自殺して欲しくない、けど、権利はある、と思う

昨年1年間に全国で自殺した人は3万2552人で、前年よりも227人増え、8年連続で3万人を超えたことが1日、警察庁のまとめでわかった。
自殺、8年連続3万人超 経済が動機7756人

人が数になってしまうっていうのは、こういうことなんだなと思う。なんだか気が滅入る。そして、なぜ気が滅入るのかといえば、そこにあったはずの動機を、自分の中にあり得る可能性として、想像してしまうから、なんだと思う。

動機別の最多は「健康問題」で、前年比228人増の1万5014人で全体の半数近い。「家庭問題」は3019人、「勤務問題」は1807人、「男女問題」は809人、「学校問題」は233人と続いた。

こうやって分類するのは傾向を見るためで、っていうのはわかるんだけど、もしも自分や自分に近しいひとがここに分類されてたらと思うと、嫌だ。

少し話がずれますが、私は「死ぬ権利」っていうのはある、と思っています。もちろん、大切な人には自殺をして欲しくないし、自分もそのつもりはない。でも、だからといって自殺を含む「死」というものを完全にネガティブなものとしてとらえているわけではなくって、なんというか、一回きりしかできないことだから、とっておく、という感覚と、イコールではないけど、近い。ああ、語弊があるなぁ。
例えば、「人は生かされてる」という言い方を、よく目にします。
でも私は、「あ、死ぬかも」と感じた出来事を経ても(幸運なことに、私は助かったわけだけど)「生かされてるのだから生きるべきだ」へは行けなかった。罪深いことなのかもしれないです。でも私は、とても傲慢な言い方をすれば、生きているうちは生きていることを楽しむ権利がある、ということと同じように、いつでもそれをやめる権利もある、と思っています。だから、生きてたいということは、やめたくないなぁ、と思ってるってことに近い。やめたくない、と思えるのは、終わることを知っているからなのですが、同時に、やめられると思うことが、続けてもいいか、に繋がることもあると思うのです。だから、たとえ、何者かによって(例えば歴史? 遺伝子? 運命?)生かされている存在が私なのだとしても、その何者かに抗う力はある、と信じてたい。逆もしかりで、死にそう、というときに「死にたくない!」と思うのも、抗うことに、近いのではないでしょうか。

どうかな。私の気持ちは極端だろうか? わからない。でも生死にまつわる人の意見なんて、案外それぞれなんじゃないかと思うし、だからこそ、このニュースの「三万人」という数字の裏にも、いろんな人がいたんだというとこが気になる。
私は傲慢なので、このニュースを読んで、単純に、悲しいことだな、と思います。勝手かもしれないけど、上に書いたのは自分にのみ適用される感覚であって、自分以外の世界は、私が嫉妬するくらい幸せで満ち足りてて、うまく回っててくれればいいのになぁ、と思う。これは私の一番無責任な部分だ。もちろん、あり得ないことだし、あり得たとしても、それはつまらないことだろうなとも思うけど。

ただ、私がその「三万人」の中の一人だったとしたら、そこには「やめたくない」と思えなくなった何かや、その先にあり得たはずの何かがあったはずで、それを「経済が動機」なんてまとめられたら、嫌だなぁーと思ったんだけど、死んだ後はどうでもいいか、とも、思うな。でも、近しい人に誤解を与えたくはないなと思うし、もし私が残された側だったとしたら、その何かがあったことを、忘れないでいたいと思う。理解は出来ないとしても。

自殺対策を国や自治体の責務とし、与野党議員立法による提出を準備していた「自殺対策基本法案」が今国会で可決、成立する見通しとなった。自殺対策を社会的な取り組みとして実施すべき課題と定め、防止策や未遂者・遺族への支援充実を掲げている。
(略)
法案では、自殺について「多様で複合的な原因や背景がある問題」ととらえ、事業主に対し心の健康を保つため必要な措置をとるよう求め、国や自治体、医療機関、学校も連携して対策にあたることとしている。
 国や自治体が行うべき具体策として、自殺防止に関する調査研究や人材の確保、精神科などの医療提供体制の整備、自殺する可能性が高い人を早期発見するシステムづくりをあげている。
自殺対策法案、今国会で成立へ

つまり『自殺について「多様で複合的な原因や背景がある問題」ととらえ』なんて、当たり前のこと過ぎない? ということかもしれない。
それにしても、この法案はどうなんだろ? 機能するのかなぁ。個人的には「自殺」をとめるよりも、執着できる何かがある方が「やめたくない」には近いと思うんだけどな。「今」がどうしようもなく嫌でも、もうちょっと先まで行ってみようかなと思える、何か。

あくまでも現時点での感覚なので、もう少し、別の角度からも考えたいです。
(参考/前に書いた「なぜ自殺をしてはいけないのか」 → id:ichinics:20051015:p2)