人参の漬け物

人参のつけものが好きだ。
大根やかぶもいいけれど、やっぱり人参が一番好きだ。
特にぬか漬けが良い。
私が人参の魅力に気付いたのは、思えばカナダでホームステイをしていた時に、食卓にどん、と出ていた人参スティックを食べてからだと思う。あまり良い思い出のないホームステイだったが、それを考えればまあ得るところもあったということだろう。

私が根菜類が好きなのはその堅さ、歯ごたえが好きなのであって、シチューなどに入っている柔らかい人参はむしろ嫌いだ。
グラッセなんてもってのほか。

世の中には人参全般嫌いな人が割合に多くて、飲み屋で漬け物を頼んだりすると、大抵私が人参を独り占めできることになる。
おいしいのになあ、と思うが、独り占めできるのも悪くないので、特にすすめたりはせずに食べる。

しかし今日の食事の際、めずらしく「ひとくちくれ」と言われたので、食べていたまるごと一本の漬け物を食べさせてみたら、ほんとうにまずそうな顔をしていた。あんまりまずそうな顔なので、食の趣味というのは面白いものだとしみじみ思った。

そういえば今まで、食べ物の趣味が合う人は多く居たけれど、いまだに人参のぬか漬けが・・・という話をする人にはであったことがない。
もしいたら、何処産の人参がうまいとか、ゆで人参は邪道だとか、そういう話をしてみたいものだと思う