猫的睡眠

いつものように、布団に潜り込んで体を落ち着けることに腐心していたら、ふと私のこの仕草は、我が家の猫に学んだものだったということに思い当たる。20歳を過ぎて、もう人と寝るということをあまりしなくなってしまった我が家の猫も、幼い頃はよく人の布団に潜り込み、ぎゅ、ぎゅ、と足踏みをして場を作ってからおもむろに身を横たえ丸くなったものだった。その瞬間の恍惚とした顔がうらやましくて、私も布団に潜り込むときは、その、ぎゅ、ぎゅ、を見習って場を作るようになったわけだけど、具体的には寝転んだまま、足を擦りあわせたり体に力をいれて緩めるというのを何度か繰り返すことで、いつしか布団があたたまり体も完全に安心して眠気もおとずれるというあんばいで、その瞬間の気持ち良さ開放感たらないし、あれこそをしあわせというのだと思う。
けどそれは冬場の、毛布やらシーツの冷たさやらがあってこそのことなのだ。夏の眠りはおおむねだらしなく、猫だってのびきった干物みたいに眠る。あれはあれでしあわせ。だけど今は、日に日に近付く夏の気配に追われつつ、残り少ない寝床づくりを味わっておこうと思う。