたので、佐江ちゃん自身が「今年が最後の選抜総選挙」とアナウンスしてくれた2015年の選抜総選挙には心置きなく、自分比で過去最多の票を投じました。
もう卒業するのに矛盾しているようですが、それはアイドルでいてくれたことへの感謝の気持ちでした。
そして、そう思ったファンはきっと多かったのだと思います。
結果は過去最高の8位。
そして翌年2016年の4月1日、チームK2期生10周年記念特別公演をもって、佐江ちゃんはアイドルを卒業しました。

浪費の振り返り

SKE時代は公演への遠征(愛知県栄に劇場があります)や、握手会が48GのものとSKEのものとで倍に増えたこと(※この頃には比較的握手券がとりやすくなっていた)で、一番浪費していたと思います。

握手券は1回11枚までと決めていて、1、3、3、3、1で出すのが最高パターンだと思っていました。
最初の1枚と最後の1枚は挨拶、3枚出しなら3往復くらいの会話ができるので、公演の感想を話すのはその時、という具合です。
それがだいたい月2回くらいだったのと、後はコンサートと選挙関連でしょうか。(※グッズはあまりかわいいのがなくほとんど手を出しませんでした。佐江ちゃんオタは女性が多く、顔写真がプリントされただけのグッズを購入する人はとても少なかったため、そういうところが序列を下げられる原因では?と議題にあがることも多々ありました)。
選挙は1票=CD1枚の値段、だと思っている人が多いと思いますが、実際はそれだけではありません。より安価に投票できるモバイル票や、握手はしたいけど選挙には興味がない…というファンが流す「投票券」のみのやりとりというのもあり…と説明し出すときりがないのですが、各陣営ごとに力を入れているポイントが違ったと思います。
正直、選挙は必ずしも「推しの活躍の場が増える」という意味での報われ方をするものではないと思います。
けれど時にはそれが推しの「自信」や「支え」になることはあると思う。

去年の総選挙からの一年間、どんな時でも私を支えてくれ、自信を持たせてくれたのはファンの皆さんです。
去年の総選挙の結果が、この一年間私を強くさせてくれました。
総選挙。|宮澤佐江オフィシャルブログ「おやすみなさえ」Powered by Ameba

ほとんどステージにあがることができなかった2013年、ファンも試行錯誤していましたが(佐江ちゃんが参加すらしていない中国版のCDを買ったときはなんだか悲しかった)、この言葉をもらえたことで、選挙頑張ってよかったな、と思えたのを覚えています。

そのお金を別のことに使う方がいい場合ももちろんあるけれど、あの時はそうしたいと思ったし、今でも悔いはありません。総選挙に参加するのは「佐江ちゃんの笑顔が見たい」から。それは、最初から最後まで変わりませんでした。

私の48Gでの主人公はずっと佐江ちゃんでした。
そして今は、舞台を中心に活躍している「宮澤佐江」さんを応援しています。

心の隙間

なんてまとめてみましたが、それでもやはり「卒業」は寂しく、そんなときは心にぽっかりと穴があくものです。
そのせいか、佐江ちゃんの卒業発表とほぼ時期を同じくして出会った次元の違う新たなコンテンツに私はすっかりはまってしまいました。
なので、現在は佐江ちゃんと才加ちゃん(ここではあまり触れていませんが私のもう1人の推しです)の舞台を追いかけるのと同時にそちらをメインに活動しています。
そちらも供給がとても多く、推しを知るために学びたいことも次々に出てくるので、毎日が楽しいです。
疲れたな~とか思ったときも推しのことを考えると元気がでるし、今後の活躍を見るまで死ねるかと思う。
そんな風に、ときめきに力をもらいながら死ぬまで好きなものを追いかけていきたいと思っている。
だから、今後も「節約したい」という気持ちと「好きなものには糸目をつけたくない」という気持ちを共存させながら、生きていくのだと思います。

浪費図鑑の感想とあわせて書こうと思ったのですが、ものすごく長くなってしまったので、それはまた改めて。

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

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「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」

2009年に至上最年少の19歳で英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルとなり、2012年に電撃退団をした、ウクライナ出身のバレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリーを見ました。

恥ずかしながら、私はセルゲイ・ポルーニンのことをほとんど知りませんでした。
幾つかの写真とニュース記事を読んだことがあったくらいで、映画の後半にでてくる『Take Me to Church』の映像すら見たことがなかった。
つまり私はこの映画で初めて、動くセルゲイ・ポルーニンを見たのだけど、
その人生の物語よりもまず先に、世界にはこんな風にはっきりと、目に見える才能というのがあるのだということが、重く、印象に残る映像だったと思います。


映画で描かれる彼のこれまでの人生は非常に過酷なものでした。家族は彼の才能にかける形で散り散りになって金を稼ぎ、それを全て彼の学費に費やしている。セルゲイもまた、自分の成功が家族を再び繋ぐはずだと信じ、幼い頃から努力し続け、ついには幼くして単身、イギリスで暮らすことになる。
家族を犠牲にした上で結果をださなければならない、という重圧は見ていて苦しくなるものだったのだけど、それと同時に、彼の踊りははっきりと、何の裏表もなく圧倒的なのだった。
彼の母親は、もう一度人生を繰り返すとしてもセルゲイのために全てを投げ打っただろうと話していたし、それは並大抵の覚悟ではできないことだと承知したうえで、この才能を前にすれば、それ以外の選択はできないのでは、とも思った。

彼が飛ぶたびに、彼が特別な存在であることがわかる。
英国ロイヤルバレエ団時代には彼のために2年先のチケットまで予約する人がいたという。
それはもちろん、彼が自分の才能に尽くしたからこそ手に入れられた力なのだろうし、私は映画を通してその一端をみただけにすぎない。
けれど、彼のこれまでの人生がどのようなものであったとしても、バレエに出会えば、きっとこの才能は開花しただろうと思ってしまった。
圧倒的な存在に出会って、そのモチベーションに神聖さを見いだしたくなるのは、理解できないものへの解説を求めるような心理だと思う。でも、たとえモチベーションがどんなものであったとしても、その才能が特別なものであることに変わりはない。そして時には才能が人を使役することすらあるんじゃないだろうか。

そんなことを思いつつ、踊る理由をなくし、追いつめられたようなセルゲイの様子を見るのは胸が痛んだ。
映画の中には、彼を大切に思っている人がたくさん出てくる。だから彼は決して孤独ではないはずだ。
でも、映画を見ている間ずっと、その才能によって人生の速度が人と違ってしまっているような孤独を感じていた。なんて言葉にあてはめるとひどく安っぽいけれど、
「才能を抱える」ということのおそろしさを感じる映画でもありました。

とても優しいラストだったのでほっとしたけれど、うまく感想が言葉にならない。
彼の踊りがもっと見てみたいです。

www.youtube.com

梟書茶房に行ってきました

池袋に新しくオープンした「本と珈琲 梟書茶房」に行ってきました。
神楽坂のかもめブックスとドトールコーヒーのコラボレーションというだけで最高な組み合わせだし、個人的にも池袋に気に入りの喫茶店が欲しかったので開店のニュースを聞いてからずっと楽しみにしていました。
休日だったのでかなり混雑しているだろうなと予想していたのですが、店内が広いせいか、5分くらい待ってすぐに入ることができました。

客席はいくつかのエリアに別れているようです。

「本と珈琲 梟書茶房」の店内は大英図書館のようなイメージで、「読書と珈琲を楽しむゾーン」「珈琲と食事を楽しむゾーン」「物思いに耽るゾーン」「お喋りするゾーン」と4つのエリアに分類。
https://www.fashionsnap.com/news/2017-06-30/fukuro-shosabo-open/

私が座ったのはたぶん「読書と珈琲を楽しむゾーン」だと思います。
木の机の真ん中がガラス窓になっていて、中に入れられている本が見える。もちろん取り出して読む事も出来ました。
机は広くて、珈琲を飲みながら書きものをするのにも充分なスペースがあってとても居心地が良かったです。

食べ物メニューも豊富。パスタやデザートにもひかれましたが、ミラノサンド好きは絶対行くべき! というこちらの記事を読んでいたので,今回はサンドメニューからコンビーフと北海道ポテトのサンドを頼みました。

www.buzzfeed.com

これがめちゃくちゃおいしかった…。
そもそもミラノサンドっておいしいじゃないですか(ここ5年くらいですごくおいしくなっているとおもいます)。でもこれは600円くらいするからかな…本当にものすごくおいしい。とりあえず池袋行ったら絶対またここで食べようと思いました。

それからコーヒーもおいしかったな。
初めてなので、かもめブックスの柳下恭平さんが選んだ本と、その本に合わせてドトールの菅野眞博さんがブレンドしたコーヒー、というものすごい贅沢な「梟叢書」セットというのを頼んでみました。私が行った日のテーマは「偏愛」だったかな。
テーマからして好きそうだと思ったのですが、届いた本をひらいてみたら、これ、欲しかった本だ!となってときめきました(たぶんまだそのセットかもしれないのでタイトルは伏せておきます。でも私はとっても嬉しかった。)。
コーヒーもすごくおいしかったので、この本を読むたびにあの味を思い出せる、ような気がします。

この梟叢書のように、推薦文だけが書かれたシークレットブック「ふくろう文庫」のコーナーも面白かった。中には、これは読んだことがある本だな、というのもあって、そういった本にかかれた推薦文を読んで、この本が好きならあれも、繋がっていくのもまた楽しい。
梟叢書もですが、ほんとネタばれせずに気持ちをそそるのが本当にうまいコメントだなとおもいます。そういえばかもめブックスも行くたびにあれこれ買ってしまうお店でした。

ほんとすごく丁寧に準備されたおもてなしのお店だったので末永く続いて欲しいです。とりあえず池袋に行ったら絶対寄りたい!