ふしぎな図書館/村上春樹

ふしぎな図書館カンガルー日和






かつてかなり重症な春樹アディクトだった私も、アンダーグラウンド以降は少し距離を置くようになり、かつてのようにハイペースで過去の作品を読み返すことはなくなった。
それでも、今も時々読み返したくなる作品は多いし、誰に何と言われようと、村上春樹が好きであることにかわりはない。ただ、人にそれを強要しようとは思わないから、読んだこと無い、とか、好きじゃない、とか言う人がいても、「私は好きだよー」とつつましく(?)アピールしてみるくらいのものである。

私が好きな村上春樹作品は主に初期〜中期、つまり「風の歌を聴け」から「ねじまき鳥クロニクル」までの全てであり、その後の作品についても、大好きなんだけど、「海辺のカフカ」も「アフターダーク」も、なんかしっくりこないかんじは否めなかった。
まあそれは「僕」の不在ということに尽きるのかもしれない。
しかし数年ぶりに佐々木マキとのコンビで新刊が出るときいてからは、とても嬉しく、楽しみにしていた。何と言っても、私が初めて読んだ春樹作品は「羊男のクリスマス」なのだ。まさに原点。
そして今日、六本木の青山ブックセンターで箱入りの装幀を見て大喜びで購入し、待ちきれずに電車の中で開いてみると・・・。

「図書館奇譚」じゃないですか。

「図書館奇譚」は1981年〜1983年にかけて発表され、後に「カンガルー日和」(名作)という短編集にまとめられているものの一部で、ということはつまり書き下ろしじゃないということです。いや、どこにも書き下ろしなんて文字はなかったけども、なんだか肩すかしを食らった気分・・・。でもまあどっちにしろ買うんですけどね。
しかし、巻末に改稿ありと書いてあったので、これからじっくり読み比べてみたいと思います。さらに、佐々木マキさんのカラーイラストも満載。懐かしい羊男が存分に楽しめます。私が持っている講談社の文庫版に入っているイラストとは全く違いますが、この絵もどこかで見た様な気がするなぁ。平凡社版? にしては佐々木さんの絵のタッチが違う気もするし・・・。