さよならクレイジー・ダイヤモンド

ichinics2006-07-13
私にとって、サイケデリック・ロックの象徴といえばシド・バレットだった。サイケ〜プログレに興味をもったのも、ピンク・フロイドの1st『夜明けの口笛吹き』が切っ掛けだったし、あれを超えるサイケデリック・ロックはないとも思う。
その辺りの音に食傷気味になり遠ざかってからも『帽子が笑う…不気味に』や『その名はバレット』はよく聴いていた。完成度はそれほど高くないかもしれないけど、シド・バレットの持つポップさがよく出たアルバムだと思うし、その独特の歌詞はやはり魅力的だ。特に『タコに捧ぐ詩』の歌詞なんて、ファンタジー小説マザーグースかって具合。
シド・バレットはミュージシャンに愛されたミュージシャンでもあった。1stにはソフト・マシーンのメンバーやデイブ・ギルモアやロジャー・ウォーターズが参加、2ndではギルモアとリチャード・ライトがプロデュースを担当しているし(ロジャーには断られたわけだけど)、彼が隠居生活を送るようになってからも、ラブコールは絶えなかったという。彼の脱退から7年後に発表された「あなたがここにいて ほしい(Wish You Were Here)」はその象徴のような曲だろう。
シド・バレットが精神を病んでピンク・フロイドを脱退し、その後音楽シーンから姿を消してしまったことの正確な理由はわからないけれど、なんとなく、ニック・ドレイクのことが頭の中で重なってしまう。
勝手ながら、シドの晩年が穏やかなものであったなら良いなと思う。
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