あったことのない人と、食事する夢

茶色っぽい内装のお店。彼がソファ側、私が通路側に座っているという位置関係は、ソファ側に座る方がなんとなく偉いという潜在意識のようなものがちゃんと私にもあったということだろう。実際に夢の中での私はやけにかしこまっていて、緊張している。あれは誰なのだろう。眼鏡と、黒い髪と、常に笑っているように見える口元の印象だけが残っていて、目が思い出せない。あったこともない人なのだから、それは知らないのか、それとも夢で見たのに覚えてないのか、どちらなのかはわからないけれど、白い半そでシャツからのびる腕ばかり見ていたような気がする。
食事のあと、同じビルの中でやっている冥王星の展示を見にいく。エアスプレーで描かれた、とてもとてもうさんくさい内装。私の前を歩くその人は、楽しそうでもなく、つまらなそうでもなく、私の感想を伺うなんてこともせずに、ただそれを見るということをしている。それって珍しいことだと私は思う。この人に対しては、楽しませなければと思わなくてもいいのだと、そう考えてとても楽な気持ちになる。