植田正治:写真の作法

植田正治写真集:吹き抜ける風

植田正治写真集:吹き抜ける風

1月のはじめに、前メモしてた*1植田正治さんの展覧会に行ってきました。もう一度くらい行きたかったけど、今日で終了。終わってしまう前に書けばよかった。ほんとすてきな展示でした。
私は、植田正治さんの写真が、ほんとうに好きです。
あの深くて淡いグレーとか、人物の表情とか、構図とか、1つ1つを挙げてもなんとなくしっくりこないのだけど、
今回ゆっくりと眺めてるうちに、なんだかどこかで見たことのあるような感じがするのが、「好き」と思うことの理由なのかもしれないと思った。
例えば、写される「人物」が、なんというか普遍的なのだ。どこかにいた、誰か、を特別な存在として、見るという感じ。もしくは小説の中の何気ない一文を読んで、思い浮かべる風景のような。
だからこそ、現実に、じゃなくて、夢でみたような、既視感を覚えるのかもしれない。(まだ読んでいないのだけど鷲田清一さんが植田正治さんの作品をモチーフに書かれたエッセイ集の題となっている「まなざしの記憶」という言葉は、そんな感じの意味なんじゃないかと想像している。いつか読みたい。)
図録を買って眺めてるのだけど、もっともっとたくさん見たい気持ちになる。やっぱり鳥取に行きたいなぁ。

*1:id:ichinics:20051120:p2)

 岡本太郎の視線

それで、上の写真展を見にいった際に、岡本太郎さんの写真展も見たんだった。
私は岡本太郎さんについて、ほとんど何も知らないです。
でも、この写真展を見るのなら、岡本太郎記念館に足を向けた方がずっと岡本太郎さんという人の世界は見えると思う。(逆に言えば、岡本さんの世界についてある程度の認識がある人向けの展覧会だったということで)
私は岡本さん作品というと、どうしても造形物や写真より「言葉」の方が印象に残ってしまうんだけど、この写真展でもスライドに写されてる言葉のほうが印象に残ってしまった。
あと、写真はとても素直に見えるものが多くて、この視線から、あの作品群が生まれたのか、ということには正直に驚いた。

 「12人の優しい日本人」

作・演出:三谷幸喜
出演:浅野和之石田ゆり子、伊藤正之、江口洋介小日向文世鈴木砂羽筒井道隆生瀬勝久温水洋一堀内敬子堀部圭亮山寺宏一

去年の終わりから再演されていたもの。これ、頑張ってはみたんですけど、チケットとれなかったんです。先週くらいにwowowでやったらしく、友人にビデオ借りて鑑賞。映画版「優しい日本人」も好きだけど、やっと舞台版を見れて、うれしかったです。とにかく面白かった!
まず、やっぱり個人的に好きな俳優さんがたくさんでていて楽しい。筒井道隆さんはなんであんな「いいひと」そうなんだろうな。あと小日向さんが格好良かった。なんというかキレ者が焦るシーンとかにときめきます(屈折)。生瀬さんも良かったし山寺さんが声以外で演技してるとこ初めてみれたし(ここはもうちょっと山寺さんならではのシーンが欲しかったけど、それをやるとオンステージになっちゃうのかな)。それから。有頂天ホテルにも出ていた堀内敬子さんは、役柄によって随分雰囲気がかわるなと思った。好きです。沢口靖子さんとちょっと似てるような気が。
お話も、「十二人の怒れる男」を見たときのような驚きはないけれど、たぶんどれを最初に見るかによるとは思う。「怒れる」と「優しい」はもちろん全く別の話なんだけど、パロディとして見ても面白いと思います。
ただ、難を言うならば、最初の全員無罪から一人有罪に入れるとこの「理由」がラストとちょっとちぐはぐな気もした。
でもとにかく、面白かったです。三谷さんの脚本はなんだかんだ言って安心して笑えるところが好きだ。