「Strawberry Jam」/Animal Collective

Strawberry Jam

Strawberry Jam

グッと強く、視界が広がったような気がする。前作「Feels」もすばらしいアルバムだったけれど、今回の「Strawberry Jam」はまたがらっと印象が異なる、けれどAnimal Collectiveならではの、酩酊感。
この音楽を言葉でとらえるのって本当に難しい。あれこれ当てはめようとしても言葉からはみ出して耳に潜り込みまた外へ広がっていく。ゆりかごの中で、くるくると回る世界を見ているような、鬱蒼とした森の中を身構えつつ歩いていたら、急に視界が開けたときのような、緊張と驚きときらめきが渾然一体となって煮詰まったそれに、いつのまにかはまり込んでいる。
この感じをサイケデリックということもあるのだろうけど、それは70年代の、あのダルい/もしくは野暮ったさのあるサイケのイメージとも、80年代後半から90年代にあるあの目がくらむようなギターサウンドとも全く違う。音触はBattles「Mirrored」と近いところがあって、でも重なってる部分から丁度真逆に進んでいるような気がする。Beach boys ぽい曲もあった。し、随所にイメージするものはあるのだけど、あっという間に別の地平に飛ばされる。
とにかく、機械を使った音(という書き方もへんだけど)がこれほどまでに肉感的に聞こえるというのが面白くて、つまり、時代やカテゴリを四次元的に組み立てた音、といってもいいかもしれない。
まあ、とにかく面白い音楽です。ライブみたいなあ!

過去にこだわるなんて 死んだハエみたいな行為だよ
「あの頃」とつながっていることなんて本当に少しだけ
確かに僕らはマジックを信じていたし、死んだのも事実だけど
従うべきは僕の言葉じゃなくて、君自身の心
自分自身さ 自分自身で解決することさ 本当の君は君の中にいるんだ
「peacebone」