夏休みが終わった

夏休みが終わってしまった。社会人になってから(無職期間をぬかせば)今年はたぶん一番長い夏休みをもらった年だった。そのせいか、もしくはここのとこフジやら鳥取やら、楽しいことがたくさんあったからか、この終わり際の名残惜しさは想像以上のものがあって、今の気分はまるで、まさに抜け殻で、ひからびて蟻にたかられてもなお勇ましいあのセミのなきがらとは対照的な、この吹けば飛ぶようなからっぽ感は、手のひらに心細くしがみついてかゆい。そんな感じですよ、なんてぼんやり電車に乗っていたら、左手奥から勢い良く白いビニール袋が転がってきて、私の目の前で脱皮したそれは、ごろん、とスイカを吐き出した。冗談みたいに、おいかけてきたおじいさんがそれを抱きかかえ、車両の奥に去るまで、その冗談がまるで、シャクっとこの手の抜け殻を潰したみたいな気分で、ああまだ暑い日は続くんだよなと思う。もうしばらく、あともうちょっと。