大奥/よしながふみ

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

男性ばかりがかかる奇病が流行し、やがて女性が労働力の中心となった江戸時代を舞台に描かれる、と言うその設定にのっけから面喰らった*1。男女の役割はほとんど入れ替わっていて、将軍が女性なら、大奥に控えているのは男性。
冒頭は少々違和感を感じたりもしたけれど、この物語の主人公(だと思われる)将軍、吉宗が登場すると、その存在感によって、一息に物語と設定がしっくりくるように思えた。よしながふみさんはほんとに、凛とした女性をえがくのが上手いなぁと思う。
当初は水野が主人公なのかと思っていたのだけど、これはたぶん第1部で、2巻から謎解きのような部分がはじまるのだろう。情報伝達手段の少ない時代だけに、80年の間で社会の状況が様変わりしつつも、名残は残っている、その加減が絶妙だと思います。
よしながさんの作品はまだ読んだ事のないものが多いのだけど、今まで読んできたものがほとんど現代を舞台にしていたので、なんだか新鮮。この先どういう展開になっていくのかはまだ全然わからないけど、かなり長編になるのではないかと思う。(というか期待です)
男らしいけど男じゃない女と、女らしくありつつも、男である男の人たちの心情描写も楽しみ。そもそも男らしい女らしいってどういうことなのか…なんて考えこんでしまいます。
装幀も豪華ですてきです。特に別丁扉のしっとりした黒い紙がいい。

*1:本屋さんでカバーかけてもらっちゃったので、帯の文句を読んでなかった