- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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私は古川日出男の駆け抜けるような語り口が好きだし、登場人物の力強さや、各作品に開かれている日常の中にある冒険の入り口というか、そんなわくわくする感じが楽しくて読むのだけれど、この本は、いかんせん短すぎると思った。圧倒と仰々しさは紙一重のところにあって、あと少し、私には足りなかった。ペダルを踏みぬく手応えを感じられないままに、読み終えてしまったような気がする。
そういえば、この物語は「かえるくん、東京を救う」にも少し似ている。舞台は現代でも、神話やファンタジーに近い、祈りのような物語だ。しかし、その祈りを共有するには、そのフィールドの情報だけでは足りなくて、やはり僕について、もしくは彼らについてもっと詳しく、語られるのが読みたかった。
これまで書いた感想とか
- 「ロックンロール七部作」http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060127/p1
- 「ベルカ、吠えないのか?」http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060223/p1
- 「二〇〇二年のスロウ・ボート」http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060324/p1
- 「ルート350」http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060502/p1
- 「LOVE」http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060609/p1
個人的に、今年は古川日出男の年だった、かもしれません。だからちょっと期待値が高くなってるというのもあるのかも。