ZAZEN BOYS@2007/08/30SHIBUYA AX

日比谷野外音楽堂で新ベース吉田一郎を迎えた一発目(id:ichinics:20070616:p1)から約2か月半。
新生ZAZEN BOYSはツアーを経由してどのように進化しているのか、楽しみでしかたなかった。朝からそわそわして、その音を耳で追いかけるようにしてライブ会場入り。ビールで気付けしてカシオメン側前方でジッと待つ。
そしていきなりRIFF MANで幕開け。
最初からガンガン走る。ずーっと、なんか足りないって思ってたのはこれだ!って思うくらい、楽しかった。信じられないくらい体が軽くて、回りにいるひとみんな笑顔で音に手を伸ばしていた。一言でいうならば、口から心臓が飛び出そうなくらい、興奮した。
ヤンキー時代の音と比較すると、ベースだけでなく全体的に雰囲気が変わったと思う。吉田さんのベースの音はかなり硬質で、それにあわせてバンドの音全体が引き締まった。それは、見違えるほど痩せた(とはいっても大柄ではあるけれど)ドラムの松下さんの鞭のような手さばきと、より近付いたメンバーの立ち位置に象徴されているように感じる。4つの音の個性が絡み合う、そのぶつかり合いがこれまでのザゼンだとしたら、今の音はむしろ寄り添って走っている。丸というより流れている。ぐぐぐと引いたチョロQがトラックになって走り出したみたいな、そんな(どんな?)イメージだ。
それは、もちろん新ベースの色もあるのだけど、手持ちの色を自分の描きたいものに生かすのが向井さんの手腕というか、たぶん今やろうとしているちょっとハウスっぽいというか、和風ディスコというか、ビートの際立つ曲調を吉田さんのベースと松下さんのドラムががっちり支える、というかむしろ吸い付くような艶っぽさがあって、さらに、そこに乗る向井とカシオメンのギターがZAZENの個性ともいえる和音を乗せて走る。
音の残像が、鮮やかに眼に映るようだ。特にすばらしかったのは、「Chie Chan's Landscape」の終盤。あのランドスケープには、つい、美しい、という言葉が浮かんでしまうくらい、音がきらきらしていた。
日比谷で聞いた新曲群「DARUMA」「YUKATA」「ナベ&サダ」も、すっかり仕上がっていた。それから「なんとかシティ(また忘れた)」「don't wanna be with you」でのカシオメンのコントローラーも板についている。この辺のハウスっぽい音色には、まだ聴く側がなじんでない感じがしたけども、それもきっと音源発売後にはまたかわるだろう。し、曲前に「ハイこれ聴いてみましょ」といってキーボード前に座る向井さんみて、ああいまコレが楽しいんだなーとか、思う。
それにしてもザゼンはどんどん変わっていくのに、変わらないバンドだ。こんだけジャンルを混ぜても、それは全部ザゼンの音でしかない。
そして「KIMOCHI」。向井さんがまたグッとくることを言うんだ。終盤、キーボードを観客や演奏中のメンバーに引かせたり(というか無理矢理鍵盤をおしつけたり)しつつ、終始上機嫌だった。場内の盛り上がりも最高潮に達し、こう、熱気とともに気持ちが溶けるような感じがした。
アンコールで登場してからは、レコーディングのことについて話していた。10月にはとりかかる予定、アメリカでやる(かも?)とのこと。とても楽しみです。
「AMAYADORI」そして、新しく生まれ変わった「半透明少女関係」、そこからまたKIMOCHIを弾きながらシメの挨拶。
今回のライブは、やはり二か月半の間にかなりアレンジが変わり、それが身体的に完成されている感じがした。だからこそ、耳でとらえきれない部分もあって、悔しい。もっともっともっと見たい! 楽しかった。大好きすぎる。乾杯!