凪渡り及びその他の短編/高浜寛

凪渡り ― 及びその他の短篇 (九竜コミックス)

凪渡り ― 及びその他の短篇 (九竜コミックス)

様々な男女の交わる風景を描いた短編集。それぞれは独立した物語で温度差もあるのに、長い物語を味わったような読後感がある理由はきっと、書き下ろしで収録されている冒頭の「introduction」にあると思う。
欲望と、エゴと、乾いた無関心と、執着とが描き出すその物語はまるで蜘蛛の巣のように繊細だ。そしてどことなく、初期の(といってしまっていいものか)吉田修一の中編小説を思い出します。
特に気に入ったのがアパートの壁越しにやりとりをする「Hygro-45」と、その関係が最後まで明かされずに描かれる「水いらず」。「水いらず」はすべてのやりとりが素晴らしく、とても切なくて喉が詰まるような気持ちで読み終えた。

メモ

HPはいつの間にかなくなってる?
高浜寛さんのブログ → http://takahamak.exblog.jp/