昼寝

昼休みには、だいたい毎日喫茶店へ行くのだけど、喫茶店にいるいつもの人々はだいたい、うたた寝をたしなまれていて、わたしは、あの人たち休憩時間内にちゃんと起きれるのかなーとか不安に思いながらも、コーヒー飲みつつ、本読んでるふりしつつ、それらうたた寝の人たちの顔をまじまじと見つめていたりする(ぶしつけで申し訳ありません)。
たぶん、わたしは眠っている人の顔がとても好きなんだと思います。眠っているときの顔というのは、決してからっぽではなく、でもちょっと浮かんでるような沈んでくような感じで、それを見ているこちら側まで宙に浮くような、あれはもしかしたら私の眠気なのかもしれませんが、つま先がはねたりとか、まぶたがけいれんしたりとか、腕組みしてる肩に力が入ったり、抜けたりとかの、その糸の先を自分が握っているような気分になって手に汗かきつつ、すぅー、とまた眠りに戻っていく瞬間の、あの深さはとても心地よい、あたたかな西日のようで、つられてそっと手を開く。そして、できることなら全ての人の眠りが、何の不安もない、やさしくそっとしたものであればいいのにと思いながら、私にもそれひとつ、と、目を閉じる瞬間、凧が飛んでいくのを見る。