イムリ/三宅乱丈

面白かった…!

イムリ 1巻 (BEAM COMIX)

イムリ 1巻 (BEAM COMIX)

既にある何かではなく、いちから作り上げた世界とルールで漫画を動かしてみせたという意味で、三宅乱丈さんはすでに「ペット」を描いているわけだけど、それ以降、特に講談社で描いてた漫画は「ぶっせん」の延長線上みたいなコメディが多くて、それもまた味ではあるんだけど、短編も、新撰組も、そりゃ面白いし、ある程度のラインを軽く超してる漫画家さんだと思うんだけど、こう、ペットを読んじゃった後ではそれで満足できない部分もあって、それがやっといま、ペット後に続く漫画を描いてる感じがする。
「イムリ」は、ルーンという星に住む「イムリ」と、マージに住む支配民族「カーマ」とにまつわる因縁を、彼らの使う特殊な能力を媒介にして描いていく物語。
と、ひとことではとても説明しきれないのだけど、読んでいるとこの新しい物語のルールに読者をなじむのは簡単で、なおかつとても楽しい。例えば「ペット」でいうヤマとタニみたいなもので、イメージしやすいのだけど、言葉にはしにくい部分を、すごくうまく映像化、物語化していると思う。こういうことをしてる漫画家さんてのは、いまどれだけいるだろう?
小説でいえば、SF小説における設定の特別さだけでなく、なおかつそこにのせる物語の面白さで競い合うあのぞくぞくする感じがこの漫画にもあって、例えば「たったひとつの冴えたやり方」(id:ichinics:20051012:p1)の最終章「衝突」で描かれた、あのやり取りを思い出しながら、設定が奇抜でも、それを使ってうまくエンタテインメントに仕上げてみせるってところでイメージが重なるなと思ったりしました。
それは、そのアイデアだけでなく、三宅乱丈さんの描くキャラクターの魅力によるものでもある。2巻まで読み終えてすごく充実した気分になった。
そして、これがいま連載中であるってことに興奮する。続きがとても楽しみです。どうかこの勢いのまま描ききってほしい。めちゃめちゃ期待してます。
イムリ 2巻 (BEAM COMIX)

イムリ 2巻 (BEAM COMIX)