都会のアリス [DVD]


都会のアリス」はとても好きな映画で、何度も繰り返し見てしまう。
好きな監督は?と聞かれたらヴェンダースと答えるだろうし、そのヴェンダーズの中でも「パリ・テキサス」と並ぶほどに好きな映画である。

物語は、ポラロイドカメラを片手にアメリカに滞在しているドイツ人ジャーナリストが、「何も書けない」という状況のままドイツに帰ろうとしているところから始まる。
空港までたどり着いたところで、主人公はある母娘と出会い、ストライキ中で飛行機が飛ばない為に、その母娘と一晩ホテルにとまることになる。
しかし、朝になるとその母親は消えていて、アリスという名の少女と主人公は二人でとりのこされている。そして「仕方なく」アリスの祖母の家まで送り届ける為の旅をはじめることになる。

主人公はたいてい何かにイライラしていて、幼いアリスにさえあたってみたりする。写真を撮り、現実の風景と見比べる主人公に対して、アリスは言う。
「きれいね、からっぽで」
少女と青年では、きっと少女のほうが大人なのだろう。アリスはとても魅力的な女の子だけれど、たまに見せる子供っぽさに私はほっとしてしまう。
大人である、というのはこの場合、現実と立ち向かっているということだけれど、それは少し悲しいことにも思える。

主人公の苛つきの原因は全て自分自身がからっぽであることに対するものだと私は思う。だからこそ、この映画に惹かれる。
一人でいることが好きな主人公に共感するとともに、ラストに向かって、アリスとの間に決してなれ合いではない感情が生まれてくるのを画面に感じ、私は嬉しくなる。

青年と少女の物語という点で、大島弓子の「裏庭の柵を越えて」も大好きな作品だ。この作品の主人公は少女のほう。主人公はアリスよりずっと子供であることを楽しんでいるように見えるが、青年の孤独という点では、「都会のアリス」に近いものを感じます。

この映画を見たいと思う時って、けっこう行き詰まってる時。今日はどうだろう?
またレンタルしてきたんだけど、いい加減DVDで欲しい。