「じかんはどんどんすぎてゆきます」/雁須磨子

面白かった…。最近は、わりとお話に空間のある作品がおおい気がしますが、この短編集はぎっしり濃密だった。もくもくと読んでしまいましたよ。さんざん本屋さんでプッシュされてるのを見てたのにもかかわらず、なんであの頃手をつけなかったんんだろうなー。いまでは、もう、すっかり須磨子せんせいに夢中です。
おもに、エロティクスFがもっとエロかった時代に掲載された作品で、性にまつわるお話が多いのですが、それにしてもこの、独特のリズムはなんだろう。どのセックスもひじょうにリアルというか、おわったあとのよせてあげる(「ワンコインクリアepisode1」)とか、おもしろいことしてるよねーとか、おもいます。
以下とくに気に入った2作品。

ものかげのこわいかお

雁須磨子さんの漫画にはよくファミレスやら喫茶店やらで友達としゃべってる場面がでてくるけど、その会話の散漫さとかもすき。このお話の冒頭でも、彼氏がうわきしてるかも、という話をしてるさなか、サイズがあわないというブラをあげたりとかする。彼といるときのあんしん、と、P46から47の描写がすばらしい。この感じは、文章でいったら角田光代さんの世界に近いのかもしれない、けど、にてるっていうんじゃなく、読んだ時にイメージする私の中の記憶、がにてるんだろうな。

じかんはどんどんすぎてゆきます

「一生処女だったらどうしよう」という不安を抱いている女子高校生のお話。あっいまなんかしにたい、という気分はちょっとわからなくもない。だれも、いっしょう、じぶんを選ばないかもしれないよね…、という漠然とした不安と、「夕焼けきれい」なんて思ったりする感じの近さ。それが思春期というものなのかもしれません。思春期っていつおわるの?

じかんはどんどんすぎてゆきます (F×COMICS)

じかんはどんどんすぎてゆきます (F×COMICS)