「長女だからって」/かわかみじゅんこ

長女だからって。

長女だからって。

かわかみじゅんこさんの子ども時代を描いたエッセイ漫画。とっても面白かったです。雑誌「ダ・ヴィンチ」の別冊付録に連載されていたエッセイ漫画を単行本化した作品とのこと。
タイトルに「長女」と入っていますが、上にお兄さん、下に妹さんがいるとのことで、前書きにもあるように長女的なエピソードが多いというわけではないと思います。昭和に子ども時代を過ごした人には特に楽しく読めるんではないでしょうか。私は大変楽しかったです。
子ども時代の視線の低さ、植物との近さ、細かいこだわりと、大人から見るとひやひやするような大雑把さなどなど「あったあった」と「何で子どもってそんなことするんだろうな」が入り混じる中、今まで思い出すこと少なかったことをあれこれ思い出せたのがとても面白かった。
特に「あったあった」だったのが、子どもの頃よく読んでいた本として、赤毛のアンの料理本のはなしがでてきたこと。私が読んでいたのと同じかはわかりませんが、私も小学生の頃、赤毛のアンの料理本読んで、無謀にも難易度の高いお菓子にチャレンジしては失敗していたものです…。人参ケーキも作ったなあ。
あと、子どもの頃の靴下のゴムが伸びきってる感じとか、これはお話じゃなくてさりげなく書き込まれてるだけのとこなんですが、あったあった…ってなりました。などと挙げているときりがないのですが、
おすすめです…!

余談ですが、ちょうどいま岸本佐知子さんの「なんらかの事情」をちびちびと読みすすめていて(すごい面白いのでゆっくり読んでる)、この「長女だからって」と重なるとこも多いように思いました。こちらもおすすめです。

 豚汁

駅前で売っている年賀はがき、山積みのみかん、年々気合いの入る駅前のイルミネーションと気の早いクリスマスソング。帰り道には空も真っ暗で、ついこの間まで夏だったはずなのに、気づいたらあたりは真冬のにおいになっていた。
大人になると感受性が鈍くなる…というのは年を重ねるごとに、経験値によって「もう知ってる」に振り分けられることが多くなるからで、でも実際は「もう知ってる」ことなんてないのに勝手に簡略化してるんだよなあということをぼんやり考える。ただそれは知ってるに振り分けることでダメージを回避する方法を覚えたということでもあるので、楽してる分、ふとした不意打ちにずいぶん弱くなっていたりもするので注意が必要だ。
寒いのはもともと苦手だけど、今年はとりわけ寒く感じる。すでに手袋、マフラー。コートをフル装備してしまい、手持ちのカードはもう重ね着かあたたかいものを食べ続けるしかない。特にあたたかいものの効果は絶大であることを近年学んだので、それなら、今日の晩ご飯は豚汁にしようかな、と思ったところで家に着いた。