僕の大事なコレクション

監督:リーブ・シュライバー
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
以前「空中キャンプ」さんが絶賛されていた(http://d.hatena.ne.jp/./zoot32/20060501)のを読んで、見たいと思っていた作品。
とても良い映画でした。

僕の大事なコレクション 特別版 [DVD]

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ユダヤ系アメリカ人である主人公のジョナサンは家族にまつわる品物、落書きや下着やら入れ歯やら、を集めているコレクター。ある日、祖母から祖父の写真を「あなたのコレクションに」と受け取ったことで、その写真の謎を解明すべく、ウクライナへ旅立つことになる。ウクライナでジョナサンを待っていたのは、「ユダヤ人嫌い」なのにユダヤ人のルーツ探しツアーを請け負うガイドを営んでいた祖父と、その孫でアメリカかぶれの通訳アレックスだった。
物語は一見すると、ジョナサンのルーツ探しのロードムービーなのだけど、ウクライナ人の祖父と孫にとっても「見つける」ための旅になる。
その旅の過程は、主にアレックスとジョナサンの異文化コミュニケーションに彩られていて、これがとても面白い。人が出会うっていうことの素晴らしさは、知らないということを知ることの大切さを示すものでもある、と思った。
ジョナサンは、なぜコレクションするのか、と問われ「忘れないために」と答える。しかしこの映画を最後まで見ると、それだけでなく、コレクションはつながるためにあったのだ、と感じる。アメリカへ帰った、空港でのジョナサンの視線をたどると、そこにはたくさんの、つなげることのできるピースがちりばめられていることがわかる。すごいなぁ、世界、と思った。きっとジョナサンもそんなことを考えていたんじゃないだろうか。
この映画は、ジョナサン・サフラン・フォアの小説『Everything is Illuminated』を映画化したものだそうです。邦題は「コレクション」に焦点をあてているけど、そのまんま「すべては解明された」の方がよかった気がするな。
私は未読なんですが、原作はユーモア小説とのことで、DVD特典に収録されている未公開シーンを見ると、最初はもっと原作に忠実に映画化するつもりだったのを、シフトチェンジしたのかな、と思ったりしました。笑える場面が結構カットされてて、惜しい。でも結果的に、コミカルなんだけど、きちんとメッセージもある、絶妙なさじ加減の映画に仕上がっていたと思います。ちょっとアキ・カウリスマキっぽくもある。ただ、祖母のお葬式の場面など、未公開の中には、ラストへつながる伏線も多数あるので、DVDの特典は必見だと思います。