フリクリ

フリクリ 第一話「フリクリ」 [DVD]

フリクリ 第一話「フリクリ」 [DVD]

監督:鶴巻和哉
ずーっと見てないなぁ、と思いながら見てなかった作品。toukaさんにおすすめいただいてやっと見ました。感謝。

「すごいことなんてない…ただ当たり前のことしか起こらない」

舞台は怪しげな医療組織「メディカルメカニカ」の建物がそびえる地方都市。
「すごいことなんてない…ただ当たり前のことしか起こらない」と呟きながら、兄の彼女(?)と河原にたたずむ(というかいちゃつく)少年、ナオ太の元に、事件がやってくる第1話。頭に角が生えたり、そこから何かが生まれたり、ギター(リッケンベース)を武器に戦うお姉さんが現れ、家に居候をはじめたり。で。巻き込まれることに苛立ちながらも、いつしか状況を楽しんでいるかのように見えるナオ太と、主に三人の女の子の物語が全6話で描かれる「フリクリ」。
このアニメを見て、最初に思い出したのは西島大介さんの「凹村戦争」だった。というのは時系列が逆だけれども、1999年に描かれた「フリクリ」の後にあの漫画があったのだな、と思った。つまり、んー、20世紀を凹村といってもいいし、あの「なにもない」世紀末を凹村、といってもいい。
甘いの好きだけど「好きだろ?」といわれるとムカつく。かっこわるいことしたくないけど、かっこいいといわれたい。自分勝手な独占欲。その拘泥は「トップをねらえ!2」における「トップレスであること」とも重ねられる。つまり、まあ、子どもでいることの全能感を手放したくないということでもあるんだけど、そう言ってしまうと視点が裏返ってしまう。「フリクリ」にあるのは、あくまでも、そのめちゃくちゃに巻き込まれて、打ち砕かれるまでの物語だ。でもとてもすがすがしい。
そこが鶴巻和哉監督の持ち味なのかもしれないな、とおもいました。「エヴァフリクリ」「トップ→トップ2」という2種類のアンサーを見ても、その土台に対する愛が溢れてるのに、でも確実に打ち砕いてく部分がある。そこがすきです。
ただ、ナオ太にとって、ハル子*1はどのような存在だったのかっていうのは、最後までちょっとわからなかった。「好き」の対象というよりは、母親っぽいなと思ったんだけど…つまりミサトさんかなと思うんだけど。小学生から中学生くらいの男の子にとって、年上の女の人を好きになる、もしくは翻弄される、というのは通過儀礼の一種としてわりと普遍的なこと(共感を得られること)なんだろうか。

作画や脚本

前々からの評判どおり、作画の凝り具合がすごいアニメでもありました。特にアクションシーンの動きがいい。あと足。特にニナモリの頭がどうにかなっちゃう場面で振り回されるニナモリの足がとても良い。ちなみに私はニナモリが好きです。
見たのが今で残念だなぁと思う点は、随所でくり出されるネタが若干古くなってしまってることかな。でも仕方ないっす。見るのがおそ過ぎるっす。っつーマミ美のしゃべりかたもかわいかった。
脚本は「トップ2」と同じく榎戸洋司さん。原案が監督というのも「トップ2」と共通ですが、どちらも、すごーくメタな解釈をすることもできるし、そのまんまに見ても面白いお話だなと思います。なんて、私はメタファーとかの解釈にはいつも自信がないんですが、いろいろ見聞きしてるうちに培われてればいいなーと思ってます。

フリクリ 第6話「フリクラ」 [DVD]

フリクリ 第6話「フリクラ」 [DVD]

関連

トップをねらえ!2」の感想 → id:ichinics:20070117:p2

*1:今見るとハル子はハルヒみたいだなーと思った