嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

クレヨンしんちゃんの劇場版第9作。2001年公開。でもクレヨンしんちゃんの映画版を見たのは初めてです。
海洋堂フィギュアでのすごい構図とか、新文芸座でちょくちょくオールナイト上映してたりとか、「マインドゲーム」の湯浅政明監督がTV版の作画をやってたりとかもろもろでずっと興味はあったんですが、実際見てみたらすごく面白くてびっくりしました。これからほかのも見ようと思う。

【以下ネタばれあります】

突如出現したテーマパーク「20世紀博」で、大人たちは現実の生活を投げ出し、童心にかえって楽しんでいた。だがその裏には、絶望の21世紀を捨て、希望に満ち溢れていた20世紀を永遠に存続させようとする、秘密結社イエスタデイ・ワンスモアの計画があった。このままずっと20世紀が続くかに思えたその時、未来を守り、21世紀を生きるため、しんのすけが立ち上がる。

というあらすじなんですが、まさに大人も子どもも楽しめる映画という感じでした。90分しかなかったなんて思えないくらい大満足。冒頭は大阪万博の風景で、タイムスリップものなのかと思ったら、そこが20世紀博でした。ここは実際あったらはやりそう。
大人が子どもに変わってしまい、話が通じなくなってしまう過程はこわかったけど、そこらへんをしんのすけのたくましさがうまく笑いに変えてくとこが良かった。大人のいなくなってしまった街でコンビニの奪い合いとかあるのはまるで「ドラゴンヘッド」みたいだと思ったりする。つづくカーチェイスは「ブルースブラザーズ」のラストみたいなスピード感があって楽しい。
そして20世紀博にしんのすけが乗り込んだあたりから、かなり泣ける話になってくる。
イエスタデイ・ワンスモアのケンとチャコが暮らす昭和30年代風の町なみは、この前みた「妄想代理人」で猪狩の描く妄想の町なみや、「20世紀少年」や、ラーメン博物館やナンジャタウンや去年新宿で見た昭和展のようで、私もあそこで暮らしてみたいと思ったりした。実際はその時代に生きた事がない私とかにも感じられるその時代の魅力って上手く説明出来ないけど、なんか、ゆったりした感じがいいのかなと思う。追われていない感じ。
そして、その「感じ」はしんのすけの父の回想シーンによって説明されていたような気がする。どちらの時代を良しとするのでもなく、それは続いてるんだってみせてくれる、あの台詞のない回想シーンはとても良かったです。
チャコはずっと意味深な表情をしているけど、それについては特に説明せずに、「ずるいぞ」というしんのすけの台詞の後に挿入される鳩の巣のカットで、ああ映画だなあと思った。