月

今の会社に入って最初の仕事がひと段落したので、今日は出先から直帰で映画。直帰最高。見終わるともう夜になっていた。
横断歩道で立ち止まる、視線の先の、赤信号にかかる月。ぼんやり見てると、どんどん体が小さくなっていって、
大気圏を抜けたところでポンと体が開く。ワンタッチ式の傘みたいに、視界が裏表になる。
これはすごい発見だわと思ったけど、裏返ったままで歩いていると、自分を見失いそうになる。あぶない。動いて、空気が流れるとつめたい。ということは、空気が冷たいから月があんなにはっきりしているのだと思う。視力が0.5以下になってからも十年以上ずっと裸眼で過ごして、滲んだ世界にもなれきっているけれど、ここ数日の月はそんな私にもはっきりと見える。
近くにあるものよりずっと。