Genius Party

ichinics2007-07-18
全部で14人の監督の短編アニメーション(id:ichinics:20070326p1)を、たぶん7人づつ前編後編とわけて公開される予定の前編。私の目当ての作品は主に後編なのですが(田中達之森本晃司)、先日CUTに掲載されてた渡辺信一郎監督と湯浅政明監督の対談を読んでがぜん期待が高まりました。見終わって、いろいろ思うところはあるんですが、まずは感想から。

「Genius Party」/福島敦子

イメージをそのまま動く絵で見せてもらったような、すばらしい作品。こういうのはほんとにアニメでしか表現できない世界だなと思います。「イメージが生まれる瞬間をテーマにした」とあったけれど、そのイメージがつながっていく様が映画のOPになる展開もとてもよかった。

「上海大竜」/河森正治

面白かった。この短い時間内で、物語を展開させて笑わせて映像でも楽しませてくれてって、ほんと贅沢なものを見た気分。劇中に登場するアニメの描写で、河森さんはダサいメカもデザインできるんだなーとか、思った。あと、中国語にまったく字幕がでずに、音として理解できる感じもおもしろかった。今回の7本の中で、いちばん好きです。
あと、未来の人類は生殖機能を失った、という設定が出てきて、この前読んだヴィーナスプラスX(もしくは「トゥモローワールド」)を思い出したりした。

デスティック・フォー/木村真

「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」風の世界観。お話の展開がちょっと弱いかなと思った。「ヒピラくん」のひと。

ドアチャイム/福山庸治

福山庸治初監督アニメーション。福山さんの絵もお話も好きだけど、ラストがああいう風に「まとまる」のがちょっと意外だった。こういうお話は、漫画で見るより、映像で見る方が、情報が多い分、受け取り方の幅がせまくなるのかもしれない。でもおばあさんとかすれ違うおじさんとか、キャラクターがよかった。

「LIMIT CYCLE」/二村秀樹

眠かった。まわりのひとだいたい眠っていた。アニマトリックスのときも思ったけれど、このての「映像詩」というのは、かなり見る人を選ぶと思う。私の視界と「私」の視界、手を伸ばしてうすっぺらなビルをつかむところなど、SF好きならそそられる部分があると思うけれど、こういう内容だからこそ、朗読に映像をのせてみせる、というより物語でみたいなと思ってしまう。

「夢みるキカイ」/湯浅政明

湯浅監督の作品はかなり個性が確立されている感じがするので、見ていて安心できる。赤ちゃんが世界と出会い、ぐるりとまわるお話。動きの描写がすばらしい。深読みすると、「上海大竜」の未来とも重なるお話。

「BABY BLUE」/渡辺信一郎

主人公の台詞にもありますが、すごくベタベタなお話。はずかしい、と思いながらも、ラストにはぐっときた。こうやってきちんと盛り上げてくれるのはさすが。そして自転車のチェイスシーンがやっぱりよくて、インタビューにもあったように「アクションを」とリクエストされるのはちょっとわかるような気がした…。

「CUT」に掲載されていた渡辺監督と湯浅監督の対談について。

いま手もとにないので記憶でしかないのだけど、なぜアニメが見られないか、というところにお二人とも問題意識をもってらして、渡辺監督はだからあえて今回は自分がこういった形の作品を作ることにした、ということを話されていたように思う。つまり、ラブストーリーで、芸能人を声優に起用して、いわば宣伝のしやすい、ということではないかと思う。渡辺監督だったらビバップみたいなの作って、と言われるし、湯浅監督ならマインドゲームみたいなの、と言われる。だからこその「Genius Party」だと、わたしは理解して読んでた。そしてお二人が「いつまでも宮崎、押井ってのは不健康でしょう」とおっしゃっていたのはとてもかっこよかった。
ただ同時期にスタジオ・ボイスに掲載されてた(DVD発売にあわせての)マイケル・アリアス監督のインタビューを読んで、若干の不安も感じた。もう一回読み直そうと思ってたらもう次の号がでてしまってたので、それについては今度図書館にいったときにでも読み直して改めて書こうと思うけど…。なんとなく、「鉄コン」を見たときにもちょっと感じたけど、4℃の意識は、もしかして既存のアニメファン以外に向いているってことなのかしら、と思わせる部分が、マイケル・アリアス監督のインタビューにはあって、今回「Genius Party」を見ても、そのへんにブレがあるのかなって気がしました。内容がという意味ではなく、宣伝方法とか、イメージのつくりかたとか。
そこにあえて線を引く必要はあるのかな? と思う。というとこで、わたしはやっぱり、面白ければ勝手にこえてく、と楽観的でいるのかもしれなくて、それは幻想なのかもしんないけど。