Just Like The Fambly Cat/GRANDADDY

GRANDADDYの4thアルバムにして、ラストアルバムとなった作品。
解散を決めたのはこのアルバムを製作した後のことだったようですが*1、ほんとに残念です。
GRANDADDYは1992年に結成された、カリフォルニア/モデスト出身のバンド。中心人物であるジェイソン・リトルは元アマチュアスケーターとして活動をしていたけれど、怪我をきっかけに音楽の道を歩み始めたそうです。そのどこかなつかしく馴染みやすいローファイ・ポップは、1stアルバムから完成されていたように思います。

Just Like the Fambly Cat

Just Like the Fambly Cat

もしかしたら、その世界観は「GRANDADDY」というバンド名にあらわされていたのかもしれない、と思う。懐かしく、あたたかな電子音に縁取られたその曲たちは、数年後、おじいちゃんになった自分たちのための音なのかもしれない。
でも時間はあっという間に過ぎてく。
時代の、リアルな音、というものは、もしかしたら本当にあるのかもしれないと最近思うようになった。ネオアコがあって、シューゲイザーがあって、クリエイションレーベルがあり、なんて大雑把に思い浮かべるUKインディーの流れに比べて、アメリカは未だにつかみ所がない。重層的だけど確実な流れがあり、でもそれぞれが結びついていない。
そしてGRANDADDYは最初から、どこかはざまのようなところにいるバンドだったような気がする。ポラロイドカメラで撮った、遠く、でも柔らかな風景を思い浮かべる。もしかしたら、その距離感が彼等の立ち位置を難しいものにしていたのかもしれないけれど、音楽シーンなんて、もともと彼らにはどうでも良いことだったんじゃないだろうか。自分の生活のサウンドトラックとしての音楽としてそれはある。そして、だからこそ親密な音なのだと思う。
#7「Skateboarding Saves Me Twice」で一度終わり、#8「Where I'm Anymore」*2ではじまるような流れ。#14「This Is How It Always Starts」あたりが特に好きです。

ジェイソン・リトルは今後も音楽活動を続けると語っているそうだけど、まだ予定は白紙らしい。ただ、モデストからモンタナへ引っ越すというニュースもきいた。新しい場所での、新しい音を、また聴かせてくれればいいのにな、と思う。

*1:解散ニュースを聞いたときの日記 → id:ichinics:20060128:p2

*2:この曲、何かに似てるんだけど思い出せない