ラウンダバウト 1巻/渡辺ペコ

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)

渡辺ペコさんの1話完結連載第1巻。
ああ、わたしこういう漫画大好きだなー!て思いながら読みました。
同じ学校を舞台に、いろんな視点から描かれる「回転銀河」(id:ichinics:20070828:p1)とかと同じ方式の連載作品なのですが、ごく短い期間を幾重にも描いている感じと、登場人物が、すごく普通なのがおもしろい。普通ってなんだって話ですが、たとえばキャラクターを描くってことは、ある特徴がクローズアップされるってことだと思うんですけど、この人の、この漫画で描いている少年少女は、もちろんそれぞれの個性がありつつ、それでいて一面的じゃない感じがするんですよね。それが時に印象をぼかすこともあるとは思うんですけど、うん。いいなぁと思いました。あとはやっぱり、女の子側からの、第二次性徴というか、そういうのの描き方も、自然だなと思った。
ブリッジの場面が好きです。
さらに、これがまだ連載中ってのがうれしいな。二巻が楽しみだ!

 ハミング・スイッチ/二階堂和美

ハミング・スイッチ

ハミング・スイッチ

二階堂さんの新作ミニアルバム。
日産マーチのCMソング、が一応メインになってるんですけども、その他のカヴァー群がもう、すばらしい。ニカセトラの夏模様編を聞かせていただいたことがあって、その中にはいっていた「真夏の果実」や、「関白宣言」「卒業」それと松本隆渋谷毅さんの未発表曲「つるべおとし」、などが収録されています。そしてこれがどれもいいんだ!
人の曲、とくに有名な曲をやるときに、すでにあるイメージに寄っていくタイプのものと自分の側に引き寄せる人といると思うんですけど、二階堂さんの場合は完全に後者で、そしてこの人の歌うラインを聞いちゃうと、もう耳がそっちに寄っていってしまう気がする。
この、元曲のラインが重なってしまいそうなほど有名な曲でも、引き寄せてしまう威力はなんだろうな、と考えていて、それは、やっぱり、二階堂さんの歌が、懐かしいからなのかもしれない、とか思う。いつかの、親密な空気の中で、聞いたことがあるような、そういう歌い方をする人だ。のびやかで、やさしくて、健やかな。
your song is good と競演している「関白宣言」はもーかわいくって、転げ回りたいくらいだし、「真夏の果実」は、わたしサザンちょっと苦手なんですけど、地元の友達にサザン大好きな子がいて、そのこの車のるたんびにかかるこの曲すらもう二階堂さんの声に上書きされてしまい、「卒業」は、大好きな曲なんだけど、かなりオリジナルのラインに近く歌ってるのに、アレンジが違うだけでこんなに色がかわるんだな、とか、「つるべおとし」は、カヴァーだけどはじめて聴いた曲で、これとても悲しい曲なんですけど、なんかもう胸にせまるとこがあってね、「しみるんです」てとことか松本さんぽいな、とかとか。
そしてラストを飾るのは「Lover's Rock」の弾き語りバージョン。いいなぁ。このやわらかいギターの音と、鼻歌とかが、音との距離をぐっと縮める感じがして、たまんないです。

 最近

日記を書きたいと思っているのだけど、毎日何をしているのかよくわからなくて、結果、最近は思い出話ばかり書いているような気がする。でもまあ、思い出すことというのはわりとたくさんあるし、それを書くのはとても楽しい、というか、思い出すという作業自体が、好きなんだと思うんですけど、そんなとき眉間のあたりをちらちらするのが「何を見ても何かを思い出す」という言葉のことなのだった。
どうやら、ヘミングウェイの短編小説らしい(なのかな?)ということは知っている。ヘミングウェイといえば、マッチョ、というイメージがあり(どこで得たイメージなのか不明)いままで敬遠してたんですが、そろそろ読んだ方がいいのかなぁ、とか考えつつ、
でもほんと、何を見ても何かを思い出すんだよな、と思う。ただ、まったく新しい、初めて見るものというのもたぶんあって、そういうときにはきっと、いつか思い出す何か、が生まれてるんだろうなと思う。……とか、昨日書いたけれど、でもほんとうに、そうだろうか。思いださないものってあるだろうか?
例えばタイムマシンが目の前にあるとする。タイムマシンなんてこれまで見たことない。でも、それはいろんな物語と繋がり、素材(なんだろう、鉄? )や形状から、何も思いださないなんてことはきっとない。
そう考えると、初めて見るものっていうのは、もしかすると、個性、なんじゃないかなと思える。
それがタイムマシンである、ということを知ったとき、それはやっと「新しい、初めて見るもの」になるんだろう。その、知ると知らないの境目ってなんだろうな。