ハッピーフィート

ichinics2007-03-30
監督:ジョージ・ミラー
かわいいペンギンにときめく映画なのかと思っていたら、冒頭から様子がおかしい。人間的な動きや仕草と、よちよち左右に揺れながら歩くペンギンの姿が見事に配合され、歌いながらのやり取りはまるでミュージカル。思わず体を乗り出してしまうようなアゲアゲの展開に興奮しつつ大笑いしました。
この「おかしさ」は「声をあてる」ということの違和感にあるんじゃないか、と思います。つまり、実写のペンギンに人間が声をあててるみたいなおかしみがある。もちろん、ペンギンの演技はアニメーションによるフィクションなのだけど、その描写は極力デフォルメを控えたものになっていて、その描写の精密さがときどき、声との間にちょっとしたズレを感じさせる。そして、その違和感こそが、この映画に今まで体験したことのないような面白さを感じた一因なのだと思います。
そして、使用されている楽曲が、これまたすばらしい。すばらしく子供向けじゃない。アメリカのキッズが普段どんな音楽聞いてるのかは知らないですけど。特に印象に残ったのは「somebody to love」。クィーンていいなぁと久々に再確認した。これを歌うブリタニー・マーフィーのハスキーボイスもたまんないです。あと、複数の曲を織りまぜて展開していくドラマチックな歌の構成に「ムーランルージュ」を思い出したのは、最初に歌っていたお母さんペンギンの声がニコール・キッドマンだったからかもしれません。楽しい。ペンギンがセクシーで、でもよちよち歩く。そのギャップが楽しい。
ミュージカル場面だけでなく、アクション描写の映像もすごかったです。特に氷の上を滑ったり、海の中を泳ぐ場面はものすごいスピード感で、その見せ方もかっこよかった。

物語は、皇帝ペンギンの国に主人公、マンブルが生まれるところからはじまります。彼らのコミュニティでは、歌をうまく歌うことで評価される。しかし主人公のマンブルには歌の才能がなかった。そのことでからかわれたり学校を落第したりするマンブル。しかし、彼にはリズムを刻む足、ハッピーフィートがあった。
マイノリティが状況を切り開いていく過程を描く、という物語は非常にシンプルで力強く、主人公が落ち込んでいても卑屈にならないとこが安心して見てられる。たぶんそのあたりがこの映画に込められたメッセージでもあるんだと思いますが、それを支える音楽の選び方もセンスがいい。各キャラクターの魅力も際立っており、ミュージカル仕立てに音楽を中心とした構成で、見ていて飽きないゴージャスなエンタテインメント作品になっていました。制作側が見せたい、と思っていることが明確に打ち出されていてブレないからか、後半の面倒な問題はスルー、というご都合主義展開もむしろすがすがしかったな。
この映画の面白さは、何か新しいジャンルだと思った。

参考

この映画、予告見た段階では見にいくつもりなかったのですが、Dirk_Digglerさんのこちらのエントリを読んで、行きたくなりました。特に劇中で使用される楽曲について、興味深い考察をされてます。
S-killz to pay the ¥. - ビート/メロディ 「ハッピーフィート」「ドリームガールズ」
音楽については、実際見てみると、確かに、って思うんだけど、上に書いた全体的な映像の作り方とかについては、意図的なんだか自分の受け取り方がひねくれてるのか、正直わかんないです。不思議なバランスの映画だったなぁ。

 花見初め

会社帰りにお花見。噂には聞いていたけど、ほんとに咲いてるの見ると、びっくりするなぁ。見なれた景色が浮き足立つ感じ。缶ビール飲みながら屋台で焼き鳥とか食べて、でもやっぱりさむいね、なんて言ってもつ鍋屋さん*1へ移動。白みそベースのスープがあっさりしてるんだけどじんわりおいしくて、やわらかいもつにたっぷりキャベツ、ゴボウがおいしかったです。特にシメのおじやが絶品でした。満腹ー。
明日は昼の桜を見にいこうと思います。

 Sugarless GiRL/capsule

Sugarless GiRL

Sugarless GiRL

「FRUITS CLiPPER」の路線のまま、もうちょっと泥臭い方向へ行った感じのアルバム。かなりギリギリのラインにある曲もあるけど、惜し気もなくフックをちりばめたリズムに振り回される感じはcapsuleならではの楽しさ。
もろにダフトパンクだったり、ディスコというかニューウェーヴにも目配せしつつオリジナルな音色が際立つとこが、面白い。それにしても、どこを切り取っても日本の音だなーって思うのはなんでだろう。ゲームっぽいからかな。むしろお菓子っぽい。シュガーレスだけに。だけに?
そして不思議で仕方ないのは、この中田ヤスタカさんてひとは、そのギリギリさをはたして狙ってやってるのだろうか…ってところだ。
個人的には、エレクトロ・ポップ路線の曲が減ったのはすごく残念です。
今日の帰り道には、

なんにもかんじなーい

っていう「spider」を10回くらい繰り返してきいた。でもこの路線の曲が少ないのがものたりない。もっとコナミっぽく、豪華な作り込んだコナミサウンドっぽくなってほしいのになぁ。と思ったけど、その希望はむしろperfumeにだった。