図書館戦争/有川浩

続刊がでたのをきっかけに平積みになっていたので興味を持って買った。帯の「本の雑誌2006上半期エンターテインメント第一位」って文句にも惹かれたし。

図書館戦争

図書館戦争

「公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律」として「メディア良化法」という名の検閲期間ができた時代に、図書館が本を収集する自由を持つことで、人々にはかろうじて知る権利が保たれている、という状況設定のもとに描かれる「図書館隊員」のお話。
面白かったです。読みはじめたときは、設定に多少突飛なところがあるようにも思えたけれど、読んでいくうちに勢いに飲まれてあまり気にならなくなる。キャラクターもなじみやすくて、ラブコメな場面ではついにやにやしてしまう。アクションありサスペンスあり恋愛ありの王道エンタテインメント小説。それでいて、本好きの心をくすぐってグッとくるような場面も多々ちりばめられている。
ただまあ、こんな時代に、本が出版され続けている状況(要するに取り締まられたらもうけが出ないわけだけど、自主規制に走る、って感じでもないみたいだし)については、少し気になるので、その辺りにスポットをあてた話も読んでみたい。とりあえず、続刊を読まなきゃ。
著者がどんな作風の人なのかとか全く知らずに読んだのだけど、あとがきに「書き下ろしとしては初めての普通のお話です。塩も楕円もザリガニも出てこないので普通です」と書いてあったんですが、今までの話はいったいどんな話だったのか気になる。