暇さえあればフルネーム&関連ワードで検索、何度も同じ記事を読み、横断歩道や通勤電車で気づけば思いを馳せている…というのは推しはじめの諸症状ですが、そんな具合に私は今「ル・ポールのドラァグ・レース」という番組にはまってしまいました。
この番組のことは数年前に知り、「いつか見るリスト」に入れてはいたのですが、去年の時点でseason10まであった(&season1が配信されていなかった)ため、なかなか手がでなかったのです。けれど今年の2月末、久々にnetflixに加入して見はじめたら最後、season1〜10(+AS1,2,4)まで一気に完走してしまいました。約40日で…。
その間、ちょっといろんなことをおろそかにしてしまった自覚はあるのですが、見ている間に放送開始したseason11に間に合ったので本望です!
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そしてひとまず完走したので、ここまでの感想まとめを書いてみたいと思います。
1)ル・ポールのドラァグレースとは?
2)カリスマ、ユニークネス、度胸&才能を競うランウェイ&リップシンク!
3)多彩なクィーンたち
4)ハウスとは
5)どこから見るか問題&私の推しクィーン
1)ル・ポールのドラァグレースとは?
「ル・ポールのドラァグレース(RuPaul's Drag Race)」は、2009年から放送されているアメリカのリアリティー番組。日本ではnetflixでseason1〜10まで配信されています(2019.04.02現在)。
ル・ポールのドラァグ・レース | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
アメリカンアイドルやSYTYCD、アメリカズネクストトップモデルなどのように、毎週課題が発表され、出場者がそれを制作する過程と発表+ランウェイを映すというのがメインの番組構成。課題とランウェイを審査員がジャッジし、ル・ポールが決断、毎週1人ずつ脱落していきます。そして最後に「America's Next Drag Superstar」を決める…という勝ち抜きリアリティ番組です。
司会&審査員長を務める「ル・ポール」さんは、アメリカのカリスマ的ドラァグクィーン。私はこの番組を見るまで知らなかったのですが見ていると随所でル・ポールの歴史も語られますし、若いドラァグクィーンたちが彼(or She)をリスペクトしている様子を見ても、彼がどれほど偉大な存在なのかを伺い知ることができます。
2)カリスマ、ユニークネス、度胸&才能を競うランウェイ&リップシンク!
ドラァグレースの元となっているのは、80年代NYの主にゲイクラブシーンで行われていた、ファッションやダンスを競うコンテスト「ボール・ルーム」。マドンナの「VOGUE」で有名になったヴォーグダンスもこのボール・ルームから生まれたダンスなのだと、この番組を通して知りました。
まだ見れていないのですが「パリ、夜は眠らない」というドキュメンタリー映画に当時のクラブの様子が描かれているとのことなので、近いうちに見たいと思っています。
https://www.netflix.com/title/60036691www.netflix.com
ダンスや演技、歌やコメディショーなど毎週様々な課題がありますがテーマに沿った衣装をみせる「ランウェイ」は毎回行われる必須科目。課題+ランウェイ両方でその週の評価が決まります。
特にコンセプトとメイクと衣装で自分の「カリスマ性、ユニークさ、度胸&才能」をプレゼンするランウェイは見ていて本当に楽しいです。審査員にダメ出しをされた後、それをどう自分のものにしていくのか…またはあくまでも自分のスタイルを貫くのか…。メイクもファッションも彼女たちにとっては「自己表現」なのでそこに真剣に取り組んでいく姿は本当にかっこいいです。
そしてもうひとつの必須科目がボトム2が生き残りをかけて戦う「リップシンク」。
実は最初はリップシンクがなぜそんなに大事なポジションに置かれているんだろう、なんて思ったりもしたんです。けれどすぐに心根を入れ替えました。リップシンクを口パクと侮るなかれ。素晴らしいリップシンクには「魂」が宿るんですね…。白熱した戦いに手に汗握ることもあれば、リップシンクで新たな一面を発見することもある。歌詞とシンクロして涙することもあれば、偶然が味方したり、裏切られたり。
欲をいえばそれぞれの推しカメラで見たいくらいリップシンクの戦いは熱いです。
3)多彩なクィーンたち
この番組が面白いのは、とにかく個性的な出場者がたくさんでてくるからだと思います!
特にseason5くらいからは「コメディ」「ダンス」「ファッション」など、それぞれ得意分野を持っているクィーンが増えてきました。もちろん中には「オールラウンダー」もたくさんいます。
課題に対する取り組み方や、werkroom(作業部屋)での様子を見るのも楽しい。口が悪いクィーンも多いので喧嘩も多い(かなり)ですが、ランウェイやメイクアップは皆真剣。そんな人間模様を見ているうちに次第に「推し」もできてきて、そうなると一気に沼です。
「ドラァグクィーン」がどういう存在なのか、実はこの番組を見るまで正直ぼんやりとしかわかっていませんでした。正直なところ、今もはっきりわかっているとは言えないけれど、
この番組の面白いところは、出場者たちがどのような経緯でドラァグに出会い、ドラァグをどう捉えているのか…という思いを知れたりするところにもあると思います。
番組を見ている限り、出場クィーンの9割はおそらくゲイ男性で、番組もそのような前提で進む部分が多々あります(ピットクルーの存在とか)。しかし、中にはトランスジェンダー(MtF)もいるし、性別を決めたくない人、男女のどちらでもあると感じている人もいる。そのようにセクシュアリティの問題は多種多様で、同じドラァグクィーンでも本当に人それぞれなのだなと思います。
でもそれってセクシュアリティに限ったことではない、当たり前のことなんですよね。
そして何より素晴らしいなと思うのが、どんなに罵り合っていたとしても、心からのカミングアウトに対しては、誠実に話を聞く人が本当に多いということです。それは心の弱い部分、繊細な部分を打ち明けることの難しさを知っている人たちだからなのだと思います。
私の推しドラァグクィーンの1人、アリッサ・エドワーズは「ドラァグは非常口のようなもの」と話していました。
そのように、それぞれの困難な現実から踏み出すための手段の一つが「ドラァグ」なのだと思います。アート表現と捉える人もいるし仕事だと言う人もいる。でもその根底にあるのは自由や解放を求める心なのだと感じました。
番組ラストの決め台詞は「自分自身を愛せないなら、どうやって他人を愛せるの?」という言葉です。
自己表現はつまり、自分を好きになるための手段の一つでもあるんだな。
4)ハウスとは
先述した「パリ、夜は眠らない」にも、当時居場所のないマイノリティの人々が共同体を形成していった様子が描かれているそうなのですが、
現代のドラァグクィーンも、多くはドラァグの手ほどきをしたドラァグマザーを持ち、その共同体を「ハウス」と呼ぶようです。シーズンを重ねていくと、この人はこの人のドラァグドーターorシスターだ、なんて関係性もわかってきたりして、そのような人間関係を追っていくのも楽しみのひとつです。