皇国の守護者

原作:佐藤大輔
漫画:伊藤悠
「さよならテリー・ザ・キッド」のhurricanemixerさんのところで紹介されていたのを読んでおもしろそうと思ってて、「文化庁メディア芸術祭」でちょっと手にとり、昨日やっと1巻を買ったのですが、これはすごい。熱いです。今日続き買いに行くとき、ちょっと小走りになっちゃったくらい夢中でむさぼり読んでいます(でも四巻売り切れてた…!)1冊読み終わるのに結構時間がかかるんだけど、それがすごく嬉しいくらいの読みごたえ。
シミュレーションゲーム好きなひとや、組織ものとしての攻殻機動隊SACパトレイバー好きな人にはたまらない漫画だと思います。あと台詞にときめくという意味では「ヘルシング」とかも思い出した。惣領冬実ゆうきまさみの良いとこあわせたような絵柄(どんなだ)も好きだ。
感想は、hurricanemixerさんの書かれてること(http://d.hatena.ne.jp/./hurricanemixer/20070221/1171991012)に全面的に同意です。なのでだいぶかぶってしまうと思いますが、一応自分の感想も書いておく。

皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 (1) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

まず、物語の舞台は「人と龍の間に結ばれたとされる〈大協約〉が世界秩序の根幹を成す世界」。新興国「皇国」にある日突然、世界の土地の大半を支配下におく超大国「帝国」が攻め込んでくるところから物語がはじまる。
主人公は「皇国」の中尉、新城直衛。サーベルタイガーを率いて戦う「剣虎兵」だ。この漫画にはサーベルタイガーだけでなく翼龍や導術という念力を使う者がでてきたりするんだけど、それがまったくファンタジーではなく、ひたすらリアルに傍らにある感じなのが独特。
例えば導術を扱う者たちは、超能力者ではあれど、兵の一人というよりは通信機のような扱いをされている。しかし主人公によって有機的に働かされることで、ひとりの導術兵に忠誠心というか、活かされることの喜びみたいなものが芽生える場面がある。ここでは、例えば異なる階級、民族、機械と人間、動物と人、などの間に横たわる断絶を超える場面に似た興奮を味わうと同時に、その能力の全てをあかされていないキャラクターへの期待が、まるでシミレーションゲームに登場する新キャラを育てるときのような、興奮にかわる感じがした。サーベルタイガーしかり、天龍もまた。
しかし、そのほのかな希望も、今のところずっと続いている勝ち目のない戦いの中ではすぐにかききえてしまう。
その絶望的な状況の中で、主人公、新城のキャラクターが圧倒的な存在感を持って輝くところが、この漫画の最大の魅力だと思います。戦略を練る。自分の卑怯さ、臆病さを嫌悪し、思いやりをかいま見せる自分を恥じる。幾度となく、これが戦争である、ということを確認する。サーベルタイガーと共にいるときの信頼関係と、残酷さが共存する感じ。常に自分を客観視するからこその冷静さと葛藤。この弱くて強い主人公の泥臭いスタンドアローンさがたまりません。こんなに魅力的、というか自分にとってのど真ん中な主人公はあんまないかもしれない…ってくらい新城がすきです。
うー、かっこいい…!!!
原作も読もうかなぁ。
皇国の守護者 (2) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 (2) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 (3) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 (3) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

公式サイトも豪華

http://annex.s-manga.net/koukoku/