鳥取その他の2

境港での晩ご飯は、地元の人がやってる、居酒屋さんのような店に入った。ドアをあけると元スナックみたいな間取りに、生け簀やら「大漁」の旗やら、テレビの中の甲子園とそれに見とれる従業員のひとたち、が一気に眼に飛び込んできて、いらっしゃい、の声をかけられる頃には、なんつうか、もうずいぶん長い事この見瀬に通ってるような気分になる。迷わず「漁師定食」と、イカ、あ、あとビールねッ…なんて具合にお手拭きで顔ごしごししてるおじさんみならって、私たちもほぼ同じものを頼む。郷に従う。
それで、ここで食べたイカのお刺身が、それはもうすばらしくおいしかったのだ。しっとりと陶器みたいに白くてつやつやしていて、やわらかくてやわらかな旨味がある。鳥取のイカはおいしいって聞いてたけど、とくにイカに興味がなかった私も、ついおかわりしたくなるほどのおいしさだった。あとブリのお刺身も、濃厚でおいしかった。カニ汁も、サザエも食べた。
あんまりにもがっついて食べたので、店を後にしてもまだ、夕暮れ時だった。少し歩く。
軒先でとこやしてるおじいちゃんの、首からぶら下がった緑色のカーテン。顔に傷あるけど優雅な猫、まだスタンプを求めているのか、路地をかけてく子どもたちと、その長い影。陽の先を辿ると、大きな雲があかくそまっていて、

これはまるで竜のかおみたいだった。ウルトラマンがでそうな空だ、と思う。鬼太郎とどっちがつよいかな。ウルトラマンじゃないの、そういえば、鬼太郎の「リモコン手首」と指でっぽうって、機能矛盾してるよね、あ、わたしも思った…なんて言いながら、駅に向かう。暗がりの奥から、ねずみ男列車が現れ、そういやこの電車を通勤につかっている人もいるのだよなと思う。
ホテルについてから、一反もめんパンを食べた。おいしかった。