「駅から5分」1巻/くらもちふさこ

駅から5分 1 (クイーンズコミックス)

駅から5分 1 (クイーンズコミックス)

これはすごい。くらもちふさこはほんと、すごいわ、と1話読み終わるたびに大きくため息をついてしまうような連作短編集だった。2話と、3話だけ雑誌掲載時に読んでいたけれど、単行本で読むとまた印象が違う。
ひとつの町の上に人物を配置し、物語を動かすというのがこの漫画の試みのようで、その手腕はさすがに鮮やかなのだけど、1話ごとの主人公それぞれの視点を、構成/語り口をかえることで描くっていう、話法の多彩さにまず驚かされる。そしてそれが違和感なく、ひとつの町に配置されているところも、面白いなあ。
1話めは、主人公の藤巻よし子が、たいして接点もなかったクラスメイトの男の子に告白されるところからはじまる。そんで、次の日には彼が交通事故にあって、かえってきたときには記憶喪失になっていた、というお話。なんて説明すると少女漫画にありがちなメロドラマに思えるのだけど、終盤に向けての小道具の使い方とかね、もうたまんないなぁと思った。そんで、好きになるとかいうのは、気にするってことなんだなとか、思う。
3話めの主人公は、まだ小学校の低学年と思われる、るりが主人公。るりの目に映ることと、イメージと行動が並列に描かれていって、ラスト誤解のもとに謎がとける構成がいい。
4話めは、ネット掲示板をモチーフにしたお話でHNレッドれんじゃー、が主人公。この意識されてる発言と読み流されてる発言、の描き方が面白いし、その無機質さと文字を受け止める際の生々しい感じの対比も良いな。これ掲示板です、て説明せずにはじまるとこもすごい。すげーなホント!と思った。
続きがものすごく楽しみです。

 ordinary±/高橋慶太郎

オーディナリー± (サンデーGXコミックス)

オーディナリー± (サンデーGXコミックス)

ヨルムンガンド」の高橋慶太郎さんデビュー作ってことで買って読みはじめたら、これアフタヌーンで連載してた作品らしく(今回の発売元は小学館)読んだことあった。あああああ、この人だったのか!と腑に落ちてとても気持ちが良かったです。女子高生(中学生?)の殺し屋ガンアクション。高橋慶太郎さんは、きっとこの頃からいまの「ヨルムンガンド」まで、描きたい空気とか場面とかは明確に続いてて、かわってないんだと思う。そして、それをきっと映像でイメージして描いてるんだろうなって感じがして、そのイメージに対する熱意というか、丁寧さがいいなと思う。うん。なんかちょっと違うけど、久々に「ミッション」みたくなった。