2017年に見た映画ベスト10!

今年映画館で見た映画は多分43本。絶対に好きだろうなと思いつつタイミングが合わずに見逃してしまった映画もたくさんあったにもかかわらず、この43本の中に今年ベストにあげたい作品もたくさんあって、本当に豊作の年だったと思います。
それから個人的には、夏にタブレットを購入したことで家で映画を見る楽しみを思い出した年でもありました。今までタブレットで映画見る生活とか全然想像できなかったんですけど、購入して再生してみたら驚きの快適さだった…。というわけで今はAmazon primeNetflixを使って映画を見たりもしています。来年は海外ドラマもいろいろ見たいなと思ってます!

そんなわけで今年の「個人的に好きだったベスト10」を書いておきたいなと思います。

10位「アトミック・ブロンド

シャーリーズ・セロンに忠誠を誓いたくなる映画。とにかくシャーリーズ・セロンのアクションが素晴らしかった。女性が主役のアクションもので、ここまで「強い」感を前面に押し出しているものって今までほとんど見たことがない気がします。とにかく強いしその強さが才能に裏打ちされたものというよりも鍛錬によって磨き上げられたものという説得力があるのも良かった。
お話的にはもう一声、という気もするのですが、実はこの映画を見た数日前に「裏切りのサーカス」を見ていたため、東西冷戦時代ものの気分だったというのも作用しているかもしれません。「裏切りのサーカス」最高だった。

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9位「マグニフィセント・セブン

適材適所ものが大好物なので本当〜に楽しかった!
とにかくクリス・プラット演じるギャンブラーのファラデーが最高にかっこ良かったです。あの体格で笑顔が可愛いのが最高だし、道化役ポジのキャラが最後…みたいなのたまらないでしょ…。あとグッドナイト&ビリーの2人組も最高。
そして夫の敵討ちのために7人を雇い自らも戦いに参加するヘイリー・ベネットさんの美しさも魅力的でした。
地形の利用の仕方など、タクティクスオウガをプレイしているときの気持ちを思い出したりできて楽しかったな。

8位「We are X」

Xの事あまり知らないのになぜ見に行ったのか、きっかけを忘れてしまったんですが、とにかく本当に見てよかった1本。今までYOSHIKIの事誤解しててごめんねって気持ちになったし、TOSHIの洗脳騒ぎ、解散、HIDEの死がこんな立て続けに起こったという時系列が今まで把握できていなくて、この時期のXファンの心境を思うといたたまれなくなった。でも、それでもついていこうと思う熱量がXのパフォーマンスや楽曲にあることもよくわかったし、その根源の部分に幼い頃のYOSHIKIの繊細さがあるのも魅力だなと思えた。紅の歌詞が書かれたノートの中学生男子そのままの文字の愛おしさよ。
TOSHIの洗脳騒ぎについてもがっつり触れていて、彼が参ってしまった理由も何となく察することができると同時に、洗脳から戻ってくることができるんだといういい例の一つだなと心強く思った。
見ていた映画館では、オープニングでいきなりヘドバンし始めたお客さんが居たんだけど、本編始まると同時にスッとなったのもよかった。映画に出てくるXファンは皆、Xのことが大好きなんだっていう顔をしていて、ファンの姿を捉えた映画としてもとても良かった。

7位「新感染」

いわゆる(?)速いゾンビものです。新幹線(のような釜山行き特急列車)にゾンビになる菌の保菌者が乗り込みんでいたことで、列車内にゾンビが大量発生してしまうというパニック映画。車両を移動するハラハラ感と、あちこちからゾンビの性質についてのヒントを得て対策をしていく見せ方、反発していた2人のタイプの違う男性が協力するようになるまでの過程、など複数の要素をスリリングな物語上で展開していくのがとても見事で楽しい映画だった。
この映画を見た後しばらくゾンビ映画ブームが起きたのもいい思い出。(28日後、28週後ゾンビランドworld war Z、ウォームボディーズ等を見ました。特にゾンビランドが面白かったな)

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6位「ドリーム」

NASAで働く「計算係」の女性の物語。黒人女性というだけでその才能が正当に評価されないという環境がいかに当事者以外にとって軽んじられていたのかがよくわかるとともに、彼女たちの活躍を明るく描いていくストーリーテリングの魅力に溢れた映画でした。
私が特にグッときたのはドロシーの物語。主役となる3人の中では最も年上で計算係の女性たちのまとめ役のような存在なのですが、評価されないという現状を、新規に導入された「IBM」の使い方をいち早くマスターしておくという「努力で場所を掴み取る」人物。有能すぎて尊敬しかない。彼女と、その上役である女性(キルスティン・ダンスト)のやり取りの皮肉さは特に印象的でした。

5位「夜明け告げるルーのうた夜は短し歩けよ乙女

2本まとめてで申し訳ないのですが湯浅監督作品が2作連続で公開されるなんて素晴らしい年だったのでそのありがたさを再び嚙みしめたかった…。
四畳半神話体系が大好きだったのですが、そのスタッフ再集結の「夜は短し〜」は夢のようだった。
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それから「夜明け告げるルーのうた」は個人的に最高の、5億点出ているシーンがあったのでベストに入れないわけにはいかない。
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4位「ベイビー・ドライバー

ベイビードライバーのサントラを聞くためにApple musicに入りました(買おうと思ったらどこも品切れだったため)。そのくらい音楽の映画でした。オープニングの「Bellbottoms」を使ったシーンですでに5億点が出ている。
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3位「HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY」

個人的に3はちょっと消化不良ではあったんですが1のヒットを受けてハイローの魅力をこれでもかと詰め込んで見せた2の魅力はやはり色褪せないものだなと思いました。何より全てのキャラクターがキャラクターのまま動いているアクションシーンが全て素晴らしくかっこいい。
特に最後の大乱闘シーンはこれまで見たアクション映画の中で1番と言っていいほど目が足りない名場面だった。
今年見た舞台「TOKYO TRIBE」もとても面白かったのですが、この舞台のラストシーンも少しこの大乱闘シーンにつながる部分があったんだけど、つまりダンスの才能はアクションの振り付けでも活かされるってことなんじゃないかなと思ったりした。
ハイローは今後スピンオフが続くのかなと思うのですがそちらにも期待しています。

2位「メッセージ」

私の好きなSF映画の要素をたくさん詰め込んだ映画だった。「ブレードランナー2049」も良かったのですが、個人的な好きならこちらかな。「スローターハウス5」を読んでからずっと頭に思い描き続けていた瞬間という琥珀の物語を、実写で描くことができるということに驚いたし、「観測者」の孤独を描いた物語としても大好きです。
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1位「お嬢さん」

上半期の時点で今年はこれかなと思っていましたがやはり揺るぎませんでした。映画を見た後、原作「荊の城」も読んだのですが、ヴィクトリア期のロンドンを舞台とした原作を日本統治下の朝鮮に置き換えるという大きな改変を行っているにもかかわらず、映画には原作への愛がこれでもかと詰め込まれていることがよくわかって、より一層好きが増した。
他にも語る順番やラストシーンなど、かなり変わっているシーンもあるのですが、何よりこの物語の主人公である2人のことが好きだからこその脚本であることがよくわかる。上下巻ある小説の映画化にもかかわらず、端折っていると感じさせない語り口の手際も見事だと思いました。
原作から見れば2次創作的な映画化だとは思うのですが、個人的には、この2人にはこのような未来を掴み取って欲しいと願い、それを具現化して見せてくれた監督に感謝の気持ちです。
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以上が今年のベストです。が本当は「帝一の國」「スウィート17モンスター」「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」「ムーンライト」「IT」あたりも入れたかった!です!
ただ、見たらきっとベスト10に入れたかっただろうな〜という映画もたくさんあるので、それらも追ってみたいと思っています。

昨年のベストはこちら
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一応今年見た映画はこれで全部だと思う。

髑髏城の七人「上弦の月」と「下弦の月」は両方見るとさらに楽しい

下弦の月にはまってしまった、という話を先日書いたのですが、その勢いでTwiitterで感想を探して読んでいると、どうやら上弦の月下弦の月とでは、同じ脚本なのに見え方が全然違うらしい、ということが伝わってきて気になってしまい、ついに見に行ってきました上弦の月…!

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私はこれまで、同じ舞台を繰り返し見るということをほとんどしたことがありませんでした。するとしてもその理由は「推しが出ているから」で、今回お目当てのキャストは下弦にいたため、上弦も見るなんて最初は思っていなかったんです。
でもいざ見に行ってみると、こんな風に自分が好きだと思った物語を、同一脚本Wキャストで同時期に見れるというこの環境がものすごく贅沢なことなんだということを痛感しました。とにかく見ていて目が潤うんですよ。喉が渇いている時に飲む水がおいしいみたいに目と耳がおいしくて楽しい…。
そのくらい、上弦と下弦は全く違う舞台でそれぞれ魅力的だった。
同じ脚本なのに、体格や年齢の差、それぞれの解釈による表情や間でこんなにも変わって見えるというのが面白くて仕方ないです(ボーナスシーズンで本当によかったなあ…)。
観に行く前に、ちょうど上弦にはまっている方にあれこれ見所ポイントを聞いたりして予習できたのもよかった。
というわけで、下弦と比較しながらの感想をまとめてみたいと思います。
上弦は12/19の夜公演、下弦については12/27夜公演に見たものでまたイメージが変わっていたのでそこと比較しています。

以下かなりのネタバレです。

捨之介

下弦、宮野真守さんの捨之介は太陽で正義の味方だなと思う。天魔王を救えると思っているし、その力はあったはず。なので最後の対決後、力が及ばなかったことにショックを受け「自分がここに残るから皆は先に行け」と言い出すのだと思います。27日で明らかにここを転換点にしていたことですごく気持ちの流れが整った捨之介になっていた。宮野さんの声がいいことなんて重々承知しているのですが、本当表情が見えなくても声の色で表情が見えてくる演技に進化していて、本当のプロフェッショナルだなと思いました。
しかし上弦、福士蒼汰さんの捨之介は若い。若くて幼くて、天魔王との間に信頼関係があると信じていたのかな、と思いました。その純真さが壊れる様が痛々しい。守ってあげたい捨之介だったなと思います。

蘭兵衛

蘭兵衛は完全に別人でした。
その別人さをざっくり説明すると、下弦、廣瀬さんの蘭兵衛が「沖田総司」だとしたら上弦、三浦さんの蘭兵衛は「土方歳三」にイメージが近いと思った。
下弦の蘭兵衛は殿への思いにとらわれ亡霊になってしまう、儚さから狂気へ落ちていく様子が美しくも切なかったのですが、上弦の蘭兵衛はとにかく強い。その強さゆえに心に隙が生まれてしまったという感じだった。
殺陣も全然違って、下弦が牛若丸なら上弦は「剣豪」って感じだった。天魔王と2人で戦う襲撃シーンの迫力がすごいです。目が足りない。

天魔王

何と言っても天魔王がまっったく違う。
下弦、鈴木拡樹さんの天魔王は「殿」に認められたかったのに、認めてもらえなかった(と本人は思っている)ことで、天に成り代わることを目的として動くようになってしまったように見える(これは初見ではあまり思わなかったのですが、捨の進化に合わせて鈴木さんが軸を定めたのかなと思っています)。
けれど上弦、早乙女太一さんの天魔王は「殿」のことが好きなんですよね。天にとらわれているという意味ではむしろ下弦の蘭兵衛と対になる存在感だと思う(なので上弦天と下弦蘭は再会の瞬間に決別しそう…)。
蘭兵衛、捨之介、生駒などとの関わり方も下弦とは全くアプローチが違うので、上弦を初めて見たときは、同じ話なのに全然違うものを見ている!という興奮がすごかったです。
上弦下弦それぞれに、どうしようもなく目が追ってしまうキャラクターがいるのですが、下弦では圧倒的に蘭兵衛だったのが上弦はもう天魔王から目が離せなかった。早乙女さんの殺陣の圧倒的な強さと美しさ。
最初のシーンではもうあの世から蘇ってしまった怨霊、のように見えて怖くて仕方なかった。でもその印象が徐々に、かわいそう、に変わっていくんですよ…。
ラストシーン、下弦の天魔王は虚勢を剥がされる、哀れな「王になれなかった男」なんですけど、上弦の天魔王は「殿」に再び会いたいと願っただけの小さな子ども、のように見えた。

でもそれもすべて、他のキャラクターとの相互作用でそのように進化してきたのだなと思います。
メインの3人だけでなく、すべてのキャラが上弦、下弦、それぞれの中で生きている。
あの極楽太夫にはこの蘭兵衛と兵庫だし、この霧丸にはこの捨之介、みたいな相互作用がある。
両方見た上で、どちらがうまいとかそういうことではなくて、どちらにも魅力があるし、互いに刺激しあってその魅力がどんどん磨かれていく様を観れる、というのは、長い舞台でWチームならではの楽しみなんだなと思います。
前期が終わったところですが、2月まで舞台は続くので、まだまだ下弦も見に行くし(年始公演にも行きます!)、あともう1回は上弦も見たい。そしてこれまでの髑髏城も見てみたい、と思っています。

以下、上弦の各キャラの印象まとめ。

  • 捨之介(福士蒼汰)…天、蘭、捨の中では最年少に見える(下弦は最年長に見える)。純真無垢な魅力がある捨之介なので、幕が閉じたその後が心配。霧丸が支えてあげて…!
  • 天魔王(早乙女太一)…ほっとけない天魔王。才能も魅力もあるのにそれだけでは満たされないお腹を空かせた子ども。殺陣も綺麗だし、マントや扇子の使い方も美しかった。随所でつまらなそうな顔を見せつつ、生駒に甘えたりするギャップがたまらない。
  • 無界屋蘭兵衛(三浦翔平)…強い。天魔王が蘭兵衛を呼んだのは戦力として欲しかったからかなってくらいしっかり強い。三浦さんはこれが2作目の舞台ということで時代劇も初めて(?)と聞いたのですが、信じられないくらいにうまくてかっこいい。
  • 兵庫(須賀健太)…下弦の兵庫がお兄ちゃんだったら、上弦の兵庫はガキ大将って感じだった。明るくてまっすぐで、だから最後の太夫へのセリフが沁みる.
  • 霧丸(平間壮一)…捨之介と同年代に見える霧丸だった(下弦の霧丸は子どもに見える)。だからこそ、一族のことを思う言葉に責任感を感じる。背負っているものがあるからこその強さがある霧丸。
  • じん平(村木仁)…下弦のおっとうはちょっと宇宙人のようでしたが、上弦のおっとうは可愛いおっとう。最近はおっとうが鎌もって駆け出すシーンですでに泣いてる。
  • 珊底羅の生駒(山本カナコ)…天魔王を慈しむママでした。生駒のラストシーンはこの上弦の生駒が本当切なくて良かったな…。
  • 贋鉄斎(市川しんぺー)…贋鉄斎が頰を切るシーン毎回いてって思います。
  • 渡京(粟根まこと)…上下で一番印象が変わらないキャラかもしれない、けど、年代が全然違うので、皆との関係性が変わってくるのが面白かった。どちらの渡京も好きなキャラです。
  • 極楽太夫(高田聖子)…下弦とは全くの別人。強い姉御なんだけど、実は誰かが守ってあげないとっていう弱さもあるのがいい。FGOで例えるならドレイク船長です。
  • 狸穴二郎衛門(渡辺いっけい)…狸親父という感じで、下弦より裏がありそうだった。

今のところはこんな感じですが、次に見たらまた変わるかもしれない。
本当に楽しいです…。2017年も年末になってすごい勢いで新たなコンテンツにはまってしまいましたが本当に楽しい1年だったという気持ちです。

髑髏城の七人 月 (K.Nakashima Selection)

髑髏城の七人 月 (K.Nakashima Selection)

戯曲も買いました。帰宅してから脳内再演ができる優れもの…。早く円盤も欲しいです。

『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』にはまった話

現在上演中の舞台『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』を見に行きました。
好きな俳優さんが何人も出るのでとても楽しみにしていて、チケットも複数枚とっていました。
とはいえ、私はこれまで劇団☆新感線の舞台はこれまで見たことがなく、映画館に行くとよく「ゲキシネ」の宣伝が流れるので、すごく大掛かりな舞台をやる劇団なんだろうな(&古田新太さんがいるところだよね)というくらいのイメージでした。
今回チケットをとるにあたって、「髑髏城の七人」は7年に1度繰り返し上演されているシリーズであるということ、さらに2017年は「花」「鳥」「風」「月」の4シーズン(のちに極の発表があった)あったということを知りましたが、ストーリーなどは全く知らない、まっさらな状態で見に行きました。
このまっさら具合が個人的にはとてもよかったので、もしもここを読んでくださってる方で、もしも現在まっさらな状態で見る予定がある、という方にはぜひまっさらで見ることをお勧めします。

で、これがとっっても面白かったんです!
最初は12月2日に見て、それからずっとドキドキした状態で9日にも見て、これは完全に好きになってしまったと思ったので、来週には上弦を見に行くというこのタイミングで現在の心境を書き留めておきたいと思います。
関係ないけど新しく好きなものができる時の気持ちって「強い気持ち強い愛」をBGMに駆け出したくなります。今のこの気持ちほんとだよね…!!

あらすじと劇場

物語の舞台は本能寺の変から8年が経過した時代。
(私は織田信長を巡るお話であるということも知らなかったのですがこれは最初のシーンでわかることなのでネタバレというわけでもないかなと思いますので書いてしまいますね)
天魔王と呼ばれる男が関東を支配しており、主人公である捨之介は、彼が出会う人々とともに、戦乱の世を再び蘇らせるという天魔王の企みに立ち向かう…というのが大方のあらすじじゃないかと思います。
髑髏城はシーズンごとにキャストも演出も変わるそうですが、この部分は概ね共通しているはず…。でも共通しているのはあくまでも大筋だけのようで、観た後に他の髑髏城の話をきいていると、まるでパラレルワールドのお話みたいで面白いです。きっとそういうところも人気の理由なんだろうな。
長く演じ続けられている物語だからか、物語のテンポはとても良いし、印象的な場面がいくつもある。それでいて、見終わって「あのセリフがよかった」って思ったセリフが前の髑髏城にはなかったと友達に教えてもらったりもして、一体毎回どれだけ変えてきてるのかなということも気になってきてしまいます。(月への気持ちが落ち着いたら見てみたいと思ってます)

それから今回上演されている「IHIステージアラウンド東京」という劇場もアトラクションみたいで楽しかった。360度舞台に囲まれた劇場で座席ごと回りながら見るんですが、使っていないセットの部分の手前にあるスクリーンの映像とあいまって独特の浮遊感がある。
しかもすごく奥行きのあるセットで、特にアクションシーンなどにはとても臨場感がありました。いろんなところでいろんなことが一気に起こっているのが観れる。

見に行ったきっかけ

私が今回の舞台を観に行った主な目的は天魔王役の鈴木拡樹さんと蘭兵衛役の廣瀬智紀さんでした。(髑髏城の、少なくとも月は天魔王と蘭兵衛と捨之介3人の物語といえると思います。)
私がこの2人を初めてみたのは「舞台 弱虫ペダル IRREGULAR~2つの頂上~」でした。
私が初めて観たいわゆる2.5次元と呼ばれる舞台です。弱虫ペダルはもともと好きだったのですが、舞台についてはこの時友達に誘ってもらわなかったらきっと行くこともなかったんじゃないかと思う。
でも観に行って、ほんと10秒くらい(「スタートを切る!」の瞬間ですね)で、世界が輝いたと思いました。私の好きな弱虫ペダルが動いている!って興奮したのは今も忘れられない…。
そこからペダステの過去作のDVDを貸してもらって一気に見て、
鈴木さんはキャストの中で特に「すごいな」と思った人で、廣瀬さんは、好きなキャラクターを演じられていたこともあって、いちばん思い入れのあるキャストになりました。

それ以降「ペダステ」には欠かさず通っています。2.5次元舞台自体はそんなにたくさんは見たことがありませんが、あんなふうにキャラクターを3次元に召喚してくれる世界が本当にすごいなと思っているし、彼らの活躍を応援したいというファン心理みたいなのもあり、今回下弦の月のチケットを複数枚抑えたのでした。今となっては当時の自分に感謝を伝えたいくらいです。

【以下内容に触れています】

蘭兵衛

とにかく蘭兵衛が、幼少期から積み重ねられてきた好みのツボがこれでもかと押されるキャラクターで、こんなの好きになるに決まってるじゃんという感じでした。抗えない。
序盤の物腰の柔らかさ、目線の色気、強いのに弱くて、儚く、そして闇落ちまでする…!!!
ギャップです。私はギャップに弱いんです。さっきまであんなに穏やかだった眼差しに滲む仄暗さ、そしてそれが引きずり出された先にある狂気。
指先の動き一つ一つが美しくて目が離せなくなりました。
私は後半の蘭兵衛さんに物陰から眺めているところを見つかって切られたいです。
完全に蘭兵衛推しです。
ちなみに廣瀬さんが演じたキャラクターにどハマりするのは2回目なので、たぶん私は廣瀬さんの「解釈」が好きなのかもしれない、と思っています。
もちろんご本人も美しくて大好きなのですが、「演じたキャラのファン」になってしまう要素の強い役者さん。パンフレットで「2.5次元というジャンルに誇りを持って挑んでいたので、お声掛けいただいたことが嬉しくて」と書かれていたのもグッときました。

天魔王

鈴木さんは初めて見たペダステでも、その後に見た刀ステでも、一人異次元というか迫力がすごい人だったので今回もとても期待していました。
最初に見に行ったのは12/2の昼公演だったのですが、この公演では、クライマックスシーンで鈴木さんのかつらがとれてしまうというというハプニングがありました。
多分とっさにウィッグの下のネットをとって元の髪があらわになったのですが、ストレートの黒髪だったこともあり、一瞬演出かな?と思ってしまうくらい、判断が速かった。
おそらくネットで押さえていたマイクがぶら下がってしまう状態になっていましたが、演技が途切れることはなく、しかし会場全体に伝えなければいけないセリフではそのマイクを自然に手繰り寄せてフォローしていて、ああ舞台に出続けている人はさすがだな…と思えたのは終演後。
見ている間はむしろ、そのシーンであらわになる天魔王の弱さが強調されているようにすら見えて胸が苦しくなりました。
あとメイクも素晴らしいんですよね…天魔王の手の色が、最後まで見ると切なくてなりません。蘭と2人で無界の里にいくシーンはまるで双子のようだった。
今はずっと天魔王と蘭兵衛と捨之介が幼かった時代のスピンオフをみたい…ってぐるぐる考えています。

上弦を見る前に各キャラクターの印象まとめ

もちろんその他のキャストも皆素晴らしくて、我に返る瞬間もなく4時間近い上演時間があっという間に思えました。
そして現在交互に上演されている上弦の月の噂を聞く限り、そちらでは天魔王も蘭兵衛も捨之介も全く違うキャラクターに見えるらしく、気になってそちらも行くことにしてしまいました。
そんなわけで、上弦を見る前に、各キャラの印象をメモしておこうと思います。

  • 捨之介(宮野真守)…とにかく声がいい! 滑舌もいい! 清濁併せ呑む少年漫画の主人公のようなキャラクターだと思いました。
  • 天魔王(鈴木拡樹)…とても頭が良さそう。虚勢を張りながら必死で自分を守っているような切ない暴君。殿というより蘭兵衛への執着を感じた。表情筋がすごい。
  • 無界屋蘭兵衛(廣瀬智紀)…前半は物腰柔らかな優男。ある決意をしたシーンで抱えていた闇が露わになり、殿への執着を露呈させるシーンへと転がり落ちてゆくさまがひたすら妖艶だった。そして後半、斬られたい、と思いました。ラストシーンの目が忘れられない。あそこは捨之介が触れるのがいいんだよね…。
  • 兵庫(木村了)…ちょっと間抜けなところもありつつ愛おしく頼りになるお兄ちゃんだった。
  • 霧丸(松岡広大)…ヒロインだなと思ったら別の髑髏城では女性がやってたと聞いて納得しました。忍者みたい。
  • いん平(インディ高橋)…動きがとにかく面白くてたくさん笑った。ダークホース枠。
  • 珊底羅の生駒(中谷さとみ)…キュートでした。衣装も可愛かったなぁ。
  • 贋鉄斎 (中村まこと)…なぜかずっと剣部シバラクを思い出していた(ワタル)
  • 渡京(伊達暁)…とってもかわいかった。たくさん笑いました。好きなキャラ。
  • 極楽太夫羽野晶紀)…慈悲深い頼りになるお姉さんという感じ。蘭兵衛との関係は、個人的には姉と弟みたいに見えた。霧丸のことは息子みたいに思っているのかなと。
  • 狸穴二郎衛門(千葉哲也)…色気のあるおじさん。

ざっとですがこんなイメージ。
とはいえ以上はあくまでも下弦を2回見た段階での感想です。上限も楽しみだなー!そして下弦は来年も見に行きます///
平日中心だけどまだちょっとチケットあるみたいなので気になっている方は是非…!

www.tbs.co.jp
mdpr.jp

ベイビー・ドライバー

監督:エドガー・ライト

イヤホンをして音楽をかける。それが主人公の天才的ドライブテクニックを起動するスイッチになる――という設定のクライムアクション映画。とっても面白かったです…!
映画をみてまず思い出したのは10代の頃のこと。1枚のアルバムを繰り返し聴いて、ギターのカッティングやヴォーカルの呼吸音にいたるまで、音の一つひとつを記憶するようにお気に入りの曲を聞き込んでいた頃、イヤホンをすれば無敵になれる気がしたし、この最高の曲のMVを作るとしたらどんなストーリーがいいだろう、ここで画面を切り替えて、一番盛り上がるこの場面は絶対に……って想像しては何度も脳内で再生した。
その頃の気持ちを思い出しつつ、私の脳内にはもちろん描くことのできなかった最高の最高に冒頭から殴られたような気持ちで最後まで、気持ちよくリズムにのっていた。
物語は、わけあって強盗グループの手伝いをしている主人公ベイビーが否応なく犯罪に「主体的に」関わっていく過程と、平行して滑り出した彼の恋を描く…というもので、配置されたキャラクターの存在感を含め、絵コンテの切り方がほんとうに気持ちいい、まるでライブみたいな映画だったと思います。

監督は脚本執筆前から使用する楽曲を決めていたということで、

オープニングに使っているジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「Bellbottoms」は、すべてのカーチェイスの音さえもかなり早い 段階で入れていたよ。それが2008年ぐらいかな。だからその頃にはもうすでにサウンドエフェクトもすべて入れた、映画で使用しているバージョンの 「Bellbottoms」が完成していたんだ。
http://realsound.jp/movie/2017/08/post-101262.html

このエピソードを見て、こうして綿密に振付けされているからこそのライブ感なんだなと思ったりした。「Bellbottoms」のシーンだけでも5億点でてるのに、そこからの「Harlem Shuffle」(あの「Jump Around」の元ネタ)でコーヒーを買いにいく場面、高校生男子だったらもう絶対、毎朝真似しちゃうと思ったしポケットに複数のサングラスとiPodをしのばせるのに憧れるのまったなしでした。ベイビーが魅力的なのは、ほんとアンセル・エゴートの身体能力あってこそだと思います。

キャラ的にはボニー&クライドのようなダーリン&バディが特に好き。特にバディ役のジョン・ハムさんは汗だくになって前髪が乱れてからが最高でした。終盤の音楽に合わせた銃撃音のシーンもかっこよすぎて悲鳴がでるやつだった…。
本当に楽しい映画をありがとうございますという気持ちです。
エドガー・ライト監督作品まだ見てないのも多いのでちゃんと見ようと思いました!

冒頭の「Bellbottoms」のシーンは、映画「ドライブ」の冒頭シーンとも比較してみたいなと思った。どちらも冒頭からがっちり掴みに来る映画だなと思います。

ドライヴ

ドライヴ

Baby Driver (Music From The Motion Picture)

Baby Driver (Music From The Motion Picture)

サントラめちゃくちゃ元気がでます。

アイドルに浪費した日々

私が宮澤佐江ちゃんを応援しているという話はこの日記にも幾度か書いてきましたが、佐江ちゃんのアイドル卒業から1年以上が経ったことと、私の浪費対象がちょっと変化したこと、そして最近出た「浪費図鑑」という本が面白かったのもあり(同人誌版も面白かった!)、少し振り返ってみたいなと思います。

私がAKB48に興味を持ったのは2010年の第2回選抜総選挙大島優子さんが1位をとった、というニュースを見たのがきっかけでした。AKBって前田敦子がセンターじゃないんだ? 篠田麻里子ってかわいいけど3位なのか、云々、完全にネットニュースの上っ面だけを見て、飲み会で「私は篠田さんが好きだな!」なんて話していた記憶があります。
そのまま半年ほど、特に何もせずに過ごしていたのですが、丁度その年末に公開されたドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』を見て、完全にはまってしまいました。
それ以降は毎晩延々とAKBの動画を漁る日々。
正直、ドキュメンタリーを見に行ったときは映っているメンバーの半分もわかっていなかったと思うんだけど、YouTubeAKB48公式チャンネルでMVはほとんど見放題だったし、第1回じゃんけん大会の出場メンバー全員分の密着動画なんてのもあがっていて、あっという間にAKBに在籍している全メンバーの顔と名前が一致するようになっていました(たぶんその時点でAKBだけで70名近くいた)。
私が好きになった時点でAKBには膨大なコンテンツがあって、その多くが「ドキュメント」だった。
彼女たちがドキュメント(多くはメイキング動画と呼ばれるもの)で見せるのは、等身大のかわいさだけじゃない。大勢の中で埋もれまいと作戦を練る子もいれば、大人からの期待に苦しむ子もいる。率先して皆をまとめようとする子もいれば、いたずらばかりしている子もいて、得意なものを生かそうとする子、苦手を克服しようと頑張る子。皆と仲が良い子、1人でいるのが好きな子。
そういったまったく異なる性格の女の子たちが「仲間」として支えあっている。そんな彼女達の関係性に惹かれていったのが最初だったと思います。

まずはライブを見たいと思って運よくチケットがとれたものの、東日本大震災で中止になったこともあった。
災害報道の多かったあの年、私はyoutubeでアイドルばかりみていて、確実に、そのことに救われたと思っています。会社から徒歩で帰宅した家に、AKBの雑誌が転がっていて、家が遠方なためうちに泊まった先輩に笑われたのをよく覚えている。

私が初めて買ったAKB48のシングルは『Everyday、カチューシャ』でした。そして、このシングルには、第3回選抜総選挙の投票券が封入されていた。
投票券が入っているということは、誰かに投票できる権利があるということ。
「それなら、私はこの子の笑っている顔が見たいな」
そんな風に自然と顔が浮かんだのが宮澤佐江ちゃんでした。

投票するなら、少しでも上の順位になってほしい。そう思って調べているうちに、ファンクラブの会員権などでも投票できるということを知り、その年はたしか7票投票しました。

握手会

私が始めて参加した握手会(に近いもの)は、AKBの中のOffice48という事務所に所属しているメンバーで結成されていたDiVAというユニットの「スタンプ会」(メンバーが作ったスタンプを私物に押してもらえる)でした。
初めて生で見る宮澤佐江ちゃんは、冗談抜きにして「キラキラ光る粉がまぶされている」ようでした。ティンカーベルかな? と思いました。顔がすごく小さくて私の手のひらより小さいんじゃないかなと思いつつ眼が離せませんでした。
何を話したかはまったく覚えていませんが、順番ひとつ手前の位置で佐江ちゃんの横顔を見ていたときの視界ははっきりと脳内に保存されています。

そこからはもう、佐江ちゃん推し一直線でした。

私の考える握手会の最大の魅力は、何といっても「直接お礼や感想を言える」ということ。公演のダンスがかっこよかった、Mステでカメラに抜かれた時すごくかわいかった、こないだのモバメ嬉しかった、新しいシングルの衣装似合ってる、などなど。
ファンレターも書いていましたが、やはり直接ほめたかったし、それで少しでも喜んでくれる顔が見たかった。
気分は完全に「孫」の応援です。
正直アイドルはあまりにも眩しすぎて目の前に立つのはおこがましいと思うこともあった。
けれど、少しでも印象をよくしようと洋服を選ぶのは楽しかったし、アクセサリーを褒めてもらえたりした時はとっても嬉しかった。
「認知」欲との戦いもありました。
握手レーンに並んでいると、だんだんと佐江ちゃんに顔を覚えられているファンがいるのがわかってきます。中にはあだ名で呼ばれているファンもいる。
でも当時の佐江ちゃんは「超選抜」と呼ばれる人気メンバーで抽選方式の握手券はほとんど当たりませんでした。
そんな私でもいつの間にか顔を覚えてくれて、それはとても嬉しかったけど、でも私の最優先「現場」はやっぱり公演でした。

公演

AKBの現場は幾つかの種類に分かれています。

  • 公演…AKB48劇場でほぼ毎日(当時は)行われているチーム別のセットリストによる公演
  • コンサート…グループ全体でのコンサート。選抜が目立つ。
  • 全国握手会…店頭販売されるCDに封入されている券で参加できる、ミニライブ付きの握手会(1レーンに複数人いることもある/速度がはやいのでほぼ会話はできない)
  • 個別握手会…「劇場盤」と呼ばれる抽選販売されるCD1枚につき1枚握手券がついている。握手したいメンバーの名前で申し込む。

主なところはこの4つだと思います。
で、多くのファンにとってもっとも優先順位が高く、しかしなかなか行けないのが「公演」でした。
AKBは1期生によるチームA、2期生によるチームK、そして3期生によるチームBからはじまっています。
私が応援し始めたときはすでに第1回の組閣(チーム間シャッフル)を終えていましたが、2期生である宮澤佐江ちゃんはチームKのままでした。リーダーである秋元才加ちゃんの名前をとって「秋元チームK」なんて呼ばれてもいます。
当時は『RESET公演』という演目をやっていまして、これが本当に良曲揃いのいい演目だった。
当時は秋元康もちゃんとメンバーにあてがきした公演をつくっていたんですよね…。RESETという公演タイトルにもなっている曲は、第1回の組閣を終え、このチームでやっていくぞという決意の曲でもありました。

風を入れろ! チームよ、目を覚ませ! 今の場所で立ち上がれ!
風を入れろ! 今日からは新しい Oh 我らがチームK

組閣当時のことはあとで調べたことでしか知りませんが、当時の彼女達がこの歌詞で団結していったのだと思うと、今でもぐっときます。

しかし、当時の48Gは人気絶頂であったため、なかなか公演には当選することが出来ませんでした。
そして、そんなファンのために用意されているのがオンデマンド配信。なんと全公演リアルタイムで配信されているという至れり尽くせりぶりです。
さらに、何としても近くで見たいという気持ちになったときは、劇場ロビーに備え付けられたモニターで見る、ということもできました。なので当時は仕事帰りに劇場へ行って、モニターで公演を見たりもしていました。
正直、2時間近くある公演をずっと突っ立って見ているのって疲れます。しかも毎回同じセットリストです。
でも、それでも見たいと思うくらい、毎公演新鮮な発見がありました。今日はかっこいい風、今日はかわいい風、なんて公演ごとに見せ方を変えてくるのが佐江ちゃんだった。MCではふざけていても、曲に入るとドキッとするほどに表情が変わる。
そのスイッチが入る瞬間を見たくて、繰り返し同じ公演に申し込み続け、劇場に通い、通えない日はオンデマンド配信を見ていたのだと思います。

思えばこの頃が一番応援していて幸せだったなと思う。私は今でも秋元チームKが大好きです。

総選挙と選抜

私が初めて投票した第3回選抜総選挙で、佐江ちゃんは11位となりました。
当時は12位以上が「メディア選抜」という、いわゆる「選抜」としてテレビに出たりできるメンバーのはずだったのですが、それとは別に運営が推したいメンバーというのもあって、そういうときに漏れるメンバーというのが必ず出てきます。
そして次第に、佐江ちゃんがその「序列を下げられるメンバー」になっていきました。
初めて選抜から外れたのはたぶん、2012年1月に公開された『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』の主題歌になった『ファースト・ラビット』だと思います。
その後も、2012年2月の『GIVE ME FIVE!』では最後列、その次の史上最多の36人選抜だった『真夏のSounds good !』のジャケ写でも最後列。
そしてこの年の9月に、上海に新しくできるSNH48への「移籍」が発表されました。

しかし上海の劇場は待てど暮らせど完成せず、完成してもビザが下りないという理由で劇場に立つ事もできず、宙ぶらりんの状態が続きました。
当時のことはここに書いたので割愛します。

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そんな中、自分を含む「佐江ちゃん推し」は、少しでも日本での活動の場を作れたらと願い、選抜総選挙に熱を入れるようになっていきました。
思えば選挙結果が反映されていないということの憤りを選挙にぶつける、というのは矛盾しているような気もします。
それでも、運営が無視できないくらいのファンがいるのだ、と示すことさえできれば、何か状況が変わると信じていたのかもしれません。

そういったファンの意志表示のひとつが2013年1月に開催された『AKB48 リクエストアワー セットリストベスト100』でした。
これは48Gの人気楽曲をカウントダウン形式で発表していくコンサートで、佐江推しは『RESET公演』での佐江ちゃんのセンター曲『奇跡は間に合わない』に集中して票を投じ、結果、前年の24位から大きくジャンプアップして第2位を獲得します。
この時、『奇跡は間に合わない』のスペシャルパッケージで発売されたDVDボックスは今も宝物。
同年の選抜総選挙は10位。
どちらもファンにとっては「追い風」のつもりでしたが、2013年にステージの上の佐江ちゃんを見る機会は片手で数えるほどしかありませんでした。

アイドル以外の道

SNHでの活動が思うようにできない中、佐江ちゃんに大きな舞台の話が舞い込みました。地球ゴージャスプロデュース公演『クザリアーナの翼』への出演です。2014年はこれを皮切りに、SKE48チームSとの兼任、そして『AKB49 恋愛禁止条例』主役への抜擢など様々な活動の場が用意されるようになりました。
このあたりから、個人的な意識は「佐江ちゃんの卒業後」へ向いてきたような気がします。
SKEとの兼任については、ファンの間では賛否両論あったものの、結果としてメンバーには温かく迎え入れられ、個人的には良かったと思っています。
しかし何よりも『AKB49 恋愛禁止条例』での佐江ちゃんがすばらしかったことに私は感動していました。
佐江ちゃんの出る舞台を始めて見たのは2011年の『ダブルヒロイン』。これは当時の超過密スケジュールの中で行われたということもあり、本人も納得がいっていないようでしたが、正直なところ「推しが見れて嬉しい」以上のものではありませんでした。
しかし、『クザリアーナの翼』で、今まで苦手だったはずの歌を、しかもソロで歌う場面があり、その堂々としたパフォーマンスに正直佐江ちゃんにはまだまだ伸びしろがあるのだということを痛感させられました。
だからこそ『AKB49 恋愛禁止条例』は期待して見に行き、結果として期待以上のものを見ることができたと感じています。
『AKB49 恋愛禁止条例』は48Gをモチーフにした同名の漫画作品の舞台化で、出演メンバーはマネージャー役などを演じた男性以外はすべて48Gのメンバー。演技は初めてというメンバーもいる中、座長として彼らをまとめ、「男性だけど女性としてアイドルをしている」というキャラクターをまさに熱演していました。

ここで私はようやく、卒業後の佐江ちゃんの活躍を見たい、と思うようになりました。

アイドルでいてくれる間は、公演もある、コンサートや握手会もある、メンバーとのやりとりで日々膨大な情報が舞い込んでくる。
それはとても楽しい日々だけど、いつか終わりがくる。
でも、舞台に立つたびにきっと佐江ちゃんは新たな「成長」を見せてくれると信じることができた。だから、アイドルを卒業してしまっても、私は彼女を応援し続けたい。

そんな風に心の準備ができてきていたので、佐江ちゃん自身が「今年が最後の選抜総選挙」とアナウンスしてくれた2015年の選抜総選挙には心置きなく、自分比で過去最多の票を投じました。
もう卒業するのに矛盾しているようですが、それはアイドルでいてくれたことへの感謝の気持ちでした。
そして、そう思ったファンはきっと多かったのだと思います。
結果は過去最高の8位。
そして翌年2016年の4月1日、チームK2期生10周年記念特別公演をもって、佐江ちゃんはアイドルを卒業しました。

浪費の振り返り

SKE時代は公演への遠征(愛知県栄に劇場があります)や、握手会が48GのものとSKEのものとで倍に増えたこと(※この頃には比較的握手券がとりやすくなっていた)で、一番浪費していたと思います。

握手券は1回11枚までと決めていて、1、3、3、3、1で出すのが最高パターンだと思っていました。
最初の1枚と最後の1枚は挨拶、3枚出しなら3往復くらいの会話ができるので、公演の感想を話すのはその時、という具合です。
それがだいたい月2回くらいだったのと、後はコンサートと選挙関連でしょうか。(※グッズはあまりかわいいのがなくほとんど手を出しませんでした。佐江ちゃんオタは女性が多く、顔写真がプリントされただけのグッズを購入する人はとても少なかったため、そういうところが序列を下げられる原因では?と議題にあがることも多々ありました)。
選挙は1票=CD1枚の値段、だと思っている人が多いと思いますが、実際はそれだけではありません。より安価に投票できるモバイル票や、握手はしたいけど選挙には興味がない…というファンが流す「投票券」のみのやりとりというのもあり…と説明し出すときりがないのですが、各陣営ごとに力を入れているポイントが違ったと思います。
正直、選挙は必ずしも「推しの活躍の場が増える」という意味での報われ方をするものではないと思います。
けれど時にはそれが推しの「自信」や「支え」になることはあると思う。

去年の総選挙からの一年間、どんな時でも私を支えてくれ、自信を持たせてくれたのはファンの皆さんです。
去年の総選挙の結果が、この一年間私を強くさせてくれました。
総選挙。|宮澤佐江オフィシャルブログ「おやすみなさえ」Powered by Ameba

ほとんどステージにあがることができなかった2013年、ファンも試行錯誤していましたが(佐江ちゃんが参加すらしていない中国版のCDを買ったときはなんだか悲しかった)、この言葉をもらえたことで、選挙頑張ってよかったな、と思えたのを覚えています。

そのお金を別のことに使う方がいい場合ももちろんあるけれど、あの時はそうしたいと思ったし、今でも悔いはありません。総選挙に参加するのは「佐江ちゃんの笑顔が見たい」から。それは、最初から最後まで変わりませんでした。

私の48Gでの主人公はずっと佐江ちゃんでした。
そして今は、舞台を中心に活躍している「宮澤佐江」さんを応援しています。

心の隙間

なんてまとめてみましたが、それでもやはり「卒業」は寂しく、そんなときは心にぽっかりと穴があくものです。
そのせいか、佐江ちゃんの卒業発表とほぼ時期を同じくして出会った次元の違う新たなコンテンツに私はすっかりはまってしまいました。
なので、現在は佐江ちゃんと才加ちゃん(ここではあまり触れていませんが私のもう1人の推しです)の舞台を追いかけるのと同時にそちらをメインに活動しています。
そちらも供給がとても多く、推しを知るために学びたいことも次々に出てくるので、毎日が楽しいです。
疲れたな~とか思ったときも推しのことを考えると元気がでるし、今後の活躍を見るまで死ねるかと思う。
そんな風に、ときめきに力をもらいながら死ぬまで好きなものを追いかけていきたいと思っている。
だから、今後も「節約したい」という気持ちと「好きなものには糸目をつけたくない」という気持ちを共存させながら、生きていくのだと思います。

浪費図鑑の感想とあわせて書こうと思ったのですが、ものすごく長くなってしまったので、それはまた改めて。

浪費図鑑―悪友たちのないしょ話― (コミックス単行本)

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