西洋骨董洋菓子店1〜4巻

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)
第26回講談社漫画賞受賞&TVドラマ化などなどー、と、華々しいイメージのあった作品なんですが、ここんとこ友人がよしながふみさんブームの真っ最中で「愛がなくても喰っていけます」ツアーに誘ってくれたりしてたので、がぜん興味がわいてきて貸してもらって読みました。
手に取って最初に「あ、新書館なのか」と気付いて少し意外だったですが、とても面白かったです。BL界隈(と言ってしまって良いものでしょうか?)には疎いのだけど、「ほしのこえ」の佐原ミズさっしー)さんとか、かわかみじゅんこ西目丸)さんとかBL出身もしくは共存している漫画家さんにとても好きな人が多かったりするので、(ってひと括りにするのも間違ってると思いますが)なんかそのへんの流れをきちんと理解できてない自分がちょっと悔しい。
まあともかく「西洋骨董洋菓子店」、面白かった! 4巻で終わってしまうのがとても残念だけど、続けようと思えば続けられそうなお話を、その4巻の中に凝縮しておさめてあるところも潔くて良かったです。
一言で言えば「とても格好の良い男性4人のいる洋菓子店が舞台の人生劇場」なのですが、冒頭の橘と小野の高校時代のエピソードがずっと底辺に流れているために、短編集ではなく1本の中編小説を読んだという感触でした。特に、4巻めの、あのファミレスで刑事と話をする橘が記憶を遡り目を開くまでのコマが素晴らしかった。いいなあ橘。
恋愛的瞬間 (3) (マーガレットコミックス)
その橘のエピーソードと似た部分があるのが、吉野朔実さんの『恋愛的瞬間』3巻めに入ってる「螺旋の中に住む」というお話。この話がとても好き、というか印象に残っているので、このような題材の物語を読むことができて良かった。ケーキ屋と恋愛クリニックという違いはあれど、「西洋骨董洋菓子店」と「恋愛的瞬間」はなんとなくテーマが似てるかもしれません。
たぶん私は主人公が過去のトラウマと向き合う話が好きなんだと思います。
ちなみに橘と小野の高校時代のエピソードには、吉田秋生さんの『ラヴァーズキス』を思いだし、橘のキャラクターには伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングが地球を回す*1の成瀬と響野に重なる部分がありました。あ、あと見た目だけだけどケーキマニアの元刑事芥川さんは『MONSTER』のルンゲ警部に似てる。
あと今さらすぎますが、ドラマ版ではどういう風に描かれてたのかも気になる。キャストだけみたんですけど、えなりかずきは何役なんでしょう?

*1:なにかというと、この小説について思いだす。そのくらいど真ん中だったんです、たぶん