虹ヶ原ホログラフ/浅野いにお

虹ヶ原 ホログラフ

虹ヶ原 ホログラフ

浅野いにおの新境地、と言って良いんだろうか。ミステリというかサスペンスというかホラーというかSFというか、新しいことをやろうとしてる感じがひしひしと伝わってくる。これはきっと、構成して、壊して、組み直して、という過程をきっと何度も繰り返して練り上げられた物語なのだろうし、その真摯さはやはり浅野いにおだな、って思う。
ただ、「構成」の複雑さに対し、物語の芯が少し分かりづらかった気もする。構成上「隠している」場面が、感情移入の妨げになっているような気もして、そこがちょっと乗り切れなかった。あと、現在と過去が入り交じったお話なので、キャラクターの見分けがつかなくなると厳しい。
でも、読み終えてすぐに読み返したくなる、読みごたえのある作品だった。
それから、全体的に、何かっ「ぽさ」を感じてしまうお話でもあった。なんだろうなぁ、「GOGOモンスター」とか、もしくはパク・チャヌク監督映画のような雰囲気。ぽいんだけどそのまんまじゃなくて、すごく不思議なバランスに着地している作品だった。