「manic expressive」/Her space holiday

Manic Expressive

Manic Expressive

Marc Bianchiのソロ・ユニットであるHer space holiday 2001年リリースの4thアルバム。
ストリングスとリズムマシンの音が心地よく絡み合う、美しくてひんやりとした音。エレクトロニカという範疇で語られることの多いアーティストだけれども、無機質な部分と生の部分のバランスがとてもよく、穏やかな波の音のように耳に響く。
1つ1つの曲を取り出してみると、全く違うジャンルの曲に思えたりもするのに、バラバラな印象は全くなくて、まるでアルバム全体が柔らかい布のようなもので包まれているような触感。きっと、様々な音楽からの影響を屈託なく表にだしていけるアーティストなんだと思う。
私は#4、#7のような音階を降りて行く曲が大好きなんだけど、特に#7はBEATLESの「Dear Prudence」に似たドラマチックな展開で、これもまたエンドロール・ソング*1だなと思った。
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ちなみにこのアルバムは人に貸したまま返ってこなくなっていたので、新作と一緒に購入しました(日本盤が欲しかったからくやしくない)。ただ、当時聴いたときは、Boards Of Canadaなどと同じ系列に感じていた音が、今聴いてみると、ブレイクビーツというよりも、なんていったらいいんだろ、メランコリア、サイケデリアなどと言い表わされるバンド・サウンドだったんだなと思った。DelgadosArab Strap(つまりChemikal Underground系)のアーティストにとても近い音。
ちなみにジャケットはRadioheadの『KID A』を手掛けたShynolaの手によるものだそうです。

*1:映画のエンドロールでかかりそうな曲のことを勝手にそう言ってます。参考→http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20050324/p5