土下座

私はあるバンドのマネージャーになっている。
そのバンドは長く活動停止していたのだけど、ようやく再結成に至って、それじゃあアルバム作ろうか、プロデュースは誰に頼もうか、という会議を、あるアパートの一室のような場所でやっている。
セッションをして、会議して、セッションセッションで私はやっぱり、この人たちの音楽が好きだなぁとしみじみ思っている。
ふと、リーダーのKがテレビコマーシャルでビギンの人と歌っているキナシさんを見て、この人にプロデュースをお願いしようと言い出す。え、ビギンではなくて? うん。でもこの人ミュージシャンではないよ、歌も歌ってるけどさ、プロデューサーだよ? わかってるよ。いいの? いいよ。……何でまた、とか聞いても良い? だって、良い顔してるもの。
そんなこんなで私はキナシさんに会いに行く。無下にされる。キナシさんではなく、キナシさんのマネージャーに。でも食い下がる。現実の私じゃあり得ないくらいのガッツでキナシさんにあわせてください、と言う。そしてギィッと開いた扉から顔を出すキナシさんの頭のハンチングを確認したくらいの段階で私は土下座する。お願いします。どうか、彼らをプロデュースしてください。
キナシさんは意外にも彼らを知っていて、快く話を聞いてくれた。でもなあ、俺に出来るかなぁ、プロデュース。出来ますって。そう?
そんな夢ならではの気軽な展開でアパートの一室にキナシさんを伴った私は帰還する。どうだ。連れてきたぞ。プロデューサーだ。
彼らはすぐにセッションをはじめる。それはすごくいい感じである。なんというか、音がうねっている。グルーヴィー! とか言いたくなる感じだ。キナシさんの笑顔は、彼らの音楽にぴったりである。私は拍手する。隣の家からも人がやってくる。町中お祭りである。パーティーは最高潮。キナシさんがやぐらに登って、歌いだす。
―― その声は、永積タカシさんの声であった。
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前々から木梨さんと永積さんは似てると思っていたのだけど、この前それを言ってみたら、似てない、と一蹴されたことでこの夢を見たと思われます。プロデューサーがいつの間にかボーカルになってるのはやっぱ夢だからなのか。ちなみにリーダーのKは欣ちゃんでした。