WEEKEND BLUES

監督:内田けんじ

WEEKEND BLUES [DVD]

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内田けんじ監督の「運命じゃない人」(id:ichinics:20050802:p1)は、個人的2005年ベストに選んだくらい気に入った映画だったのですけど、この「ウィークエンド・ブルース」はその前身となるPFFアワード入選作品。監督のインタビューに「地元の友人たちと作った」という話があったけれど、たぶん役者さんも素人中心(監督も出演してるし)だし、マイクはあんまり音拾ってないしで、少々見づらいところもあるのだけど、そこを脚本の上手さで乗り切って余りあるところは「運命じゃない人」にも繋がっている。カメラもたぶんプロの人ではないんだろうけど、構図もいいし編集もテンポあっていいなと思いました。役者さんもだんだんうまくなっていく感じがした。ただ惜しいのはやっぱりマイクで、台詞が聞き取りづらいとこが多かったのが残念。
そして脚本。「運命じゃない人」も拍手ものだったけどこの「ウィークエンド・ブルース」もやはりすごかったです。前半ちょっと緩い気もするけど、伏線を絡み合わせて全て映画という枠の中で処理仕切る才能はすごいと思う。そして若干後味が悪くなりそうだったエピソード(あゆみの元彼)についても、ちゃんと視聴者の共感に結び付けるとこがいい。誰も不幸にはならない。
「誰にも必要とされてないんだー」という絶望から、生きる活力をつかむに至る、という展開や、女がとことんしたたかであるところは、「運命じゃない人」にも通じるとこがある。のでたぶんこの作品をブラッシュアップさせたものが「運命じゃない人」だったのかなとも思いますが、ともかく見ていて楽しい気分になる映画です。
監督が、この次にどんな作品を撮るのかとても楽しみです。