ちづかマップ/衿沢世衣子

ちづかマップ

ちづかマップ

ちづかという主人公は地図が好きで、尋ね人探偵をやっているおじいちゃんの家にいりびたっている。で、まあいろいろあっておじいちゃんの仕事を手伝うことになる…というお話。
探しものをしている過程で見えてくる、町や人の歴史がすごく魅力的な漫画だった。「ブラタモリ」みたい。ってのはたぶんまんまな感想。
本郷、浅草、鶯谷から日暮里、そして京都。これ読んだあとにはすぐそこに行きたくなります。特に、最後の京都で包丁研いでもらうのとかぐっときたな。長年使い続けた包丁ってあんなふうになるんだな! って思って、私もいつかここにでてきた「早川刃物店」*1で自分の包丁買いたいと思いました。
ところでこの「ちづかマップ」、これでおしまいなのもったいないなあ。まだまだいろんな町の話描いてほしいです。

 運命と偶然/「(500)日のサマー」2回目

運命と偶然ってどう違うのかなーとか考えてた。「(500)日のサマー」、2回目は妹と見に行って、見終わった後に「これは結局運命はないって話なの?」って聞かれたからだ。
いやいや違うでしょ、なんて話しながら、でもそこが一番切ないんだよなあとも思った。
個人的には、その恋が運命かどうかなんてどっちでもいいことだ。
ただ、この映画が回想であるように、意味は後からやってくるものだし、むしろ偶然こそが運命なんじゃないかというか、その偶然を、運命だと捉えるかどうかは、その人次第ってことなのだと思う。

たぶん、この映画にぐっとくる人のほとんどは、トムに自分を重ねるのだろう。私も最初に見たときはそうだった。
でも、やっぱり自分が悲しかったことのほうがよく覚えているもので、いろいろ思い返してみれば、自分だってサマーみたいな意地悪をしてしまったことはある(「映画どうする?」「見なくてもいいよ。君の家いこうか」「私は映画見たいの」っていうシーンとか、ほんと典型的(当時は自分でもなんでそういうこと言っちゃうのかわかんなかった))。もちろん、トムのように相手の気持ちが見えなくておろおろしたことだってあるし、時には、同じ相手に対してサマーだったりトムだったりしたと思う。
最初に見たときは、結局惚れたら負けって話ですよね…って思ったんだけど、でも、そもそも負けって何だって話だ。人間関係なんて人の数だけあるし、どうするのが正解かなんて思い返す位置で違うだろう。
ただ、後々に思い残すとしたら、その時々に、自分の気持ちに正直でいたかどうかにあるんだろうなーとか、思った。
そういう意味では、ラストにサマーがトムに向かって言う「踊りたかったから」というのは圧倒的に正しくて、つまり、偶然の一歩を踏み出す瞬間なんて、常にあるんだよなあっていうことを考えたりした。
そこにどんな意味を見つけるかは、また別の話。

それにしても、妹はトムに感情移入するところがまったくないみたいで話してて面白かった。趣味とか考えることとか似てても、やっぱり全然違う。
1回目の感想 → http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20100111/p1
ところでこの映画見てから、主演のJGLさんに夢中で、この映像を毎晩寝る前に見ています。すてきすぎる…!