- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/06/30
- メディア: コミック
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ひとりひとりのエピソードを数話かけて展開していく形式なので、雑誌掲載時も物語をおいやすい作品ではあるのだけど、こうしてまとめて読むと、やはり勢いが全然違うなぁと、思う。
物語は、臨海学校に集まった少年少女が、ジアースという巨大ロボットに乗り込み、地球を守るために何者かと戦うことになるところからはじまる。やがて、ジアースは人の生命力によって動いているため、一度操縦者に選ばれたものは死ぬ、ということがわかり、物語はそれぞれの、人生観のようなものを描いていくことになる。
つまり、自分の死が目前にせまった状況は、その人にとっての大事なものや、核心を浮き彫りにする、というのがこの物語のテーマなんだろうけど、それはこの「ぼくらの」でも、多くは、他人との関わりの中にある。
しかし戦っている相手の姿が見えるようになる頃、連載時にも非常に印象的だったチズとその姉、そして切江のエピソードのあたりから、少しずつその世界の中心が自分である人物から、輪郭に視線がある人物へ移っていくように感じる。
「あなたは好むと好まざるとにかかわらず もうすでに生命の犠牲の上にある」っていう台詞の後、切江がとる行動は、相手もまた自分であるということ、について示しているのだろうなと思うし、その後にくるコモの発表会の場面とか。すごく好きなんだけど。
今の私は、その視線が、その先に続かないことが単純に惜しいと思う。それが当たり前の反応なのかもしれないけど。