昔話/ベランダでひとり

私がよく見る夢には、いくつかのパターンがあります。
1番多いのは、たぶん翌日早起きしなきゃとか、忘れ物しないようにとか、ちょっと心配事があるときに見る、やっちゃった! って焦る夢。まあ、そういうときは大抵寝坊してないし忘れ物も思い出せるんだけど、寝覚めはあんまりよくない。中でも「空港についたらパスポート忘れてた!」って夢は、たぶん飛行機乗った回数よりたくさん見てて、行き先も空港も一緒にいる人も状況も毎回違う。この前みた空港の夢では、ちゃりんこ乗って家まで取りに帰ったりして、もう、すごい必死に漕いだので、朝起きた時はぐったりしてた。
その次に多いのは、お母さんが迎えにこないっていう夢。空港の夢にはいろいろパターンがあるのに対して、これは子どもの頃の回想(風)になってることがほとんどだ。幼稚園の校庭に整列して親が迎えにくるのを待ってる場面で、ひとりひとり減っていく中、最後、自分だけが残ってしまう。これは、たぶん当時(幼稚園児の頃)、ちゃんとお母さんが迎えにきてくれるかどうかがよっぽど心配だったんだと思う。でもまさか、この年になっても見続けるとは思わなかった。ついでに、その夢見るときに迎えが来るシーンを見たことはまだなくて、見たら見なくなったりしたら面白いのになー私が、と今ちょっと思った。
その他はもう、だいたい日常がちょっとおかしくなったみたいな夢が多いんだけど、この前、ベランダで友達と話してる夢をみて、そういえば夢にベランダってよくでてくるけど、これなんでだろうなーって考えてみたら、昔ベランダに閉め出されたことがあったのを思い出した。

まだ高校生の頃で、夏の夜だった。自分の部屋から屋根に出て、あ、蚊が入っちゃうと思って窓を閉めたら鍵がしまってしまった。仕方ないから屋根伝いにベランダにのぼり、ベランダに面してる妹の部屋の窓をたたいて起こそうとしたんだけど全然だめだった。
ベランダでひざを抱えて、寄ってくる蚊を払いながら、時々、思い出したように窓をたたいてみる。反応がない。一人しりとりとかしながら、また窓を叩く。

ようやくカーテンが開いたのは、もう明け方のことだった。
立ち上がって笑顔で待ち構えていた私を迎えてくれたのは、母さんの驚いた顔で、つまり、ベランダで変な物音がする、と言って妹が母さんを起こしに行ったのだった。

とまあ、あまりにも自業自得すぎる話なんだけど、ともかく、ベランダで途方に暮れてたあの3、4時間が、いまだにベランダの夢を見させるんだな! とか結論したんです。でもたぶん、この発見を妹や母さんに報告しても「で、なんで屋根にでようと思ったの?」というところからはじまってしまうので、かわりに日記に書いておこうと思います。
だって屋根とか出てみたいのに理由なんてないよね…!