読書の友

好きな物語それぞれに、なんとなく共通する要素とか、雰囲気つながりみたいなの見つけるのは楽しい、というわけで今日は個人的読書の友な音楽を考えてみた。昔はしょっちゅうテープ作ったりしてたけど、あの楽しさに近いかも。CDだと作るの簡単すぎるからなぁ。

LUNA/Penthouse

Penthouse

Penthouse

Galaxie 500のディーン・ウェアハムが率いていたLUNAの3rdのアルバム。ジャケットデザインのせいもあるのかもしれないけど、イメージするのは夜で、このアルバムを聞くたびに思い出すのが、ポール・オースターの『ムーン・パレス』。「Moon Palace」つながり*1というのもあるけども、ディーンがNYに移りすんだことと、『ムーン・パレス』の冒頭で描かれるのが主人公がNYへ引っ越してくる場面であることを重ねてみたり。例えば、親密さと、疎外感がないまぜになったような、って、都会ってどこも、そういうイメージだけど、そこに砂埃のにおいが混じるのが『ムーン・パレス』とLUNAのイメージです。

BOB DYLAN/Blood on the Tracks

Blood on the Tracks (Reis)

Blood on the Tracks (Reis)

ディランの作品の中で一番好きなアルバムです。ほぼアコースティックギターのみで演奏されている、ディランの原点に立ち返ったアルバムとも言えるし、なんかもうとにかく凹んだ気持ちにはぴったりの名盤。(だって「ブルーにこんがらがって」が入ってるし)
このアルバムを聞くと思い出すのが「そして彼女は、ボブ・ディランの古い唄を聴き、雨ふりを思うのだ」という村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の中の一節。べたべたですけど。「まるで小さな子が窓に立って雨ふりをじっと見つめているような声」というからには、このアルバムだな、と思います。でも実際に物語の中でかかっていたのは違うアルバムのような気もするけど。

R.E.M/Document

Document

Document

これは文句なくサリンジャーのイメージです。ライ麦です。なんでだろうなぁ。「It's the End of the World As We Know It (and I feel fine)」のクリップのイメージかもしれない。うろ覚えだけど、部屋でどたばたしている男の子のクリップだったような。好きな曲です。

TELEVISION/MARQUEE MOON

Marquee Moon (Dig)

Marquee Moon (Dig)

ギターの重ね方がほんのすこしずらされることで生まれる不安感と、トム・ヴァーレインのヴォーカルにぞくぞくする。しびれる。近頃は「MARQUEE MOON」のイントロを聴くと条件反射でZAZENのライブが始まるような気がしてしまうんですけど、とにかくいつ聴いても常に完璧にかっこいい、と思うすごいアルバム。で、またNYなのですが、このアルバムを聴いててしっくりくるのはなぜかカポーティ。しかも『カメレオンのための音楽』に収録されている「うつくしい子供」(マリリン・モンローを描いた短編)あたりを思い浮かべます。かけ離れてる気もするけど、共通してるのはアンバランスなイメージ、かも。

Jeff Buckley/素描

素描

素描

そして、そのトム・ヴァーレインプロデュースによって録音されたものの、結局発表を見合わせることとなった(Jeff自身の意志によって)幻のセカンドアルバム、およびデモトラック集がこの「Sketches」です。Jeffの意志には反しているのだよなぁ、というのが気になりはしていたものの「Grace」以降もJeffの音楽は確実に生きて成長し続けていたのだなということをはっきりと感じられるアルバムでもあり、もうこの先を聴くことができないのが本当に惜しいです。「Morning Theft」で思い浮かべるのはスタージョン『輝く断片』。この曲にあう物語がやっと見つかったような気がした。それから「Sky Is a Landfill」は「空は埋め立て地」というその言葉のイメージからも、レイモンド・カーヴァーしかない、と思う。
 ◇
なんてだらだら書いてみたら、自分の好みがアメリカ生まれの作品に集中していることに気付いた。知らなかったなぁ。長くなりそうなので続きはまた。あんまりにも個人的趣味なので、だれかの参考になるかはわからないけども。。

*1:収録曲タイトル。ってもしかしてほんとに関係あったりして。