ジャージー・ボーイズ

監督:クリント・イーストウッド

「Sherry」や君の瞳に恋してる、の邦題で知られる「Can't Take My Eyes Off You」で知られるフォー・シーズンズの歴史を描いた舞台の映画化で、舞台版のメインキャストを起用しているだけあってとにかく歌がすごい。フォー・シーズンズの名前を知らない人も、ああこの声は!と思うくらいフランキー・ヴァリのあの、誰もが振り返ってしまうような声でした。

ニュージャージー州生まれの一般家庭に生まれたヴァリは、地元マフィアのボスに歌声を気に入られ、不良仲間のバンドに入り頭角を現し始める。
成功からは程遠いような田舎町で、それでも彼らがショービジネスの世界での成功を目指すことができたのは、とにかくヴァリの歌声を信じていたからだと思います。彼の歌声はずっと物語の中心で輝いているのだけれど、それは同時に影も生んでしまう。
しかしヴァリもまた、自分の才能を信じて守り続けてくれた人たちを消して裏切らないんですよね。
いろいろと犠牲になっている人もいるんだけど(家族とか)、それでもヴァリがひとたび歌い始めれば、スクリーンを前にして手を叩きたくなってしまう力のある音楽映画でした。
特にすばらしいのは何といってもラストシーン。
紆余曲折あったフォーシーズンズのメンバーがようやく再結成の舞台で再会してステージの幕開けを迎え、振り返って“あの頃”の姿に戻る瞬間です。紆余曲折が帳消しになって、4人でステージに立てる喜びが結晶になったような名場面からのエンドロール。最高でした。

自分がCD店で働いていた数年間、もっともお客さんから問い合わせを受けた曲は、「Can't Take My Eyes Off You」だったと思います。ボーイズ・タウン・ギャングのディスコバージョンが人気だったせいで、その元ネタを探しにくる人が多く、そのせいもあってフォー・シーズンズの名前は馴染み深いのですが、彼らの歴史についてはまったく知らなかったんですよね。
だから、この映画は、1枚のCDや町でかかっている1曲、音楽が聴かれ続けるということの重みを改めて思い起こさせてくれるものでもありました。

 「かげきしょうじょ!」1,2巻/斉木久美子

twitterで名前を見かけて、特に内容とかは知らずに買ってみた作品なのですが、これがまた自分にとってはど真ん中な女の子の友情もの×宝塚(作品中では紅華歌劇団)で、本当に気になって買うというのは大事なことだなと思いました。
物語の主人公は主に2人で、メインの主人公は高身長と明るさがとりえのオスカル様を目指す異端児「さらさ」なのですが、彼女の背景はあまり明かされておらず、主に視点役を担うのが、もとJPX48というアイドルグループにいた「愛」という女の子です。48とついているとおり、モデルになっているのは48Gなのですが、読んでいくとなんとなーく、モデルになっている子も想像がつきます。
愛は男性恐怖症で、握手会でファン相手に暴言を吐いてしまったことでグループを辞めることになったという過去があります。その相手であるファンのエピソードが2巻にあるんですけどね、これがほんとすごくよかった。アイドルグループの話は本筋ではないのだけど、人がアイドルを好きになる瞬間ってこういう感じだよなーとなんか親近感がわきました。
48Gも宝塚も女の子の団体であるという共通点はあって、そして自分はそういう女子の集団での切磋琢磨的なものがとても好きなので、これからさらさと愛が、紅華の中でどのような夢を実現していくのか、とても楽しみです。
2巻のタイミングで掲載紙が変わったとのことですが、できるだけ作者の思ったとおりのスピードで物語を読み続けることができますようにと願っています。
そしてとても面白いので売れて欲しい!

かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 2 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 2 (ヤングジャンプコミックス)