「Cassadaga」/Bright eyes

Cassadaga

Cassadaga

二枚同時発売だった「I'm Wide Awake, It's Morning 」「 Digital Ash In a Digital urn」は噛み砕かれ消化され血肉となり、このアルバムへ繋がった。多彩さを自らのものとしたコナー・オバーストが踏み出す新たなる一歩! なんて陳腐な言葉で盛り上げて、手放しで喜ぶというよりは、この成熟をすこし寂しく思う。最近そんなことばかり言っている。
でもそれは、デビューしたての頃の、剥き出しの繊細さへの憧憬というか未練であって、そのへんを度外視すれば、この「Cassadaga」はやはり良質の作品集だった。ブライトアイズはどんどん進化する。いろんなジャンルの、とくに土地のにおいを感じさせる音をたぶん意識的に身につけ、自分の音に組み立てる。そして、思ったよりいろんな声を持っているのだなと思う。もしくは身に付けたのか、あの震えるような声も健在だけれど、ときに頼もしさすらにじむ余裕のある声に、やはり少し戸惑う。
が、Bright eyes はやはり Bright eyes なのだなと感じる、プライヴェートな音色も健在で、そのまっすぐな目が外に向いているというだけで、こんなにも印象が異なるのだということは、すなおに心強いと思うのだった。