「あゆみ」と「ナナカド町綺譚」/須藤真澄

須藤真澄週間です。

あゆみ (Beam comix)

あゆみ (Beam comix)

デビュー作を含む、単行本未収録作品を集めた短編集。1984年から2000年の作品までおさめられているのにもかかわらず、その世界観にブレがないのがすごい。特に興味深いのが「全国博物館ルポ」と題されたカラーシリーズ。思わず住所をメモしてしまいそうになりましたが、これは須藤さんの妄想の産物だとのこと。連載されたものはほかにも幾つかあるそうなんですが、どうせなら全部見たかったなぁ!
それから「100、101」と題された「幽霊が見える青年」を主人公にした2話も好きです。高野文子「ふとん」や大島弓子作品の、たとえば秋日子を思い出すようなお話なんだけども、須藤さんらしいひょうひょうとした雰囲気が、いい。最後に収録された「ほな」も秀逸です。
ナナカド町綺譚

ナナカド町綺譚

星形の、七つ角のある町を探険する少女の物語。「あゆみ」に収録されてる「フラワーバスケット」に登場するアメデオ君が実験君として登場します。
同時収録の「アメイジング・プレイス」は、建設中の「家」に集った人々が一夜限りの「家族」になるお話。
どちらのお話も、独特のリズムで、出てくる人みんな自分勝手なようで、おかしくて、それがほっとする。80年代の作品がSF/ファンタジー寄りだとすると、この辺は「すこしふしぎ」な感じです。