サイドウェイ

監督:アレクサンダー・ベイン
小説家志望の英語教師マイルスが、親友のジャックの結婚前に彼と二人でワインめぐりの旅に出るお話。
ワインオタクのマイルスと女たらしのジャックは正反対ともいえる性格.
一見すると、マイルスがジャックの面倒をみてるかのようなのだけど、わりと感情をあらわにぶつけるマイルスを盛り上げようとするジャックの気遣いも、まあ、たしかに的外れな部分はありつつ、あたたかいものだ。その距離感は親友を通り越した家族のよう。例えば映画の前半で母親を訪ねたマイルスが、母のへそくりを盗む場面があるのだけど、それまでジャックをもてはやし、マイルスにとっては耳の痛いだろう話をしてた母がふいに「お金ある?」なんて聞いたりする場面のように。
マイルスは離婚した元妻のことが忘れられずにいて、わりと鬱々とした日々を過ごしている。そこにジャックの女たらしぶりは、目に毒でもあるのだけど、その荒療治にのせられていく感じも、味わい深かった。
俺のこと好きみたい、でも違ったらどうしよう、という葛藤が、たとえば視線ひとつにまざまざとあらわれている、マイルス役のポール・ジアマッティさんがとてもよかったです。そして、そんな彼の一挙手一投足に察しの良いジャック役、トーマス・ヘイデン・チャーチさんもよかった。
ただ、私はあんまりワインに興味がないのですけど、ワイン好きなひとならもっと面白い映画なのかもなって思います。