アンダーカレント/豊田徹也

アンダーカレント  アフタヌーンKCDX

アンダーカレント アフタヌーンKCDX

昨年読んだ漫画ベストにも挙げた(id:ichinics:20051227:p1)豊田徹也さんの初単行本。
アフタヌーンでの連載当時から、その静かな空気感は印象的だった。まるで一本の映画みたいだ、なんて表現を褒め言葉として使うのは正しいのかわからないのだけど、改めて単行本でまとめて読んでみると、やはり一本の映画のように、監督としての豊田さんが連載全体を俯瞰して描いていた「作品」を、連載という形に分割して読んでいたのだなと感じる。シーンのつなぎ目、間、暗喩でもある回想シーンなど、場面の配分が素晴らしく、台詞があり、絵がある上に、文字としては語られていない言葉が見えるように思う。例えば、吉田修一さんの小説を読んでいる時に感じるような、乾いた静けさの奥底にあるどろどろとしたもの、そして、その両方から遠く離れた目線を思い出す。そして実際に、この「アンダーカレント」で描かれるのは、「生活者」としての自分と、その底流にある「何か」との挟間にある人々なんだと思う。

ニュースや新聞の記事になる自殺と ならない自殺の差って 何なんでしょうね

銭湯を経営する主人公、さなえが、失踪してしまった夫のかわりにと臨時で雇い入れた男と交わす会話にこんな台詞があった。この言葉は、もちろん「夫は自殺したのだろうか」という疑問を前提に行われているのだけど、最後まで読めば、そのやりとりと寄り添うようにしてあったはずのもう一つの会話について考えてしまう。
語られるはずの「何か」を無意識に避けているうちに、その何かの存在まで忘れてしまう、という関係がこの「アンダーカレント」の中には幾つか出てくるのだけど、そのことを寂しい、と思うのは、それがあったからなんだとも思う。
テーマとその描き方はもちろん、丁寧な絵柄も、とても好みな漫画家さんです。今後の作品も楽しみ。

 フリーマーケットとカーリング

友達に誘われて、フリーマーケットでものを売ってきた。
初めての場所だったけど、まあ代々木みたいなもんだろうと思っていたら、予想外なことに地元のバザーみたいな雰囲気。お客さんも家族連れがほとんどだったため、持っていった洋服類はほとんど売れずに終了してしまった。売り上げはほぼCDのみ。2枚買ってくれた男の子に「おまけ」とか言ってポロシャツあげたりして、どうにかものを減らしてみたものの、結局行きも帰りもほぼ同じ荷物量でした。
友達3人で出店したのだけど、結局3人の間で洋服交換とかした方が多くて、まあそれはそれで良かったことにしようと思う。
家に帰ってからは弟の合格祝いのごはん。ケーキもたべた。
その後、そういえばオリンピック見ていないと思ってだらだらと女子カーリングの試合を見る。選手がかわいい。最初全くルールがわからなかったのだけど、見ているうちになんとなく分かって結構面白かった。雰囲気としてはビリヤードに近い気がするんだけど、いわゆるスポーツというよりゲームというほうがしっくりきて、ちょっと不思議だった。相手チームの攻撃が終わると、次に投げるための作戦会議をするのだけど、それがわりと素の会話に聞こえる。攻撃中に邪魔されることはない(ホーム(だっけ、あの的)間近にきたストーンが流されないようこするくらい)から、相手チームにきかれてもかまわないみたいだし。「ここ、いけそう?」「うん、だいじょうぶそう」なんて、わきあいあいとしてる。ように見える。実際やったら大変そうだけど、ちょっと面白そうだと思った。
適当に切り上げて弟が買ってきたフロントミッションやるはずだったのに、いつのまにかうとうとしていてこんな時間。日曜日が終わってしまった。残念。