小鳥よしお

めずらしく出先から直帰したので、夕方には地元の駅を歩いていた。久しぶりに見る夕暮れに、ああ日が暮れるのが速くなったなと思う。小学生の群れが、やってきて、通り過ぎる。そのときふと、この光景は通勤途中のバスで、朝霧JAMの子ども広場で、日曜日の公園で、見た事があるぞと振り返る。
1人がはじめると、みんなが続いて大合唱になって、なにやら妙なダンスを交わした後、けたけた笑って走り去る。小島よしおの真似だった。
あんまりテレビを見ない私が、小島よしおのことを最初に知ったのはネットで、でも長い事「そんなの関係ねぇ!」とも「オッパッピー!」とも繋がってなくて、最初にそれを耳にしたのは、たぶん通勤途中のバスだった。夏休み前だと思う。
小学校のあるバス停の手前で席を立って、膝をこすり合わせはじめた子がいた。明らかに、トイレを我慢している。うわぁ、ピンチだ…と思って見つめていると、膝のリズムにあわせて、「でもそんなのかんけいねぇ…」と呟きはじめた。その時はなんのことかわからず「ぜんぜん関係なくないじゃん…」なんて思って見ていたのだけど、その横で友達が変なポーズをしてたのも、もしかしたら小島よしおだったのかもしれない。「でもさーでもさー○○がさー、2倍になるアイテムあったらどうする〜?」とかいう友達の質問も総シカトで、ドアが開くと一目散にかけてった。
先日、おもちゃメーカーに勤めている友人に、その話をしてみたところ、小学生に「今流行っているものを教えてください」というアンケートをとった際にも、小島よしおは圧倒的な人気だったらしい。
「でも、5枚に1枚くらいは小鳥よしおなんだよね」
さすが小学生だねー、なんていって笑ったわけですが。
たぶん、少年マンガのひとコマには、書き文字で「でもそんなの関係ねぇ」とか書き込まれていて、いつか大人になる今の小学生も、それを見て「あったねー、そんなの」とか思いだすんだろう。調子にのってパンツいっちょでやりはじめ、先生に怒られた子もいるかもしれない。大人はつかまるかもしれない。もしかしたら「え、小鳥じゃないの?」ていう大人も、いるかもしれない。ええ、うん、私です。びっくり。