EELS 2003/9/28


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Souljacker
デイジーズ・オブ・ザ・ギャラクシー
エレクトロ・ショック・ブルース
ビューティフル・フリーク






イールスというバンドには深い思い入れがある。
4月26日に、33曲入りの2枚組という特大ボリュームで新譜がでるという話を聞いて、とても嬉しく思うとともに、また来日公演をしてくれることを願って過去のライブ感想をメモしておく。

イールスのライブを初めて見ることができたのは、2001年のサマーソニックでのことだった。
本当は第1回目のサマソニで来日する予定だったのが、E の長年の友人であり、かつツアーマネジャーである人の急な訃報によりキャンセルとなったのだった。
そこではきっと多くのイールスファンが「またか」という気持ちになったと思う。ファンなら良く知っているように、E について語られるとき、そこには数多くの不幸がつきまとってきた。
その日、イールスのいない富士急ハイランドで、ライブの合間に流れていたアルバム「daisies of the galaxy」がひどく悲しく聞こえたのを覚えている。
私は本来なら楽曲に関連しないこととして語られるミュージシャンのプライベートにはあまり興味が無いのだけれど、イールスについては、リリースされる楽曲の変遷を見て(聴いて)いるだけで、多くのことが伝わってくる様な気がしていた。
「SOUL JACKER」がリリースされ、髭で顔を覆っている E の姿に少し不安になりつつも、その中に収録された「フレッシュ・フィーリング」が実際にサマーソニックにて演奏されるのをみて、とても感激してしまったのも、私自身が感情移入しすぎていたせいかもしれない。

Birds singing a song,
Old pain is peeling,
This is that fresh
That fresh feeling.
Words can't be that strong,
My heart is real,
This is that fresh,
That fresh feeling.

そして2003年、「Shootenanny!」がリリースされ、クアトロでのライブを見に行った。
そのライブは、今までみたライブの中で、最も思い出に残るものの1つとなった。

ライブの冒頭、鉄面皮のような表情で威嚇するように歌う男に戸惑っていたのは私だけではなかったと思う。しかし実はそれは E ではなく、彼自身は曲の途中でなんと客席後方から登場した。
ステージにあがり、もぎとるようにギターを手にして歌いだす E に驚く。
そこでは、聞き慣れた曲が、まるで新しい曲に生まれ変わったかのようにプレイされていた。
あんなに変化していったように思えた1stから5thまでの流れが、E の声によって統一されていく。

E はスタッフの女性を呼んで、MCを通訳させた。

皆僕のことを悲しい奴(sad man)だと言います。でももううんざりです。そして今夜は悲しくないです。そして皆さん、大切な日曜の夜に、他にやることもあるだろうに、わざわざイールスのライブにきてくれて、ありがとう

たどたどしく、しかし丁寧に訳してくれる通訳の女性を待ちながら、Eは誇らしげに言葉を続ける。

もしウィンドウショッピングをしていて、欲しいなと思うセーターがあったら買ってしまいなさい。チョコレートファッジが食べたいなと思って、ダイエットしてる身にはヘビーだなと思っても、食べてしまいなさい。あなたにはその資格がある。皆、家に帰ったら自分に良いと思うことをしましょう。あなたたちにはその権利がある

その可笑しくてやさしい台詞に、私は恥ずかしながら、とても感激してしまった。

その夜、アンコールは3回にも渡った。最後の1回は、わざわざ先ほど通訳をした女性に「イールスは帰りました」という告知をさせた上で、勢いあまってすぐに出てきて、すでに客電のついていた会場はぐちゃぐちゃになった。彼等は本当に楽しそうに演奏をし、去り際には抱き合ったり、客席へダイブしたりしていた。

ライブが終わってみて、私は今回「フレッシュ・フィーリング」をやらなかった理由が分かる様な気がした。Eにはもう、麻酔も自分の心臓の音を確認する作業も必要ないのだ、と思う。ノボケインをやったのはサービスだろう。
昔はあんなに悲しく聞こえた曲が、ライブでは生き生きとしたロックに生まれ変わっていたことが、私はなんだか嬉しかった。

「よかったねぇ」という声があちこちから聞こえて、皆がおなかいっぱいに幸せな顔をしていた。
そしてそれが音楽の力なんだろうなと思った。


今度のアルバムで、E はどんな風景を見せてくれるのか、ほんとうに楽しみだ。そして是非また、ライブで新しいイールスをみたいと思う。

公式サイト
http://www.eelstheband.com/

人参の漬け物

人参のつけものが好きだ。
大根やかぶもいいけれど、やっぱり人参が一番好きだ。
特にぬか漬けが良い。
私が人参の魅力に気付いたのは、思えばカナダでホームステイをしていた時に、食卓にどん、と出ていた人参スティックを食べてからだと思う。あまり良い思い出のないホームステイだったが、それを考えればまあ得るところもあったということだろう。

私が根菜類が好きなのはその堅さ、歯ごたえが好きなのであって、シチューなどに入っている柔らかい人参はむしろ嫌いだ。
グラッセなんてもってのほか。

世の中には人参全般嫌いな人が割合に多くて、飲み屋で漬け物を頼んだりすると、大抵私が人参を独り占めできることになる。
おいしいのになあ、と思うが、独り占めできるのも悪くないので、特にすすめたりはせずに食べる。

しかし今日の食事の際、めずらしく「ひとくちくれ」と言われたので、食べていたまるごと一本の漬け物を食べさせてみたら、ほんとうにまずそうな顔をしていた。あんまりまずそうな顔なので、食の趣味というのは面白いものだとしみじみ思った。

そういえば今まで、食べ物の趣味が合う人は多く居たけれど、いまだに人参のぬか漬けが・・・という話をする人にはであったことがない。
もしいたら、何処産の人参がうまいとか、ゆで人参は邪道だとか、そういう話をしてみたいものだと思う